【2020年版】香港個人所得控除まとめ
個人所得税
香港では、個人所得税は一般的に給与所得税と呼ばれています。会社員などの給与所得から所得控除、慈善寄付金などを引いた額を個人所得税として課税されます。税額は所得控除後の課税対象所得の累進税率もしくは所得控除前の課税対象所得の標準税率により算定された税額のいずれか低い方が適用されます。
所得控除
個人所得控除は、主に6種類があります。
個人所得控除 | 2020/21年度 香港ドル |
基礎控除 | |
未婚者 | 132,000 |
既婚者 | 264,000 |
寡婦(夫) | 132,000 |
障害者 | 75,000 |
扶養子女控除 – 第1子から第9子まで(1人につき) | |
誕生年度 | 240,000 |
翌年度以降 | 120,000 |
扶養父母・祖父母控除(1人につき) | |
60歳以上 | 50,000 |
55歳~59歳 | 25,000 |
1年を通し扶養父母・祖父母と同居している納税者に対する追加控除(1人につき) | |
60歳以上 | 50,000 |
55歳~59歳 | 25,000 |
扶養障害者控除(1人につき) | 75,000 |
扶養兄弟姉妹控除(1人につき) | 37,500 |
香港の自由貿易体制
自由貿易経済
香港は世界で最もオープンな経済の1つであり、自由貿易を特徴とするビジネスに優しい環境を持っています。それにもかかわらず、成熟した金融規制体制と法体系を備えています。さらに、簡素な税制と低い税率、そして高度な交通インフラと通信インフラが整備されています。
金融市場
香港の金融市場は、高水準の流動性を提供し、国際基準に準拠した効果的で透明性のある規制の対象となっています。ロンドンやニューヨークなどの他の重要な国際金融センターと共に、24時間体制で稼働するグローバルな金融システムにおいて重要な役割を果たしています。香港はまた、中国本土の経済および金融システムへの重要なゲートウェイとなっています。金融業界の従業員数は246,000人で、香港の総労働力の6.5%、国内総生産(GDP)の16.6%を占めています。香港は世界で7番目、アジアで2番目に大きい銀行センターであり、2017年10月時点の資産は22.7兆香港ドルでした。資産運用ビジネスは非常に国際的で、運用資産の約71%は香港以外の投資家からの資金流入分です。
金融政策
香港金融政策の優先的な目標は、通貨の安定性、つまり香港ドルと米ドルの間の外国為替価値の安定性を維持することです。原則として、為替レートはほぼ7.8 香港ドル=1米ドルに固定されています。インターバンクマネー市場も確立されており、米ドル、香港ドル、ユーロ、人民元での取引をリアルタイムで処理できる強力な銀行間の即時グロス決済システムに支えられています。
人民元ビジネスセンター
人民元の国際化が進む中、香港は世界最大のオフショア人民元ビジネスセンターです。全体的に国境を越えた貿易取引、投資、資金調達、資産管理をサポートし、人民元債、ローン、エクイティ商品の開発をしています。2016年、香港の銀行が処理した人民元の貿易決済額は4兆5,240億元、人民元の預金は6,250億元でした。
グローバルパートナーとの連携
アジア太平洋経済協力(APEC)、世界貿易機関(WTO)、世界税関組織(WCO)などのグローバルパートナーとの積極的な国際関与と協力、そしてWTOのサービスの貿易に関する一般協定、経済協力開発機構(OECD)が策定した非居住者に係る金融口座情報の自動的交換のための報告制度(AEOI)への参加によって、香港が国際金融・貿易センターとしての地位を維持できることが証明されています。2016年、香港は世界の貿易取引の3.3%を占め、総額は1兆640億ドルに達し、主な貿易相手は中国本土、米国、台湾です。
国際機関への参加
香港は、国際通貨基金(IMF)、世界銀行、バーゼル銀行監督委員会(BCBS)、国際証券委員会(IOSCO)、国際保険監督者協会(IAIS)、金融活動作業部会(FATF)、アジア・太平洋マネー・ローンダリング対策グループ(APG)などのグローバルな基準設定機関に積極的に参加しています。
香港のビジネス環境
基本情報
香港は、中華人民共和国の特別行政区です。安全なビジネス環境を提供するだけではなく、南シナ海の珠江デルタの東側に位置していることで恩恵を受けています。香港は1,104平方キロメートルの領域にさまざまな国籍の750万人以上が住んでおり、世界で最も人口密度の高い場所の1つです。それに十分な人員を確保しています。
香港は1841年から1997年までイギリスに統治されていて、1997年7月1日に中国が香港に対する主権の行使を回復しました。現在は中国の特別行政区ですが、未だにイギリスの慣習法に従っているため、信頼は概念として認識されています。
政治体制
基本法は、中国の国内法および香港の憲法であり、「一国二制度」の基本原則です。したがって、香港は高度な自治権を行使し、行政権、立法権、独立した司法権を享受することができます。
