消費傾向が二極化!不景気の中で成長する「贅沢品・嗜好品」と「中古品」
経済不況で世界的にインフレが進んでいる中、市場は不況による消費意欲の減少を懸念していますが、人々はコストを削減しているものの消費意欲が減少していません。
その中で特に意外な成長を見せているなのは「贅沢品・嗜好品」と「中古品」です。
今回の記事では、「贅沢品・嗜好品」と「中古品」が近年の不景気で逆に成長する理由についてご紹介します。

贅沢品、不景気中の心の癒やし
消費者心理専門の心理学者Cathrine Jansson-Boyd氏によると、他人にどう接してほしいかは、消費者が商品を購入と決める時に無意識ではありますが最も重要な要素の一つです。金銭的不自由は負の感情を招いてしまうため、消費者は自分を元気づけられる商品・サービスにお金を普段よりもかける傾向があります。
学者の意見では、不景気の時には消費者のステータスシンボルへの渇望が普段よりも強くなります。また、可処分所得の減少は消費者の情緒に影響し、非合理的な決断をしやすくなるとのことです。
アメリカのコンサルティング会社のBain & CompanyとAltagammaのデータによると、恒常為替レートで計算されたブティックでの2021~2022年の売上は15%も成長し、その中の60%はハンドバッグなどの主力商品の値上げによるものでした。来年度の売上についても、さらに3%~8%の増加を見込んでいます。
贅沢品の巨頭は最近の財務会議で楽観的な態度を示しており、LVMHの第3四半期の売上は去年比19%増加し、Gucciの親会社であるKering社は去年比14%増加しました。
「贅沢品の売上は富豪に集中している。」Bain & CompanyのパートナーであるClaudia D`Arpizio氏は指摘しています。「富豪の可処分所得は経済の不況にあまり影響されない。現在ピラミッドの頂点にいる2%の人は贅沢品売上の40%を占めており、2009年の35%よりも高くなっている。」
また、中国人は贅沢品の主要な購入者であるため、Bain社の予想では、ゼロコロナ政策撤廃につれ、中国の贅沢品売上成長率は2023年で6%~8%に達するとの見込みです。グローバルで見ると、2022~2030年で贅沢品の売上は60%と激増し、インド・韓国・メキシコの消費者はより富裕になり、贅沢品の新顧客を毎年合計1千万人生み出すと、同社が予測しています。
不景気で小売業者の大半が「トレードダウン」を取り入れ始めている中、Bain社はアメリカとヨーロッパの消費者がインフレーションを無視して贅沢品を購入している状況から、今年の贅沢品売上が5%以上成長すると予測しています。ロイターの報道によると、Bian社は6月21日の報告で、「控えめに予測しても、今年世界での贅沢品売上は3,050億ユーロに達するだろう。楽観的な状況では3,300億ユーロに達し、コロナ以来最も激しいリバウンドになる」と予測しているとのことです。

嗜好品、「リップスティック効果」により伸びる
「リップスティック効果」とは、不景気な時代には口紅など比較的に安い消費財や嗜好・趣味に関する消費・サービスがよく売れるという消費者行動傾向です。
不景気でも人々の消費への衝動は減退しませんが、経済の衰退で消費者の収入が減少しているため、不動産や自動車など高い消費は控え、比較的に安い商品・サービスをよりよく購入するようになります。
外出を控えることが推奨されるコロナ禍では、家で料理を研究することが娯楽の一種となり、調理関係の商品にへ意外な伸びをもたらしました。中国の美団社が発表した「2020春節宅経済ビッグデータ」によると、パン焼き・菓子焼き関係の商品の検索数は100倍増加し、酵母の売上は40倍、餃子の皮の売上は7倍以上成長したとのことです。
2022年に新しくネイルチップブランドを立ち上げたイギリスのブロガーChristy Llewellyn氏の観察によると、電気代や交通費などの生活コストが新しい年に上昇するニュースが出た後、ブランドの売上が大幅に増加しました。「この難しい時期には些細な幸せが特に欲しい、例えばコーヒーやマスカラ。それに対し、自動車や靴などの高い消費は控えるようになる」とLlewellyn氏が指摘しました。2022年7月にアメリカで行った市場研究でも、美容業・美容関係の商品が売上が成長すると見込まれていました。
一方、ホテルや飲食店にパンを提供し、カフェを2店舗所持しているイギリスパン職人のAlex Gooch氏によると、インフレーションでコストは持続的に上昇していますが、収入は不景気に影響されていないとのことです。「顧客は相変わらず10GBPをかけて2キロのパン・オ・ルヴァンを買ったりしている。不況でも人々は気に入ったカフェで消費するし、友人と会うこともやめないだろう。その生活習慣が幸せの一部だから、どうなっても諦めはしないと思う」とGooch氏が述べています。「カフェでの消費、例えばパンやコーヒーは6GBPくらいしかかからないので、他の消費と比べては安い方なんだけど、生活の中では大切なご褒美になる。」

中古品、サステナブルトレンドとオンラインプラットフォームの便利さが成長の発車に
売買取引プラットフォームのCarousell社が2022年11月21日に、香港の消費者の不景気での消費習慣についての調査結果を発表しました。80%以上の消費者が不景気の時により多くの中古品を購入しており、特に45歳以上の回答者では86%が平均3ヶ月あたり1回中古品を購入しているとのことです。全体的な調査結果は消費者の中古品への態度が好景気の時期よりも軟化していることがわかりました。
同調査では、62%の回答者が経済衰退の時により多くの中古品を購入すると回答しており、90%は中古品に対する態度が「中立」と「肯定的」になっています。消費者が中古品を購入時、一番よく思い付く商品種別は「家具・インテリア」と「趣味・ゲーム」です。45歳以上の回答者の中で、76%は中古の家具を考慮していると回答し、消費者は持ち運べる中古品のみでなく、サイズの大きい家具などにも興味があることがわかりました。
中古品の売上が経済の不況に影響されず、逆に成長している理由について、同調査では90%以上の回答者は「中古品の外観と性能は新品とあまり変わらない」と回答しています。また、中古品は持続可能な開発の理念に適切で、コストパフォーマンスも高いことはまさしく今の消費者が一番関心のある要素です。
その中でコストパフォーマンスの高さはやはり香港の消費者が中古品を購入する一番重要な理由で、53%の回答者は「中古品を買うことで毎年最低1,000HKDが節約できる」と回答、約10%は「毎年最低5,000HKDが節約できる」と回答しています。
中古品を購入する理由として、81%の回答者は「まだ傷がない」と回答し、使用されたことがあってもまだ使えるのなら無駄にしたくない、中古品を使うことをエコライフを実践する一環にしているようです。
中古品購入の便利さについて、60%以上の回答者はCarousellなどの売買取引プラットフォームが中古品売買の流れを改善していると述べています。45歳以上の回答者では、70%以上が中古品の購入が以前より便利だと感じており、高齢の消費者にとって効率のいい取引の流れが中古品への受け入れを促進していることがわかります。
経済の不況は全種類の商品の売上に影響すると一般的に認識されていますが、データから見ると一面的な結果ではないようです。
コロナ規制が解除しつつある今では、実店舗や対面のワークショップなどを通して、より直接的に商品の良さを実感させることが、消費者の定着に効果的でしょう。
