「ウェルネス」トレンド!心身の「癒し」を求めている香港市場
皆さんは香港の生活スタイルに対してどのようなイメージをお持ちでしょうか?
香港人は一般的に歩調が速く、日常でのストレスが高くなりがちと考えられています。
もちろん、この二年ほどずっと続いてきたコロナ禍も近年ストレスがより高まっている原因の一つと見られ、アメリカの24/7 Tempoが2020年に行った調査では、香港は世界でストレスの高い都市ランキングで1位になりました。
それに対し、現在香港人、特に若年層は心身の健康を以前よりも重視し、香港なりの「癒し系ブーム」が近年起きています。一部のブランドはこのブームを掴みビジネスをより発展させ、この「癒し系ブーム」の市場がこれからも成長し続けることが見込まれています。
今回のブログは、このブームに関するビジネスの一部の実例、香港人がそのサービス・製品に「癒し」を求める理由について、ご紹介したいと思います。
世界中で成長し続けている「ウェルネス」産業市場
長引くコロナ禍はまるでゴールの見えないマラソンを延々と走らされているようで、人々のストレスは通常よりも増しています。それに伴い、人々の「ウェルネス」への重視は世界中でも見られます。
「ウェルネス」というのは単なる健康ではありません。アメリカのコンサルティング会社McKinsey & Co.は、2021年の消費者のウェルネスへの関心について、6ヶ国で消費者7,500名に調査を行いました。調査結果によると、79%は健康・フィットネス・栄養・容姿・睡眠・マインドフルネスを含んだ「ウェルネス」を重視していると回答し、42%は生活で「ウェルネス」を一番重視していると回答しました。経済面では、現在世界でのウェルネス産業市場は約1.5兆USD(約173兆円)で、年平均成長率5%~10%で膨らんでいると推測できるとのことです。
香港での「癒し系ブーム」で成長したビジネス
生活でのストレスに向き合うために、消費者は休みの日にペースを緩めて「ダウンシフト」を実現したい傾向があります。そのためか、香港ではコロナ禍に影響されているこの2年間に開店したばかりにもかかわらず、毎月の売り上げが5~6桁の香港ドルに安定し、これからも約20%成長すると見込んでいる小売店があります。
香港のhketが2021年に日本の茶道をテーマにしたレストランと台湾からのお香を販売している店にインタビューし、香港での「癒し系ブーム」について成長の理由を挙げました:
・今世界中がウェルネスを重視しているため、体の健康だけでなく、メンタルヘルスに関係する産業も成長し続けています。
・コロナ禍というパンデミックが世界中の新しい課題になり、人々はストレスと不安に向き合わざるを得ないため、メンタルヘルスがより重視されています。
・SNSの普及:例えばシンギングボウルや茶道などの伝統文化はこれまで消費者の目にあまり届いていませんでしたが、近年では体験ワークショップで撮った写真をSNSに投稿するのが人々の習慣になっている為、お客様の投稿が宣伝になり、サービス・製品に興味を持つ人を増やし、客層の拡大に繋がっています。
・現在香港のコロナ感染数は落ち着いていますが、海外旅行が大好きな香港人が世界のコロナ状況で長い間海外旅行できていない為、海外文化の体験を従来よりも求めています。
これらの店舗の事業戦略から見ると、どちらも実店舗とオンラインショップを両方持ち、FacebookなどのSNSを常に更新している上、商品に関係する茶道・香道のワークショップを定期的に開いています。
多くの香港人にとって、心の健康というのはまだまだ新しい概念です。一部の人はその概念がまだ十分理解できておらず、高価な製品を盲目的に追求する傾向があり、逆にサービス・製品への定着が難しくなっています。ワークショップを通じてブランドの理念を伝え、手にとった製品の特長を実感させ、お客様自身の使用体験に転化させることが、ブランドへの定着をより強めることに繋がります。
MAYプランニングでは、香港市場への進出に関わるサポートを行っています。ワークショップの開催、Facebook、InstagramなどのSNSでの宣伝など幅広いマーケティングソリューションを提供しております。ご興味のある方はお気軽にご相談ください。
KOLとは?今香港でトレンドになっているライブコマース
コロナ禍で世界中の人々の消費行動が変わりました。インターネット、オンラインショッピングの日常生活との融合が加速し、EC(電子商取引)は益々発展してました。
香港のVS MEDIAが香港市民のコロナ禍での消費行為について調査した所によると、75%以上の回答者が「KOL」と呼ばれる人たちのおすすめ商品やサービスを信じていることがわかりました。
「KOL」はこれからのポストコロナ時代でも影響力を発揮し、「ソーシャルコマース」や「ライブコマース」という新しい消費行為を発展させていく見込みです。
「KOL」とは?「ソーシャルコマース」「ライブコマース」とは?