香港はおそらく世界で最も強力な自由競争主義経済を持っています。政府は不介入政策を堅持し、企業に対する政府規制と開示要件を最小限に抑えます。民間企業にとって、香港は最小限の資本しか必要としません。一方、完全子会社として登録された企業の場合、香港でも最低限の財務諸表が必要です。
お得な海外送金 TransferWise
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マルチカレンシー口座と銀行口座の違い
TransferWiseのマルチカレンシー口座は電子マネー口座です。通常の銀行口座とは以下のような点が異なります。
● 貸し越し(オーバードラフト)やローン等の設定はできません
● 口座の利息を得ることはできません
● 付与される口座情報はアカウント毎に異なり、通常の銀行口座と同じ情報ですが、電子マネー口座として取り扱われます。それでも銀行口座のように支払いを受けることができます
● お客様のお金は保護されていますが、銀行口座のように金融サービス補償スキーム(Financial Services Compensation Scheme、FSCS)によって規定されるものではありません
TransferWiseのメリット
銀行口座よりもTransferWiseマルチカレンシー口座を利用するメリットは、 以下の通りです。
● 主な利点は、国際取引手数料や法外な為替レートが請求されないことです
● 1つのアカウントで口座内にある通貨を使って送金と受け取りができ、本当の為替レートで両替することが可能です。送金時に発生する最低限の手数料のみで、為替レートに隠れるコストを排除できます
残高明細書のダウンロード方法
有効化した通貨や残高に保有されている通貨毎に明細書(PDFもしくはCSV)をダウンロードできます。
ウェブサイトから取引明細をダウンロードする
1. 残高を開く
2. 明細書を希望する通貨をクリックする
3. 「More」を クリックし、明細書をダウンロードする
4. ご希望の期間を選択する
5. PDFまたはCSV形式を選択する。CSVのみXeroにアップロードすることができる
6. ダウンロードをクリックする
7. ダウンロードを確認する際、TransferWiseのパスワードの入力が必要な場合がある
iOSとAndroidで取引明細をダウンロードする
1. アカウントを開く
2. 明細をタップする
3. 明細書を希望する通貨をタップする
4. ご希望の月を選択する
5. ファイルフォーマットを選択する
6. ダウンロードを確認する際、TransferWiseのパスワードの入力、または指紋認証や顔認証を求められる場合がある
ウェブサイトからは365日間の明細書をダウンロードできます。アプリからのみ月次明細書をダウンロードできます。
香港法人の維持管理のために必要なこと
香港法人の維持と管理は、間違いなく最初の会社設立と同じくらい重要です。基本的に、香港法人は毎年少なくとも2つの政府部門と連絡を取る必要があります。
第一に、香港法人は会社登記所と連絡する必要があります。
会社の社内体制に変更がない場合でも、年次報告書を更新し、会社登記所へ提出しなければなりません。
それにもかかわらず、会社は会社秘書役サービスを利用し、専門の会社秘書役を任命して、会社登記所への通知・登記をすることが義務付けられています。2018年以降、会社条例改正により、すべて法人の会社秘書役はTCSPライセンス(Trust and Company Service Provider)を取得する必要があります。さらに、会社秘書役は法人の最終受益者に対して顧客デューデリジェンスチェックの更新と継続的なモニタリングを行う必要があります。
第二に、香港法人は税務局(IRD)とも連携しなければなりません。
税務局は、会社の財務情報を扱う部門です。会社は税務局で商業登記証(Business Registration)を更新する必要があります。香港法人は事業登録事務所の住所情報が正確かつ最新であることを確認し、同時に12ヶ月ごとに会計監査を実施する必要があります。税務局は香港法人に雇用主支払い報酬申告書と事業所得税申告書を発行し、期限までに記入して提出するよう求めます。
必要書類のほかに、会社は香港でのビジネス住所を確保する必要があります。
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香港に現地法人を設立することは、起業家精神を実現するための最も迅速かつ簡単な方法かもしれません。しかし、現在の予期せぬ世界的な状況を考えると、一部の起業家は、今は香港で起業するのに良い時期か、すべての計画を一時停止しようか、と思うかもしれません。
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ここでは、すべての香港企業に利益をもたらす措置についてご紹介します。
商業登記費の免除
商業登記費は、香港で事業を行う事業体が有効な商業登記証(Business Registration)を取得するために支払う行政事務手数料です。通常、1年間の商業登記費は2,000香港ドルです。香港政府は、2020年4月1日から2021年3月31日までに商業登記費を免除します。これはすべての企業および個人に適用されます。
