香港FPSとPaymeの概念、違い、登録方法
香港で今メジャーになってきている電子決済システム、FPSとPaymeをご存知でしょうか?
このような電子決済サービスが出来る前は、銀行間の資金移動をする為に銀行実店舗に並ぶ必要があり、相手の口座に着金するまで何日も待たなければなりませんでした。また、違う銀行同士の場合は追加の手数料がかかってしまいます。
現在は、相手の携帯番号を入力するか、もしくはQRコードをスキャンするだけで即時決済可能なシステムが出来ています。銀行のように手数料がかかる事もありません。ここでは、香港の便利な決済システムであるFPSとPaymeについてご紹介します。

PaymeとFaster Payment System (FPS)の概念PaymeとFPSは、消費者や運営店に365日24時間、安全かつ効率的な即時決済サービスを提供しています。
PaymeはHSBCが運営する電子マネーです。利用する為には専用アプリをダウンロードする必要があります。利用者は、任意の銀行のクレジットカードまたはHSBC銀行口座を使用して、WhatsAppやSMSメッセージで手数料なしでお金を送金できます。支払い時に銀行口座番号は必要としません。

Faster Payment System (FPS)は、Hong Kong Monetary Authority (HKMA)が2018年に導入 、香港銀行同業結算有限公司(HKICL)が運営する香港の金融決済システムです。
香港ドルまたは人民元での即時決済が可能です。こちらも利用する為には銀行口座が必要です。

PaymeとFPSの違い
他者からお金を受け取る方法
FPS:自分の銀行口座をデフォルトの受取銀行に設定する事によって受け取りが可能
Payme:仮想口座に一旦お金が貯まり、その後指定した銀行口座に送金が可能
自分の口座にお金を入金する方法
FPS:利用者が銀行口座から自身のFPS口座に入金します。
Payme:利用者はクレジットカードまたは銀行口座から入金する事ができます。
FPSとPaymeでは利用上限額にも違いがあります。FPSの上限額は利用者が設定できますがほとんどの銀行は1日の送金額上限は1万HKDに制限されています。Paymeでは5万HKDまで設定可能です。クレジットカードの場合は月1,000HKDまでしかチャージ出来ません。
PaymeとFPSの登録方法
Payme:アプリをダウンロードし、初期情報入力、引き落とし方法(銀行口座、クレジットカード)の設定をするだけで完了します。

FPS:こちらも非常に簡単で、オンラインバンキングもしくは銀行のアプリでFPSを有効化し、携帯電話やEメールアドレスを登録の上、認証コードを入力するだけです。FPSを使って個人間の資金移動をする際は手数料はほとんど場合かかりませんが、事前に銀行に確認する事をおすすめします。
FPSを利用する為には、送金側も受け取り側も銀行口座を持っている必要があります。個人の銀行口座を持つことは簡単ですが、小規模な店舗の場合、法人口座を持つことは比較的難しく、FPSの利用にはハードルがあります。
弊社では香港でビジネスをされる方に様々なサポートを提供しております。ご不明な点がございましたらお気軽にお問い合わせください。
HSBCオンラインバンキングで送金先を登録する方法
HSBCのインターネットバンキングでは、日本の銀行と同様、予め送金先を登録しておくことによって送金時の手間を省くことが出来ます。数分で出来ますので、よく送金する相手は登録しておく事をおすすめします。
以下、送金先登録の手順となりますのでご参考にして頂ければと思います。
1.ログインページへ行くHSBCのサイト(https://www.hsbc.com.hk)に飛び、右上の「Log on」から「Personal Internet Banking」ボタンをクリックします。

2.ログインするユーザーネームを入力した後、セキュリティデバイスを使用してログインする場合は「With Security Device」、使用しない場合は「Without Security Device」を選択します。「With Security Device」、使用しない場合は「Without Security Device」を選択します。
「With Security Device」の場合は、HSBCアプリをダウンロード必要です。下記の画面をご参考ください。

「Without Security Device」の場合は、口座開設時に設定した2つのパスワードを入力します。

3. 「My payees」をクリックLog on後、「My banking」の「My payees」ボタンをクリックします。

4.「Add a New payee」をクリック

5. 送金先情報を入力
◯Bank country or region:送金先の国を選択します
◯Payment method:支払い方法を選択します。銀行口座番号、クレジットカード番号、電話番号、E-メールアドレス、FPS番号などを選択できます。
◯Type of transfer:送金方法詳細を選択します。(例:銀行口座の場合は、HSBC口座なのかその他の銀行なのかなど)
◯IBAN / Account Number:口座番号を入力します。
◯Daily transfer limit:一日の最大送金額を入力します(上限は1,000,000香港ドル)
◯Account holder’s name:送金先の相手の名前を入力します。上で入力した情報と名前が紐づかない場合は登録する事が出来ません。