香港でよく聞く「KOL」という言葉は英語「Key Opinion Leader」の略語で、中国語では「網紅」、日本ではインフルエンサーとも呼びます。
スポーツ選手やタレント、ファッションモデルなど特定分野の専門家はもちろん、最近では主にインターネット上で大きな影響力を持つ一般人やブロガー、YouTuberなどのことを指しています。
「ソーシャルコマース」とはSNSとECの組み合わせで、お客様がSNSで気になる商品を見つけた際に、そのままSNS投稿から商品購入ページに移動してもらい、商品・サービスの販売促進を行う手法です。
その中でも、「ライブコマース」は、KOLがライブで商品の実物を手に取って紹介したり、実際使って見せたりするので、従来の宣伝方法よりも消費者の信用が得られるという意見もあります。2021年10月20日、中国のオンラインモールTaobaoでのトップKOLの一人のライブでの売り上げは1日106.53億RMB(約1881億円)もあり、ライブコマースの盛況が見て取れます。
スマートフォン・インターネットの普及率が90%以上になっている香港
ソーシャルコマースもライブコマースも、消費者のインターネットの使用が不可欠となっています。では、現在香港でIT関連の普及率はどうなっているでしょうか?
香港統計処が発表した「香港的女性及男性主要統計数字 2021年版」の調査結果によると、2020年10歳以上の香港市民で、過去12か月以内にパソコンを使ったことがあると回答したのは79.8%、スマートフォンを持っている人口は92.1%で、これからもパソコンより安くて使いやすい、持ち歩けるスマートフォンが香港での主流になるでしょう。
インターネットの普及に関しては激しい成長が見られます。同対象の92.4%が調査前12か月以内にインターネットを使ったことがあると回答し、2001年の僅か43.3%より倍以上の成長を見せました。
また、15歳以上の香港市民で個人的にオンラインショッピングを利用したことのある人の比率は、2001年の5.6%から2020年の43.1%に、20年間でおよそ8倍に成長しました。
NielsenIQ社のデータから見ると、香港の世帯でのネット消費はコロナ禍が始まる直前の2019年と比べ2020年に46%の成長が見られます。消費者の2020年ネット消費回数は75%増加し、消費金額は52%増加、同時期実店舗で消費した金額の2.5倍になりました。
香港市場でのオンラインショッピング・KOLトレンド
VS MEDIAが2021年7月に18~45歳の香港市民を対象に行った「消費者網購及KOL影響力意見調查」(消費者のオンラインショッピング及びKOLの影響力に対する意見調査)のオンライン調査によると、香港人がオンラインショッピングに使った平均金額は月2,673香港ドル、およそ39,000円になり、商品やオンラインショップのネット上の口コミを従来より重視する傾向があるとのことです。
90%以上の回答者はKOLが紹介する製品やサービスに興味があると回答し、その中でレストランやグルメ情報が総合的一番人気で、女性に一番人気の分類はコスメ・美容とサービス、男性に一番人気なのは電子製品です。
80%以上の回答者はライブコマースの配信を見たことがあり、その魅力について以下の点を挙げています:
・ライブ配信期間限定の割引とキャンペーン
・実演で商品への理解が深まる
・ライブ配信中の数量限定の商品
・商品のセールスポイントが正確に伝わる
・商品に対して実用的な情報がある
など
78%の回答者はKOLの配信内容が面白ければ、間接広告の要素があってもあまり気にしないと回答し、73%は例えその内容に広告や商業でのコラボレーションがあると知っても、KOLのおすすめや体験シェアを信じる傾向があるとのことです。また、77%の回答者はアイドルや芸能人のおすすめよりもKOLが薦めた製品やサービスを信じており、87%は製品がKOLのお墨付きがあればトレンドの目印になると思い、購買意欲が高まるという意見です。
一方、約65%の回答者は自分の趣味やスキルでKOLになることに憧れていると回答し、その原因は主に働き方の自由度が高いにもかかわらず高収入を得られるという点です。しかし、約70%はKOLになるのに必要な条件と機材が分からない、75%は企業が撮影から制作までワンストップのサポートサービスを提供した方がKOLになる意欲が上がるという意見がありました。
ITの普及率がどんどん進んでいる今の時代、従来の紙媒体・テレビでの広告の効率が低下しつつあり、これからはインターネット主導の時代になる傾向が予測できます。その中で特にKOLの影響力を利用したソーシャルコマースとライブコマースが若年層の購買意欲を高める効果が見られ、今後のマーケティング戦略に取り入れておくべき項目になっています。
MAYプランニングでは、香港への進出に関わるサポーティング・香港市場でのプロモーションに関わるサポートを提供しております。Facebook、InstagramなどのSNSでの広告やKOL配信でのライブコマースのサポートが可能です。ご興味のある方はお気軽にご相談ください。