年次報告書の更新料の2年間免除
年次報告書の更新料は、香港法人の設立認可証の更新に関連するもう1つの行政事務手数料です。会社は設立記念日までに年次報告書を提出し、更新料を支払う必要があります。香港政府は、毎年105香港ドルの年次報告書の更新料を2年連続免除します。
参考:2020/21年度財政予算案 – 企業支援および雇用確保
企業および個人に対する100%減税
香港の事業所得税の税率は200万香港ドルまでの利益に対して8.25%とかなり低くなっていますが、香港政府は、納税者に対する事業所得税と給与所得税の負担を軽減することを図っています。2019/20査定年度(2019年4月1日から2020年3月31日まで)では、事業所得税、給与所得税および個人所得税の控除はそれぞれ最大2万香港ドルまでとなります。
例えば、ある香港会社とその唯一の取締役は、会社の収入と取締役としての収入が会社の事業所得税と個人の給与所得税の対象となるため、両方の控除を享受できます。税額控除の上限は、それぞれ最大2万香港ドルです。
参考:IRD – 2019/20年度事業所得税、給与所得税および個人所得税の減免
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現在の状況では、特にソーシャルディスタンスと旅行の制限が行われている場合、お客様の健康は常に私たちの最優先事項です。順調な進行を保つために、香港に行かなくてもリモートサポートで香港の会社登記と銀行口座の開設ができます。
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【2020年版】香港所得税制度と申告手順を解説
今年も香港での給与所得税(Salaries Tax)の申告の時期となりました。毎年4月に入ると、香港税務局(IRD)から給与所得税に係る申告書が雇用主宛に発行され、5月に入ると個人宛にも別途申告書が発行されますが、2019/20年度に限り、香港における民主化デモ並びに新型コロナウイルスによる政府機関の業務への影響もあり、発行日が6月1日となりました。各申告書とも申告期限があり、提出を怠ると罰則(通常は罰金のみ、悪質な場合は禁固刑の規定もあります)の対象になる可能性があります。
毎年恒例ではありますが、改めて香港の給与所得税制度について、申告から納付までの流れを解説していきます。
給与所得税制度
香港では日本と異なり、個人の給与の申告対象期間は、税務局の課税年度に従って、毎年4月から翌年3月末日までの1年間です。給与所得税は、香港で勤務または就業したことから発生する収入に対して課税され、コミッション、賞与、チップ、手当、その他臨時収入、香港で提供されたサービスに対する収入および年金も課税対象に含まれます。日本の源泉徴収制度と違って、香港では会社から受領した給与支給状況表の写しを基に、税務局に確定申告を行う必要があります。
税率と所得控除
給与所得税の税率は標準税率15%と、段階的な2~17%の累進税率との選択制となり、結果として給与の規模に応じて納税額に差が出ます。最終税額は次のように計算した金額のいずれか低い方となります。
標準税率の場合
税額は所得控除後、人的所得控除前の課税対象所得に標準税率15%を乗じた金額となります。
累進税率の場合
税額は所得控除及び人的所得控除後の課税対象所得に以下の累進税率を乗じた金額となります。
課税所得 | 累進税率 |
---|---|
HK$50,000まで | 2% |
HK$50,001からHK$100,000まで | 6% |
HK$100,001からHK$150,000まで | 10% |
HK$150,001からHK$200,000まで | 14% |
HK$200,001以上 | 17% |
所得控除項目一覧
人的所得控除項目 | 2020/21年度 香港ドル | 2019/20年度 香港ドル |
---|---|---|
基礎控除 | ||
未婚者 | 132,000 | 132,000 |
既婚者* | 264,000 | 264,000 |
扶養子女控除 – 第1子から第9子まで(1人につき) | ||
誕生年度 | 240,000 | 240,000 |
翌年度以降 | 120,000 | 120,000 |
扶養父母・祖父母控除(1人につき) | ||
納税者と同居/別居(60歳以上) | 100,000/50,000 | 100,000/50,000 |
納税者と同居/別居(55歳~59歳) | 50,000/25,000 | 50,000/25,000 |
扶養兄弟姉妹控除(1人につき) | 37,500 | 37,500 |
寡婦(夫)控除 | 132,000 | 132,000 |
障害者手当 | 75,000 | 75,000 |
扶養障害者控除(1人につき) | 75,000 | 75,000 |
*既婚者でその配偶者に課税所得が発生していないか、 配偶者とともに合算申告を選択した場合に認められます。 |
その他の控除(限度額) | 2020/21年度 香港ドル | 2019/20年度 香港ドル |
---|---|---|