一方、コロナ禍で人々がIT化した生活に慣れるようになっていることを活用し、オンラインプラットフォームの便利さで商品の認知度を上げることが重要です。また、近年世界的なトレンドである「サステナブル」の要素を取り入れることで、商品により魅力的な印象を与えることができます。
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コロナ政策と経済における問題、香港新政権の発足を機に解決されていくか
在香港日本国総領事館、ジェトロ香港事務所と香港日本人商工会議所の3組織は在香港の日本企業等が直面するビジネス環境を把握するために実施された調査の結果によると、2022年7月に発足した香港の新政権に「域外(特に中国本土・日本)との往来制限の早期撤廃」や「防疫対策の見直し」を期待している企業が7割を占めており、「物流の正常化」「雇用補助金の継続」など経済対策も要望されています。中長期的には、香港の優位性やビジネス環境維持、そして大湾区(GBA)や深センと接する元朗区と北区を中心とした「北部都会区(Northern Metropolis)」など更なる経済開発を望む意見もありました。
今回の記事では、調査で記述された各要望の実現状況についてご紹介します。
経済対策の効果
ヨーロッパのシンクタンクBruegel社の意見では、特に電子決済を普及させた「電子消費券」と給与補助金の「保就業計画(ESS)」が家計消費と就業に対して効果的とのことです。財政長官の陳茂波(Paul Chan Mo-po)氏が2022年10月2日のブログで、8月に配布した第一段階の「電子消費券」について、「その130億香港ドルの消費券は、配布した一ヶ月以内に約7割の金額が消費された。その中で、約6割は小売に、約3割は飲食に、約1割はサービス業に使用された」と述べています。また、「この措置のもう一つの目標は電子決済を普及させること。去年措置を初めて実施して以来、6社の電子決済サービスで合計約800万人の消費者と15万を超えるの店舗が新規登録された。電子決済の普及に伴い、ECでの取引額が急成長、今年は8月までで小売業のEC取引額が合計204.5億香港ドルに達し、前年比は約2割増加し、前々年比は7割超えの成長を見せた。合計売上高でのECの割合も去年の5.4%から現時点の9%に成長した」と、香港で日々重要になっている電子決済とECの状況を伝えました。
ESSについて、労働と福利局元局長の羅致光(Law Chi-kwong)氏は2022年3月に、「2020年6月の失業率は6.2%まで上昇した一方給料補助期間である7月~8月の失業率は6.1%~6.3%の間に維持できるのはESSによる『就業安定』効果だ」とコメントしました。
そして2020年11月から発生したコロナ第4波に伴った失業率の再上昇について、「2021年2月の失業率は7.2%に再上昇したが、コロナの状況が若干緩和された3月には既に失業率は減少しつつあり、4月からはさらに急減して、同年12月には3.9%へと、10ヶ月をかけて3.3%下がった。それに対して2003年SARSが香港を襲った時、同年6月の失業率が8.5%、3.3%下げるのに30ヶ月もかかった。2021年のリバウンドはその3倍だ。原因は色々あるが、ESSが大きな要因だと思う」とESSの効果を強調しました。
域外との往来制限の撤廃、防疫対策の見直しになるか
防疫対策の見直しは明言していませんが、香港政府は9月26日よりのホテル隔離措置を撤廃しました。
香港で一番有名なスポーツ大会の一つである香港セブンズは、今年11月にコロナ発生以来初めて開催され、この緩和措置の検証として期待されています。香港ラグビーフットボール協会(HKRFU)CEOのRobbie McRobbie氏は緩和された措置に残っている制限への懸念を表明しています。「スポンサーである国際企業は大会に対して疑念を持っているため、チケットの前売りは2019年の販売数より30%減少している。入境後3日間の自粛期間は大会会場には立入禁止となるため、海外からの観客にとっても不便で、チケットが完売できるかどうかは現時点では言い切れない。」また、350人の選手、コーチ及びメディカルチームは香港に到着後の3日間、会場とホテルとのみの移動に制限されるかはまだ確定していません。
現時点では、入境措置の緩和による最大の受益者は観光業界の経営者です。Sunflower Travel Serviceの次長はこの措置に対して「観光業界にとって非常に前向きの措置」だと評価しています。「緩和措置が発表された金曜日から、毎日300超えの問い合わせが届いている。主な客はこの3年以来初めて海外旅行を予定する香港居住者だ。」他の業界にとって、今回の緩和措置はいい影響と悪い影響の半分ずつのようです。緩和措置が発表後初めてとなる週末に、飲食グループのBlack Sheep Restaurants社の香港にある約40軒のレストランの売上が減少しました。グループの合同創業者であるSyed Asim Hussain氏によると、香港居住者はみんな香港から海外旅行に出ていることが原因です。「だが、残っている規制は観光客を香港に呼び寄せるのに魅力的ではない。香港政府に苦情を送るつもりだ。」
全体的に、この緩和措置は香港の経済と国際金融ハブの地位を維持するのにとって重要な一歩だと、S&Pグローバル・レーティング(S&P Global Ratings)アジア首席経済学者のLouis Kuijs氏がコメントしています。「国際的連結性において他の都市と競争するのに、入境措置の緩和は香港を公平な競争環境に立たせる事ができる。しかし、個人とビジネスの反応も航空会社の便数調整も時間が経てば叶うだろうが、近年香港から離れた人々やイベントは戻ってこないかもしれない。」
香港の優位性やビジネス環境維持が不安
入境措置は緩和されたのですが、香港の独特の優位性とビジネス環境を構成するもう一つの要因――政治的な状況への評価は未だに分かれています。S&Pグローバル・レーティング(S&P Global Ratings)アジア首席経済学者のLouis Kuijs氏の意見では、中国がゼロコロナ政策を維持するのに香港がそこから一歩抜け出せることは、「一国両制」での「両制」を強化でき、後日粤港澳大湾区(大湾区)の発展で香港の特色を発揮できます。
一方、2022年9月ニューヨーク・タイムズの記事では、今回の措置緩和が中国中央政府の許可を得た上で実施できた事実で、人々が香港の自治権喪失への懸念が強まってしまったとの意見です。「コロナ発生の前でも、香港で数ヶ月間も続いた大規模民主化デモへの参加で多くの市民が逮捕もしくは追い出され、団体や組織が活動中止され、香港での不可逆変化が既に進んでしまっている。」その上、コロナへの対応では前任の香港政府は中国の厳しいゼロコロナ対策を採用したり放棄したり、一貫していない行動を見せたことで、香港居住者の間では恐慌感が生まれ、香港在住の外国人を始め、多くの人は香港から離れることを選択しました。「香港の国際的名声は既に徹底的に破壊されている」と、香港で長い間コーポレート・ガバナンスを勤めていたDavid Webb氏がニューヨーク・タイムズの記事で指摘しました。
全体的に見ると、香港が金融・ビジネス・航空などの面で国際的なハブとしての地位が維持できるかどうかは中国と香港政府の方向性に深く依存しているため予測することが難しいですが、コロナ関連の制限はパンデミックの風土病化に伴い、続々と解除されていくに違いありません。店舗の賃料低下を機に新しく展開しているビジネスも不況でありながら現れ続けており、景気に顕著な回復が見られるまで香港政府が経済対策の実施で企業と民間を支え続ければ、香港の経済も徐々に修復するでしょう。