6. セキュリティコードを入力
送金先情報を入力したら、「Confirm」を押します。するとセキュリティコードの入力が求められます。

セキュリティコードの生成方法はステップ2と同じです。HSBCアプリで「Generate security code」→「Transaction verification」ボタンをクリックすると、一回限り有効なコードが生成できます。

7. 送金先設定の完了通知を受領
送金先設定が完了すると、HSBCに登録済みの電話番号宛にSMS、及びEメールで通知が届きます。

次回から設定した送金先に送金する場合は、My payeesの画面に表示される相手先を選ぶだけで送金が可能です。

以上が送金先登録のステップとなります。実際にやってみると、ログインのところでつまづいたり、セキュリティコードがうまく生成できない、送金先情報の紐付けが出来ないなど様々なトラブルが発生する事があります。
弊社では銀行口座関連のサポートも承っておりますので、お困りの方はご相談ください。
香港法人設立は仲介業者に頼まなくても問題ない?
香港は法人を設立するのが比較的簡単な国として知られています。その為、中にはすべての手続きを自分でやってみようとする方もいらっしゃるようです。もちろん、仲介会社を通さずとも設立自体は可能です。しかし、そこにはあまり知られていないリスクも潜んでいます。
会社設立自体はとても簡単ですが。。。
香港で会社を設立するのは、設立費用を払ったり申請表にサインをするだけでとても簡単です。早ければ数日で設立が可能です。
※参考「香港法人設立の手順と事業形態」
しかし、実際に会社を設立してみると、いくつか注意するべき点があります。例えば、会社秘書役というものの存在はあまり知られていません。香港の会社秘書役業務は、日本人が一般的に想像する社長秘書とは異なります。香港のすべての会社には取締役と同様に会社の組織として会社秘書役の任命が義務付けられており、法定の登記事項の一つにもなっています。
※参考「香港法人に必須の会社秘書役と9つの役割」
会社の所在地についても注意が必要です。もちろんご自身のオフィスがあれば登録が可能ですが、無い場合は会社秘書役の住所を借りる事になります。仮に自宅を事務所として登録した場合、賃貸契約に違反していたり、ビジネス上のトラブルに家族が巻き込まれる可能性があります。
※参考「香港法人の登記住所と通知先住所」
「現地住所を持たずに香港法人を設立する」
会社設立後は、就業ビザおよび家族ビザの申請、銀行口座の開設、決算‧監査などいくつかのやるべき事があります。もしあなたに時間がある場合は、一度の会社設立の為に手続きを学ぶことは可能かもしれません。しかし、より重要なのは事業を成長させる事です。
設立時に思わぬ不備がある事も。。。
設立手続きの中で、法的責任やリスクについてはあまり精査していない方は多いと思います。会社法に書かれている条項を見逃してしまい、不適切な情報を会社登記所に提出してしまうかもしれません。
例えば、会社名のつけかたにはルールがあります。
参考:「香港法人社名の7つの注意点」
問題のある会社名を使用してしまった場合、会社登記所のWEBサイトの永久に名前が掲載されることになってしまいます。

また、裁判で訴えられ、罰金が科される可能性もあります。下の画像はその事例です。マネーロンダリングの法律に違反していると書いてあります。

※参考:https://www.cr.gov.hk/en/compliance/prosecution.htm
虚偽の情報を提出してしまった会社には5,000香港ドルの罰金が科される事もあり、そのような事実は公開される為会社の経営にも大きく影響します。
香港法人は自分で設立するべきか?
自分で法人を設立するには手間と時間がかかります。会社は設立して終わりではなく、営業活動、WEBサイトやSNSでのプロモーションなど多くのやるべき事があります。会社の設立は一度で終わります。リスクを負ってまでご自身で勉強して手続きをされるよりも、プロフェッショナルに任せる事をおすすめします。
弊社でも香港法人設立を承っております。また、コロナウィルスの影響により移動が制限され、香港法人のあり方、維持方法も見直しの時期が来ていると考えます。ご興味のある方はお気軽にお問い合わせ下さい。