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ポストコロナ時代の香港の現状!経済とビジネス環境の修復に向けて
米中対立やコロナの世界的感染拡大、香港国家安全維持法の施行など、香港のビジネス環境が大きく変化しています。特に世界で多くの国が既に「ウィズコロナ」政策へ転換する一方、中国は依然「ゼロコロナ」政策を堅持し、香港は長い間板挟みの状態が続いてきました。
2022年7月に発足した香港の新政権は、3年弱続いてきたホテル隔離の政策を9月下旬より撤廃し、コロナ関連措置のさらなる緩和が期待でき、ビジネス環境と経済が改善されると見込まれています。
在香港日本国総領事館、ジェトロ香港事務所と香港日本人商工会議所の3組織は在香港の日本企業等が直面するビジネス環境を把握するために調査を実施しました。今回の調査は在香港の日本企業を対象に2022年7月に実施され、有効回答数は295社(うち非製造業265社、製造業30社)となります。
今回の記事では、この調査結果による在香港日本企業の22年下半期への展望に基づき、現時点で改善されつつある香港のビジネス環境の現状をお伝えします。
22年上半期悪化傾向の業績、下半期に改善を見込む
22年1~6月の業績が21年7~12月期(前期)と比較して「悪化」または「大幅悪化」と回答した企業の割合は上昇し、35.6%(前期:19.1%)となりました。
業績の変化理由について、特に影響が大きかった要因は「新型コロナウイルス」関連(71.6%)が中国の景気動向(11.5%)や米中対立(2.9%)より遥かに高く、景気回復がパンデミックの状況に深く関わっていることがわかりました。
パンデミック状況の緩和につれ、22年7~12月期の業績見通しに「改善」と回答した企業の割合は前期(18.9%)から14.5ポイント上昇し、33.4%となっています。特に非製造業の情報・通信・メディア・広告(50.0%)、飲食・小売(66.7%)、運輸・倉庫(44.8%)で「改善」の回答割合が20ポイント以上改善と顕著に好転しました。
業績が変化する理由として、「改善見通し」と回答した企業の半分(51.6%)は「香港市場での売上増加」と見込んでいる一方、「悪化見通し」と回答した企業の45.5%は「中国本土への輸出低迷による売上減少」を主な理由としています。
ゼロコロナ政策によるマイナスの影響
未だに中国で実施されているゼロコロナ政策は、ビジネスに大きな打撃をもたらしています。
84.1% の回答企業が「マイナスの影響が生じている」と回答し、自由記述欄での回答のうち、約半数が「往来の制限による事業活動への支障」、「物流の停滞による出荷および仕入れの遅延・コスト増加」と「インバウンド客の減少などによる需要や売上への影響」が各々約2割を占めています。
ヨーロッパのシンクタンクBruegel社によると、香港政府が施行した厳格なソーシャルディスタンス規制が各業界と香港の経済に直接且つ幅広い影響を与え、香港の2022年第1四半期のGDPは前年比4%減少しました。3月のデータではPMIが42に減少し、香港域内も対外貿易も厳しすぎる入境措置により大きく影響を受けました。同期の経済状況について、香港浸会大学ジャーナリズム学系の元アシスタントプロフェッサー、杜耀明(To Yiu Ming)氏は「個人消費(5%減)、設備投資(8%減)と輸出(4.5%減)が特にひどい。3月の小売売上高が13.8%も減少した上、飲食業界の収益は記録上最低となり、景気回復のために社会は一刻も早くこの非常事態から回復しなければならない」と指摘しました。
コロナ規制を依然緩和しない香港に対し、国際航空運送協会(IATA)事務局長のWillie Walsh氏が9月21日に「中国のゼロコロナ政策によって香港は国際ハブ空港としての地位を既に失った」と非難しました。一方、ロイヤル・カリビアン・クルーズが香港での業務をシンガポールへ移転するとの報道を受け、香港観光業議会(TICHK)会長の徐王美倫(Gianna Hsu)氏が「今後2年間香港に泊まるクルーズ客船はなくなるだろう。母港としての地位が危うい」と警告しています。
香港のビジネス環境への評価
1年前と比較した香港でのビジネスのしやすさについて、23.4%の企業が「悪化した」(21.4%)または「大きく悪化した」(2.0%)と回答し、項目別で見ると、「人材の確保」と「事業コスト」で「悪化した」または「大きく悪化した」と回答した企業がそれぞれ43.5%と35.7%となっています。また、自由記述欄で記入された具体的な「人材の確保」への悪化影響で、「人材の移住に伴う流出」との回答が大半を占めました。
香港の人口・人材流出が深刻に
実際、人材の流出はこの数ヶ月進んでおり、香港政府統計処(C&SD)が2022年第2四半期に発表した「年齢別の労働人口(Labour force by age and sex (excluding foreign domestic helpers))」のデータによると、香港の労働人口は全体で375.02万人、前年同期比で3.49%減少しています。20~49歳の6グループは全部マイナスになっており、特に20~24歳のグループは14.98%減という深刻な状況になっています。ブラックロックなどの大手グローバル投資企業が会員である香港投資基金公会(HKIFA)が最近行った調査の結果で、3割超の企業が区域やグローバルの執行役を一部もしくは全部香港から移転したと発表しました。香港の労働力は過去10年最低レベルになり、「今年末まで香港の経済はリセッションのままになるだろう」と香港の財政長官も警告しています。
コロナ関連を除き、香港の人材流出に影を落としている他の要因
人材流出の問題は、コロナ関連の各規制と影響以外に、愛国教育が推進される子女の教育環境、香港の高コスト構造など複合的な要因があります。
その中で各業界でも注目されているのは2020年6月より実施されている香港国家安全維持法(国安法)です。調査結果では41.1%の回答企業が、国安法について「大いに懸念している」(7.8%)または「懸念している」(33.3%)と回答しました。法への懸念理由の2~4位(情報に制限がかかる恐れがあるから(56.2%)、中国政府の干渉が増えて香港の自治が弱まる恐れがあるから(47.9%)、香港の「法の支配」「司法の独立」が失われる恐れがあるから(47.1%))を見ると、どれも香港が従来享受してきた「自由」の喪失への懸念で、最も懸念されている「人材が流出し、優秀な人材の確保が困難(68.6%)」という結果へと繋がっています。
実際、香港の変わり続ける政治的な雰囲気は人々に影を落としています。政府が去年発表した課程のガイドラインでは、「中国・中国のリーダー・中央政府に対する忠誠」が強調され、社会で「国安法が学校の課程にマイナスの影響を与えてしまうのは時間の問題だ」という声が増えて特に国際学校では人員補充が困難になっています。
また、国安法の適用範囲が幅広く、その不安定さでニューヨーク・タイムズを含めたマスコミ企業やNGOが2020年から続々と東京やソウルなどのアジア都市へ人員を移転しています。
では、様々な課題に今年7月に発足した香港の新政権はどうやって取り組んでいるか、経済の景気回復に繋がるコロナ政策から生み出した問題は解決されていくかについて、次回の記事でご紹介します。
注目!コロナ禍で自動化技術関連製品や家電に商機
香港のスマートホームアクセサリー(IoT家電)は新製品の発表とコロナでの在宅増加傾向により、家電のデジタル化需要が増え、セールスも急増しています。調色可能の電球に変えたいという市民もいれば、平均の消費金額が30%弱増えたという店舗もあります。
一方、同じくパンデミックの影響で抗ウイルス・殺菌技術への需要が増え、香港のスタートアップとの連携で技術と製品の可能性を最大化している企業もあります。
今回の記事では、コロナ禍で需要が高まっている自動化技術関連製品について、市場の現状と企業の実例をいくつかご紹介します。
普及し始めているIoT家電
4年前からMeross社のスマートIoT家電を入荷しているSynergy Tech(HK)社の製品経理Evan氏によると、近年ではApple社のHomekit製品の普及により、IoT家電の売上が伸び、市場にも様々な新製品が発表されています。例えばスマートコンセントは当初ペットの魚用の水槽向けのものでしたが、現在では一般家庭や身体不自由者などにも広く使われており、最近ではスマートロック、スマートコンセントとスマートスイッチも大人気になっています。コロナで人々の在宅増加はIoT家電のセールスを更に加速していますが、ウェハの供給不足の影響で全体的な売上予測は困難とのことです。しかし、Synergy Tech(HK)社のデータでは平均の消費金額が30%弱増加しており、パートナー企業の売上も好調です。
MOMAXの創業者とCEO鄭冬生(John Cheng)氏によると、2年前にIoT家電を発表し始めてから、コロナで人々の外出が減少し、買い物もオンラインショッピングが全体売上の約20%を占めており、コロナ対策のスマート製品の売上も連動して増加しました。製品の中でスマート空気清浄機シリーズが特に人気で、住宅以外にも、飲食店、コロナ対策の指定タクシー、養護施設、隔離ホテルなどに利用されています。John Cheng氏は8月に配布される予定の消費券に対応する支払い方法の増加が売上を伸ばすと見込み、オンラインショップでプロモーションをする予定とのことです。
スマートホームセキュリティ製品への問い合わせが増加
HKT社のHKT Home取締役蔡煒健(Derek Choi)氏が、IoT家電の技術が成熟し価格が安くなっていることから、中小型住宅用IoT家電への問い合わせが増えているとコメントしました。中でもスマートフォンでの操作性についての問い合わせが一番多く、最近ではIoT家電を含めたセキュリティソリューションについての問い合わせも増加しているとのことです。Derek Choi氏によると、HKT smart livingは170件以上の住宅プロジェクトにIoT家電のソリューションを提供しており、中でも新住宅とリフォームでのソリューションについての問い合わせが共に増加しています。
Everbest Technologies Ltd社の製品経理Esther氏は、「弊社は4年前からLifeSmartのIoT家電ソリューションを提供し、始めの頃はワイヤレスで操作可能なIoT家電に装飾性を求める客が大部分だったが、近年ではスマートカーテンやスマート照明など実用性の高い製品の需要が高くなっている」と述べています。
IoT家電トレンドで成功に実体験の必要性
将来のIoT家電トレンドに向けて、各企業はそれぞれのプロモーション戦略を持っています。
Synergy Tech(HK)社は製品の独特性と市場のトレンドに注目し、非政府組織(NGO)と連携し身体不自由者の需要を解決するなど自ら製品への需要を創造していくのが成功するコツだと話しています。MOMAX社はライブ販売などネットでの宣伝を増加し、消費者に自社の製品を無料で試用してもらう予定で、HKT社のHKT HomeはSNSで宣伝し、ショッピングモールでサンプルルームを設置して消費者に自社製品の効果を実体験してもらう方向です。Everbest Technologies Ltd社は展示即売会、ECショップでの販売や実例映像を通じて宣伝する方針です。
香港のスタートアップとの連携で製品の可能性を最大化する
紫外線の除菌技術は水処理施設などでの産業用途がメインでしたが、コロナの流行で「人が生活する空間」向けの新しい市場が生まれ、光応用製品専門のウシオ電機社が開発した、人体に無害な波長の紫外線を使った抗ウイルス・殺菌技術「Care222」の製品への問い合わせが突如殺到し、開発・量産計画が2020年から一気に加速しました。
室内に設置すれば即使用可能な小型のCare222ユニットは日本で約6,000台の販売実績があり、医療施設や商業施設、高齢者施設を中心に、欧米や中国でも導入実績が出始めています。
香港分社のUSHIO HONG KONG LTD.社は香港地元のスタートアップ、2018年設立のスタートアップECOBAY TECHNOLOGIES LIMITED社と連携し、香港市場向けの製品を開発しています。ECOBAY社の技術的なバックグラウンドやスタートアップならではのスピード感が決め手で、昨年の4月頃から協業を始めたとのことです。
世界初の空港採用、香港政府からも高い関心
ECOBAY社との提携と前後して、香港空港管理局(AAHK)からUSHIO HONG KONG社への問い合わせが入って、空港からコロナウイルスが市中への流入を防ぐために「Care222を全面的に導入したい」という内容でした。ECOBAY社も交えた協議を重ねた結果、1台目の手荷物カート用の殺菌設備が今年4月に香港国際空港に納入され、ウシオ電機社にとっては世界初の空港へのCare222納入となりました。
現在はカート用設備の追加のみでなく、エリア・用途の殺菌設備の導入も提案中とのことで、今回の実績を皮切りにアジアのその他の空港への納入も視野に入れる方向になっています。
香港では空港以外にも、幼稚園や病院、ショッピングモールにCare222製品の導入実績があり、中国の方針に沿って厳しいコロナ対策を実施している香港政府もCare222に高い関心を示しています。政府ビルのエレベーターでは、開閉ボタンなどにウイルスを塗布してCare222の効果を検証する試験を実施し、エレベーターや政府機関内の立ち入り制限区域などで導入する検討が進んでいるとのことです。
MAYプランニングでは、香港への進出や香港企業との連携に関わるサポート・香港市場でのプロモーションに関わるソリューションを提供しております。ご興味のある方はお気軽にご相談ください。
注目!オンラインプラットフォームだからこそ活用したい戦略3選
前回の記事では、香港で半分のマーケットシェアを占めているDeliveroo社を例として、香港でのフードデリバリー業界の実態をご紹介しました。コロナ禍で実店舗の役割が弱っている今、フードサービス企業の持続的な成長を実現するために、Deliveroo社のようなオンラインプラットフォームを活用できる3つの戦略を、今回の記事でご紹介します。
バーチャルブランド
バーチャルブランドとは実店舗を持たないブランドです。既に実店舗を持っているフードサービス企業にとって、バーチャルのサブブランドの展開は企業のキッチンの能力をフルに活用できる手段です。すでに確立したメインブランドを危険に晒すことなく企業の潜在顧客に購入してもらえるようになり、メインブランドの制限から解放することができます。
価格や食事形態の問題で、メインブランドがリーチできなかった顧客層の開拓は従来サブブランド戦略で解決できています。例えば佐賀県で創業した「うふふカフェ」は2016年から香港で進出していますが、今では「L.D.K. by Ufufu Cafe」をメインブランドとして、オムライス屋「Omelette Rice by Ufufu Café」や和風バーガー屋「Japanese Burger & Steak by Ufufu Cafe」のサブブランドを展開しています。
しかし、実店舗を持つサブブランドはどうしても店舗の賃料や食材などの準備費用がかかってしまい、オンラインプラットフォームを利用したバーチャルブランドの方がよりローリスク・ローコストで多くのお客様に異なる選択肢を提供し、新コンセプトを試したり、新たな収入源を確保したりすることができます。顧客側としても、いつもと違う選択肢や新しいメニューに挑戦することを自然に楽しむようになります。
Deliveroo社のデータによると、メインブランドからの注文に加えてバーチャルブランドからの追加注文が発生する割合は平均75%です。これまでに世界で誕生したバーチャルブランドが750もあり、バーチャルブランドで注文する顧客のうち、今までにメインブランドで注文したことがない人が84%います。その上、42%のバーチャルブランドはメインブランドよりも高い顧客評価を受けており、バーチャルブランドが企業の顧客層と可能性を開拓できることがわかります。
シェアキッチン
シェアキッチンはクラウドキッチンとも呼ばれ、主にデリバリー用の料理を作るために設計された施設を指します。1つのレンタルスペースの厨房を複数の店舗オーナー・料理人が共同利用し、デリバリー販売のみを行い、顧客の一回の注文で複数の企業・ブランドの料理を提供できます。
顧客側としてより多様な料理の種類と品目が選択でき、注文を一つにまとめることでより良いデリバリーサービスを実現できます。レストラン側としても、ビジネスの開始や拡大をローコストで、より広い市場へアクセスできるよう、節約した資金を新たなシェアキッチンへ投資することができ、顧客とフードサービス企業の双方に新しい価値をもたらします。設備の手配と施工、食物環境衛生署(FEHD)などの必要なライセンスの取得、光熱費やWi-Fiなどの費用の支払い管理など、キッチンの立ち上げと管理はシェアキッチンの利用でより簡単にマネジメントできます。
例えばDeliveroo社にはDeliveroo Editionsというシェアキッチンが香港と九龍を中心に8ヶ所あり、テナントであるレストランパートナーにキッチン管理とサポートを提供しています。その他、マーケティングとプロモーションの共同実施、メニューのカスタマイズと最適化、データに基づくパフォーマンス分析とアドバイスなどのサービスも提供しているので、香港に進出する予定のブランドにも心強いサポートになるでしょう。
プラットフォームのデータ分析
フードサービス企業は通常、自社の売上データしか持っていないため、市場全体のトレンド分析など他社の営業状況を含めたマーケティング戦略を立てることが困難です。プラットフォームそれぞれ提供するサービスが異なるかもしれませんが、ここではDeliveroo社のデータ分析サービスを例としてご紹介します。
Deliveroo社は、自社のグローバルデータベースを分析することで、レストランパートナー自体の売上データのみでなく、近隣地域に関するデータ分析を提供します。例えば、最も人気のある料理の品目、急成長や供給不足の料理の種類、平均消費額、注文の傾向や頻度など。
その中にもMarketerというデータ分析サービスがあり、顧客を正確にターゲットしたり、顧客への特別なオファーは適切なタイミングに必要な分だけすることができたり、自社ブランドの位置づけや適切な顧客の獲得を可能にするメッセージを送ったりすることができます。これらの要素は詳細な情報レポートに裏打ちされ、毎回オファーを改善することができます。
例えば、新規顧客をターゲットにする場合、リピーターが増えるのが予想できます。従来では、プロモーションの実施をレストランの既存のSNSで宣伝したとしても、顧客のうち何人が以前注文したことがあるか、どの人が新規顧客なのか、知る術はありません。Marketerを使用することで、マーケティング予算をレストランのページに初めて訪れる潜在顧客へのリーチにのみ集中させることができ、マーケティング費用を効率的且つインパクトのあるものにすることができます。Deliveroo社のデータ分析によると、新規顧客がMarketerのオファーによって企業のレストランを発見した場合と、他の方法により自力でレストランを探し出した場合と比較すると、ほぼ同じ割合でリピーターになり、再度注文しに来ています。
「フードデリバリー」は「料理」だけではない
スーパーやウェットマーケットの多くが住宅の徒歩圏内にあるため、香港では食料品、特に生鮮食品のオンラインショッピングが普及していませんでしたが、コロナ禍で外出を控える人の増加に伴い、現在香港では料理のデリバリーのみでなく、オンラインのワンストップ・ショップを生かした消費者エコシステムも拡大しています。
例えば、PARKnSHOP、7-ElevenやDON DON DONKIなど香港で最も信頼されているブランドを取り扱っているDeliveroo社の前年同期比(2020 Q4 vs. 2021 Q4)の達成度から見ると、登録店舗数が210%成長し、同一店舗での売上高が46%増加しました。その他、リピーター顧客が1.4倍増加し、新規顧客の月間増加数が118%に達しています。
フードサービス企業のみでなく、調味料・ミールキット・紙パック・ペットボトル飲料などを取り扱っている食料品企業にもオンラインプラットフォームの利用で客層を拡大することができます。
MAYプランニングでは、香港への進出に関わるサポート・香港市場でのプロモーションに関わるサポートを提供しております。デリバリーサービスプラットフォーム導入のサポートも可能です。ご興味のある方はお気軽にご相談ください。
急成長!コロナ禍で拡大中のフードデリバリー業界
以前の記事でもご紹介した通り、フードデリバリーはレストランにとって重要な収入源になりつつあります。香港のフードサービス業界では現在食事デリバリーとのコラボレーションに注力する企業が増加しています。実は香港のみでなく、コロナ禍においては世界中でフードデリバリーの急成長が見られます。ドイツの消費者データ専門のstatista社の予測によると、世界中のオンラインでのフードデリバリー部門の売上は、2022年に約3,392億米ドルに達する見込みです。その上、年成長率が8.29%と予測し、2026年までに売上が約4,664億米ドルに達すると見込んでいます。
今回の記事では2015年に香港に設立、現在香港では半分のマーケットシェアを占めているDeliveroo社を例として、香港でのフードデリバリー業界の実態と香港消費者の利用傾向についてご紹介します。
フードデリバリー市場の動向と消費者インサイト
2021年1月に行った香港市民1,000人を対象とした「Censuswide survey」と2021年12月に香港のDeliveroo顧客800人を対象とした「the Share of Stomach report」の調査結果から、香港の消費者に以下の傾向が見られることがわかります:
・食事が香港人にとって、ウェルビーイングに欠かせない一部
71% の回答者が、「自分の食べるものが精神衛生に重要な役割を果たしている」と回答し、64%がコロナ禍の中、お気に入りのレストランに注文することが幸福感やウェルビーイングに寄与していると回答しています。
・香港人は食事を注文する際、健康や味覚を優先
65% が「栄養レベルを管理したい」と回答し、コロナ禍での店内飲食制限などが自宅で食事をするきっかけとなり、以前より栄養を重視するようになっていることが推測できます。
香港消費者の38% が、デリバリーを選ぶ際に最も重要な要素として「風味と味」と回答し、30%の消費者が、自分の食事制限に関して条件を満たしているかを考慮し、26%の消費者が「専門的な知識を有する料理人が調理してほしい」と答えています。
・半数以上の香港人がデリバリーサービスに頼るようになっている
78%の香港消費者がコロナ禍以来、少なくとも週に一度はフードデリバリーサービスを利用しています。香港人は2020年、フードデリバリーサービスに月平均1,324香港ドルを支出、2019年と比較して21%増加しました。55%の香港消費者は過去1年間にフードデリバリーやテイクアウトを注文する回数が増え、その上、75%の香港人がフードデリバリーサービスを今よりもっと定期的に利用するようになると回答しました。
・香港人はアジア料理を好み、オンライン注文できる便利さを享受
香港人が中華以外の外国料理で一番好んでいるのは日本料理(45%)で、韓国料理(36%)とタイ料理(22%)も多くの香港人に好まれ、舌の肥えた香港人はアジアの国々や地域を旅行するかのように様々な味覚を楽しんでいます。
家では作れない外国料理も多いので、それが理由でオンライン注文を利用している消費者が29%います。その他、コロナ規制で大ダメージを受けているお気に入りのレストランを支援するためにオンラインで注文している消費者が27%、自宅で調理するのが面倒と感じる消費者が24%います。
・平日と週末のオンライン注文傾向が異なる
週末の注文の多くはディナータイムに集中しています。夕食では大人数での利用が一般的なので、消費額が昼食の消費額より20%高く、週末の場合、消費額が平日より更に10%高いです。
逆に平日は仕事の合間での昼食利用が多く、個食ミールボックスが非常に人気で、日本料理ではお弁当の注文数が特に多いです。
では、飲食業界はどうやってDeliveroo社などのオンラインプラットフォームを利用して事業の成長と拡大を実現できるか、次回の記事でご紹介したいと思います。
最新!香港フードサービス市場の5つのトレンド
コロナ禍が始まって2年以上経ち、香港のフードサービス市場には大きな変化がありました。全体的な景気はまだまだ回復中ですが、香港消費者の食習慣に合わせることができる場合、これは敢えて香港の飲食業に参入する機会になるかもしれません。
この記事では、香港投資推進署(InvestHK)が発表した香港フードサービス市場の最新トレンドについてご紹介します。
トレンド1:グリーンイーティング
以前の記事でもご紹介したように、植物由来の原料で作られた人工肉は今世界的に人気になっています。その中でもアジアでは特に人気で、代替肉の肉まんや餃子などアジア人の味覚に合わせて作られたものも続々と登場しています。
香港では、東洋と西洋の様々なレストランが軒を連ね、活気に溢れています。人気チェーン店や高級レストランではアジア人の嗜好に合うようにメニューがアレンジされ、グリーンメニューや総菜を提供するファストフード店も増加しています。
イギリスの市場調査会社Euromonitorの予測によると、2025年、全世界の代替肉市場と代用乳市場の規模がそれぞれ約275億米ドルと225億米ドルに成長し、特にアジア太平洋(APAC)の代替肉市場は全世界の74.5%を占めており、代用乳市場も全世界の48%を占めています。中でも、香港と台湾を含む大中華圏の規模がAPACの大半を占めています。
InvestHKの調査によると、香港では約40%の市民が準菜食主義者で、「植物性代替食品を積極的に摂取すべき」に「同意」と「強く同意」と思う回答者が52%もいます。香港の植物性代替肉販売サイト「Green Common」での食料品売上高の伸び率が77%で、フードデリバリーサービスDeliverooでコロナ禍の植物性代替食品の注文増加率が160%になり、香港でのグリーンイーティングに関する市場規模の大きさがわかります。
トレンド2:Grab And Go(手に取ってすぐ食べられる)
ご存知の通り、香港の生活ペースは早いです。それ故、「Grab And Go」というスタイルがせっかちな香港人に非常に適しています。
日本食といえば、「華御結」というおにぎりのチェーン店は2011年に香港の一号店をオープンし、現時点で102店舗にまで拡大しています。董事長の西田宗生氏が「国際都市香港の人々の間では日本食が大人気です。気軽に食べられ、そして何よりも品質を重んじます。」と華御結の成功について語りました。
特にコロナ禍で店内飲食が規制されている今、テイクアウト専門の軽食店や飲料店が以前より数多く見られます。このトレンドに乗るために、従来の飲食店は一部のメニューを「持ち帰り」用にアレンジし、料理の質を落とさず、より簡単なメニューに変更しています。
トレンド3:賃料が手頃になり、小型店やポップアップショップが急増
2019年を始め、昔から小売店が立ち並ぶ地域(尖沙咀(Tsim Sha Tsui)、旺角(Mongkok)、銅鑼湾(Causeway Bay)等)の賃料が急激に下落しました。その後は市場回復を見越し下落傾向が鈍化していますが、2019年同期と比べて、2021年ショッピングセンターでの賃料が37.1%下落し、路面店の賃料は50.2%も下落しました。
テイクアウト注文が増加している今、約18-27平方メートルの小規模店舗でも、地元の人々にサービス提供が可能になっています。そのため、フランチャイズモデルでの展開がしやすく、起業家やシェフが新しいコンセプトを試すのに最適です。
トレンド4:大湾区(GBA)における食品貿易・製造の商機
食品・飲料メーカーは、サプライチェーンの課題解決に向けアジアに生産ラインを設置し、より市場の近くで製品提供を行うことを検討しています。各メーカーは、香港の先端製造能力により香港をパイロットセンターとして活用し、GBAでの商業展開へと繋げることができます。
昨年、日清食品有限公司(香港日清)は、香港で即席麺を製造するための新しいスマート生産ラインを導入するため、再工業化助成スキームに申請し、1500万香港ドルの補助金を獲得しました。
世界の食品・飲料貿易企業は、消費者の自由裁量所得の増加や健康志向の高まりを受け、巨大な中国市場から利益を得ることができる一方、香港を国内・国際の双循環戦略に則ったビジネスにおいて重要な促進役として活用できます。
フードサービス企業は香港を活用することで、金融、物流、運営の戦略的な現地パートナーを獲得し、レシピ・コンセプトのテストを実施、流行を香港から発信した上で、次のステップとして8,600万人のGBA市場へ参入できます。
香港では、食事宅配、オンライン食料品店、クラウドキッチン、バリューチェーン全体のイノベーションなど、飲食関連ビジネスのデジタルエコシステムが成熟しています。製品、サービス、習慣を最初に香港の消費者で試すことで、次にターゲットとするGBAや中国本土市場に参入し、デジタルに精通した消費者にアクセスする道を切り拓くことができます。
トレンド5:フードデリバリーと食料品のオンラインショッピング
コロナ禍で店内飲食規制の影響を受け、フードデリバリーとのコラボレーションに注力する飲食企業が増加しています。フードデリバリーはレストランにとって重要な収入源になり、香港のフードサービス市場におけるフードデリバリーの売上シェアは2016年の4.4%から2020年に急増し、2021年には22.3%に達しました。
フードサービス業界でのデジタル化は食事の注文と配送以外にも、オンラインのワンストップ・ショップを生かした消費者エコシステムも拡大しています。香港ではスーパーやウェットマーケットがすぐ住宅の近くにあり、香港の消費者は従来では直接買いに行くのが当然のことですが、コロナ禍で外出を控えるため、香港の消費者の多くは食料品をオンラインで購入するようになっています。
現在の香港でのフードデリバリー業界の実態と運用についての詳しい情報は、次の記事でご紹介したいと思います。
コロナ禍で消費者の習慣が激変!企業側の5つの対処法
2年以上続いているコロナ禍は今でもまだ収まる様子がなく、デジタル消費者やネットでの消費行為が増える一方で、オンラインショッピングと電子決済がニューノーマルになりつつあります。
この記事では、Adobe社が最近発表したレポートに基づき、今の消費者の需要に応えるべく、企業側が直面する5つのトレンドとその対処法をご紹介します。
Adobe社とEconsultancy社が今年2月に発表した「2022デジタルトレンド:APACに注目(2022 Digital Trends – APAC in Focus)」のレポートでは、2021年11月から2022年1月まで943人以上の上級管理職、IT及びマーケティングプロフェッショナルにインタビューをし、現在のデジタルトレンドを分析しました。
Adobe社のAPACマーケティング副総裁Duncan Egan氏によると、デジタル化はAPACの消費者の考え方を変えました。そのため、対応のデジタル化と柔軟さを重視する新興消費者を企業は以前よりも理解しなければなりません。Adobe社はその変化のトレンドに基づいて5つの対処方法を挙げました:
1)新興消費者を理解し 変革を加速する
レポートによると、77%のAPACマーケティング担当の回答者は、現存の客層を維持と拡大するため、新しく且つスピーディーな顧客体験を生み出さなければならないと回答しました。
特にコロナ禍では、デジタルマーケティングはとても大切です。49%のAPAC企業のリーダーは、今後デジタルマーケティングを中心にする意向があると述べました。マーケティング担当者は様々な方法とデータを利用してマーケティング戦略を改善しなければならないので、企業はその方向に資源を投入し、洞察力のある人材を起用して商機を迅速につかむべきです。
2)顧客体験向上 パーソナライズドサービスを提供する
レポートでは、多くのAPAC企業はデジタルでの新規顧客の獲得を最優先とし、現存の顧客の維持をその次としています。そして新規顧客を獲得するために、まずは顧客体験を改善することです。
そこで、業務のデジタル化は顧客体験を改善できます。38%の回答者は「自動化」が顧客体験改善の要だと答え、54%以上の企業はワークフローと作業項目の管理ソフトに投資し、生産力の向上と顧客へのパーソナライズドサービスの提供に力を入れていると答えました。
3)柔軟さを重視し人材を引き留める
92%の回答者は「柔軟さ」がマーケティングで成功する要だと回答しました。しかし、自分が勤めている会社の変革・対応への柔軟さを8点(10点満点)以上評価している従業員は僅か25%しかいません。柔軟さの欠ける企業は、マーケティングの担当者にさらなるストレスをもたらし、顧客へのマーケティングが難しくなり、人材流出も起きやすくなります。
Adobe社のAPACデジタルトランスフォーメーション本部長Scott Rigbyによると、84%のAPAC企業は技術と社会変化の速度が変わらない或いは加速していくと予測しています。時代の変化に遅れない技術と対応の柔軟さはこれからも企業発展のキーポイントとなるでしょう。
4)ITとマーケティングでの協力
高級管理職の回答者はマーケティングチームとITチームの歩調連携が大切だと考えています。92%のAPAC企業のITチーム管理職の回答者は自分のチームがマーケティングチームと以前よりも緊密に協力していると思い、マーケティング担当が顧客体験の戦略に集中できると同時に、ITチームはデジタルトランスフォーメーションの可能性分析と導入に力を入れられ、お互い協力し合うべきだとの意見です。
5)顧客の信頼を獲得
顧客の信頼はブランドにとって大事な要素です。そして、パーソナライズされた体験はブランドが信頼を得るのに有力な方法の一つです。レポートでは48%のAPAC企業はサードパーティCookieを排除したマーケティング環境を準備できていないと回答しました。これは企業が将来パーソナライズした顧客体験を創ることに影響してしまうかもしれません。
レポートによると、IT担当はデータの安全と正当性に責任があります。その上、企業は1次データを使うべきで、例えばAIでカスタマイズした閲覧体験を創ることができ、顧客のオンラインとオフラインの行為に基づいて商品を勧めることにより、顧客により合うパーソナライズした体験を提供し、顧客の購買意欲を高め、企業の業績を上げることができます。
MAYプランニングでは、業務のデジタル化、ITソリューションの提案と導入、実務サポート、デジタルトレンドへの対応方法に関わるコンサルティングなど様々なサービスを提供しております。お困りの方はお気軽にご相談ください。
注目!アジアで広がっている人工肉食文化
前回の記事では、現在世界的に注目されている三種類の人工肉――代替肉、培養肉、発酵食品とその世界的市場についてお伝えしました。
今回は、アジア、日本、シンガポールと香港市場での人工肉業界の動きについてお伝えします。
日本でも人工肉業界が成長
日本でも、大豆由来の代替肉原料を開発・製造するスタートアップDAIZ株式会社が冷凍食品大手のニチレイフーズと業務提携を締結するなど、2019年から食品メーカーを中心に人工肉参入の動きが続いています。2019年12月には食肉大手の伊藤ハムが人工肉市場への参入を発表し、2020年1月には食肉業界最大手の日本ハムが人工肉市場に参入すると報じられました。
現在日本では大豆由来の代替肉商品が増え、例えば日本ハムの「NatuMeat(ナチュミート)」や伊藤ハムの「まるでお肉!」シリーズなどは日本のスーパーで発売されており、一般の消費者にも簡単に手に入れられるようになっています。
シンガポール政府が培養肉の販売を許可
2020年12月、シンガポールはアメリカのEat Just社から輸入の培養肉「Just Meat」の販売を許可しました。培養肉の販売許可はこれが世界初です。
植物由来の代替肉と違い、動物の細胞を組織培養するのコストが高いため、培養肉はまだまだ普及はしていません。Eat Just社がシンガポールで最初に発売する商品はチキンナゲットで、価格は当初50USDに設定しましたが、現在は高級鶏肉相当の価格まで下げ、「1880」というレストランで提供されています。
香港でのベジタリアン料理が人気に
香港大学の2018年の研究によると、香港は人口1人当たりの肉の消費量が世界で最も高い地域の一つで、毎日人口1人当たり664gの肉を消費しています。しかし、近年では動物飼育に伴う汚染や動物性脂肪の健康への影響に関心を持つ人が増加し、コロナ禍の2年間で代替肉を販売しているお店はどんどん増えています。
元朗(Yuen Long)にある健康食材販売店の責任者呉氏は「お客様一人あたりの消費額は約150香港ドル。代替肉の新トレンドで若いお客様から代替肉に関するお問い合わせが増えており、これからも代替肉の需要が増えていくと見込んでいる。」とコメントしました。
インポッシブル・フーズ社のNick Halla(ニック・ハラ)上級副社長は「パンデミックの前に、世界での提携飲食店は約2,000軒から2.4万軒に、11倍増加した。香港での提携飲食店も約250軒しかなかったが、パンデミック期間には約1,000軒と3倍に増加した。」と香港での代替肉トレンドについて説明しました。
2021年10月4日より、香港にある120軒以上の飲食店がImpossible豚肉を使った料理を提供し始めました。例えば、点心専門店の「添好運」はImpossible豚肉を使った点心と炊き込みご飯を提供し、飲食店チェーンの「美心MX」は45店舗に「燒汁茄子ImpossibleTM植物豬肉煲(ソースがけ茄子とImpossible豚肉の鍋」」を提供し始めました。その他にも、餃子専門店の「餃子源」、上海料理店の「王家沙花樣年華」やカツレツ専門店の「京都勝牛」など、料理の種類を問わず色々な飲食店が提携しています。
提携店のベジタリアン洋食カフェOVO CAFÉの黄経理は、植物由来の代替肉が2年前から飲食の新トレンドになっているとコメントしました。「香港でのベジタリアン飲食店が大幅に増加したので、様々なブランドから代替肉の食材を選ぶ際にはお客様の健康を考慮して食材の新鮮さで選んでいる。」
香港はインポッシブル・フーズ社の初の輸出地
香港市場に進出する足がかりとして、インポッシブル・フーズ社は飲食店から入る戦略を取っていました。「私たちはホテルや高級レストランからはじめ、そこにいる多くの上質な顧客から信用と評判を得ている。」香港の多様な食文化も人工肉の可能性を広げているとHalla上級副社長がコメントしました。「中国料理店は代替肉で中華肉まんや点心を作ったり、鍋料理店は代替肉を火鍋の具材として使ったりして、調理方法は色々だが、どちらも本物の肉と全く同じ。」
Halla上級副社長は香港消費者の消費習慣についても注目しました。「香港の消費者はアメリカと比べてより健康と栄養に関心を持っている。例えば抗生物質やホルモン剤が使用されているか、タンパク質や鉄分が多く含まれているか、脂肪やカロリーが少ないか。人工肉のメリットは栄養から成分まですべて生産中に調整できること。」
2012年に設立した、ベジタリアン食文化と低炭素社会を推進している香港の社会的企業Green Mondayも代替肉の生産に参入しています。同社が開発した「OmniPork」は香港で有名な餃子ブランド「湾仔碼頭」とコラボし、植物由来の豚肉で作った豚肉餃子を販売しています。生活のペースが早い都会人に合わせるため、同社が「OmniPork」を使ったインスタント麺料理やインスタント点心などを「OmniEat」シリーズとして販売し、パンデミック期間に売上が約5倍増加しました。
発展の方向性として、今後はより多くの食品を開発し、販売代理店を増やす以外、グループのレストランGreen Commonの店舗を増やすのも重点的な方向だとGreen Mondayの創設者楊大偉(David Yeung)がコメントしました。「顧客に写真を撮らせるために実店舗の設立もとても重要だ。」
MAYプランニングでは、香港市場への進出に関わるサポートを行っています。現地飲食店とのコラボレーション、現地スーパーでの販売サポートなど幅広いマーケティングソリューションを提供しております。ご興味のある方はお気軽にご相談ください。
突然!Uber Eatsが香港から撤退・香港のフードデリバリー業界実態
有名な自動車配車サービス会社Uber Technologies, Inc.のフードデリバリーサービス「Uber Eats」が、香港での5年間のビジネスを終え、去年の12月31日を以ってサービスを終止することを発表しました。Uber Eatsの代表は、Uber Eatsの香港での業務成長は予測に達していないので、Uberは今後香港では配車サービスに専念するとコメントしました。
コロナ禍で人々が外食を控えているため盛況になっていると思われるフードデリバリー業界の、香港での実態についてご紹介します。
香港での注文配達プラットフォームトップ3
香港のMeasurable AIとアメリカのApp Annieのデータによると、香港でのフードデリバリーサービスでのトップ3はfoodpanda、deliverooとUber Eatsです。去年4月のアクティブユーザー数はそれぞれ127.33万人、62.53万人と28.94万人、市場占有率はfoodpanda37%、deliveroo17%とUber Eats12%となっています。
Uber社は2014年8月、アメリカのカリフォルニア州サンタモニカで、「UberFRESH」という名称でフードデリバリーのサービスを開始し、2015年にサービス名を「UberEATS」に改名しました。
同社が香港での自動車配車サービスを開始したのは2014年6月ですが、Uber Eatsの香港業務を開始したのは2年後の2016年で、競争相手のfoodpanda(2014年)とdeliveroo(2015年)のサービス開始時期に対して遅めなのが、市場占有率競争に不利の主因だと思われます。
去年の9月まではプロモーションに膨大な資金を投入
Uber Eatsの今回の撤退は突然の決定として世間をとても驚かせています。それは、Uber Eatsは去年の7月に千万香港ドルを超える予算を投じて当地の中小飲食店を支援すると発表し、9月にはマクドナルドとのコラボレーション「Happy Delivery」を発表、数ヶ月間に多くの香港歌手との広告やプロモーションに力を入れていたからです。
去年7月、Uber Eatsは「Tonight I’ ll Be Eating」という千万香港ドルを超えるプロモーション企画を発表しました。この企画は「撐地區好味道(各地区の美味しさをサポートする)」のスローガンをもとに、プラットフォームでの3000軒超えの中小飲食店を重点的に宣伝していました。テレビ、交通機関やインターネットなどでの広告のみでなく、クーポンや飲食店とのコラボレーションも去年の後半に続ける予定でした。Uber Eatsは人気歌手の鄭欣宜(ジョイス・チェン)と許廷鏗(アルフレッド・ホイ)が推薦する宣伝素材を各中小飲食店に無料で提供し、1000軒以上はブランド名、おすすめの食品などの内容をカスタマイズできるとのことでした。
Uber Eats香港地区の総経理Elisa Janiecが今回のプロモーション企画で新規飲食店の登録を40%~60%、新規ユーザーが30万名以上の成長を期待していると当時コメントしました。また、年内にはプラットフォームで飲食店向けの新しい機能を発表する予定で、飲食品以外(ファッション、電子製品、コスメなど)の配達サービスについても数年内に発表する予定とのことでした。
コロナ状況の収まりがフードデリバリー業界に影響
世界中では依然コロナの感染数が多くなっている中、香港は去年の10月以来本土での感染数がゼロで続いています。飲食店は一時は1テーブルの着席人数を2人までで営業を6時までにという厳しい制限がかかっており、店内飲食に大きな影響を与えていましたが、コロナが落ち着いてる今では、香港市民は店内飲食する傾向に戻り、フードデリバリー業界の競争が激しくなっていることも、Uber Eatsが香港から撤退する理由の一つだと考えられます。
※1月20日現在では、オミクロン株の影響により再び香港の規制は強化されています。
香港餐飲業協会(HKFORT)のSimon Wong Ka-wo会長のコメントによると、飲食業界のテイクアウト業務は最近約2ヶ月間で減っています。去年は比率が30%もあったテイクアウト業務が、今は15%未満に減少しました。
また、foodpanda、deliveroo、Uber EatsとHKTVmallの4つのフードデリバリーサービスを利用している飲食店の龍鳳祥餃子館(Dumpling Pro)も毎日の注文数について、他のプラットフォームが15~20つ入ってくるに対しUber Eatsは1~5つしか入ってこないとコメントし、Uber Eatsの利用率不足が反映されています。
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