業務上必要な自己学習費用控除 | 100,000 | 100,000 |
介護老人福祉施設控除 | 100,000 | 100,000 |
住宅借入金控除* | 100,000 | 100,000 |
退職金給付に対する強制積立金 | 18,000 | 18,000 |
年金保険料及びMPF任意上乗せ積立金 | 60,000 | 60,000 |
任意医療保険制度での保険料(受益者1人につき)# | 8,000 | 8,000 |
慈善寄付金 | 課税所得の35%まで | 課税所得の35%まで |
*控除期間:20年 #納税者と指定した家族 |
2019/20年度の特別控除
2018/19年度でもあったいわゆる「1回限りの特別控除」が2019/20年度でも実施されます。2019/20年度の最終所得税額に対し、上限を2万香港ドルとして100%の控除を享受できることとなります。したがって、例えばある独身の方の2019/20年度の最終給与所得税額が2万5千香港ドルだとすると、上限である2万香港ドルが控除され、5千香港ドルが2019/20年度最終支払所得税額となります。
税金申告までの流れ

雇用主支払い報酬申告書(Employer’s Returns of Remuneration and Pensions, BIR56A & IR56B)
毎年4月初旬に税務局より企業宛に「雇用主支払い報酬申告書」が発行されます。
雇用主はその書類に税年度期間(前年度4月~今年度3月)内に支給した給与手当を、各従業員個人別に記載し、発行から1ヶ月以内に税務局に提出する必要があります。
個人所得税申告書(Tax Return – Individuals, BIR60)
毎年5月に入ると、個人宛に税務局から「個人所得税申告書」が届きます。
会社から受領した給与支給状況表の写し(IR56B)を基に、給与賃金、休暇手当、コミッション、賞与、教育費、本国支給給与手当および会社負担の家賃・税金等を記入して、発行から1ヶ月以内に税務局に提出する必要があります。なお、ここでは雇用主に限らず、その他の事業収入(例えば家賃収入等)も含みますのでご注意ください。
*2019/20年度に限り、香港における民主化デモ並びに新型コロナウイルスによる政府機関の業務への影響もあり、個人所得税申告書の発行は6月1日となりましたので、税務局への提出期限は7月2日までとなります。
インターネット経由での所得税申告
eTaxシステムを利用することで、インターネット上での所得税申告が可能となり、提出期限は自動的に1ヶ月延長されます。具体的には、個人所得税申告書に記入して税務局に提出する代わりに、同じ内容をインターネット上で完結させる事ができます。
香港居住者であれば以下のサイトから利用登録が可能です。http://www.gov.hk/en/residents/taxes/etax/etax_account.htm
確定税額通知書(Assessment Demanding Final Tax and Notice of Provisional Tax, IRC6401)
個人所得税申告書を提出してから数ヶ月後(大体8月~11月頃)、税務局は、上述した雇用主支払い報酬申告書と個人所得税申告書を基に給与所得税を算出し、計算結果と共に「確定税額通知書」を各個人宛に送付します。
この通知書では、翌年度分の税金も前年実績を基準に算定されています(予定納税制度)。特に香港勤務初年度においては、最初の2年分をまとめて納税する必要がある可能性(雇用開始通知書(IR56E)を提出し、かつ予定個人所得税申告書(BIR60C)が発行される場合は、先に初年度分の予定納税が必要となります)にご注意ください。
納税期日
香港では2回に分けて納税ができます。実際の納税期限は、確定税額通知書上に明記されていますが、申告書を提出した該当年度分全額と翌年度予定納税分の75%が翌年1月、残りの25%が翌年4月に支払われるのが通例です。
*2018/19年度に限り、香港における民主化デモ並びに新型コロナウイルスによる政府機関の業務への影響もあり、2020年5~6月頃まで納付期限が延長、2020年4月8日付でさらに3ヶ月間延長され、同年8~9月頃となっています。
2020/21年度の給与所得税は下記の簡易計算機で収入金額およびその他の控除を入力するだけで自動で計算されます。ぜひお試しください。
https://www.ird.gov.hk/eng/ese/st_comp_2020_21_budget/stcfrm.htm
財務諸表と監査報告書、年次報告書の違いは?【簡単解説】
香港における会計業務の大きな特徴として、日本と異なり上場していなくても、会社法により香港のすべての会社は規模の大小にかかわらず会計監査を受けなければならない点があります。
今回は財務諸表、監査報告書、年次報告書の違いを知りたい人のために、それぞれの詳細とプロセスについて説明します。
● 財務諸表(Financial Statement)
● 監査報告書(Audit Report)
● 年次報告書(Annual Return)
まず、公認会計士が収入や出金取引などの財務活動を示す会社の財務諸表を作成します。その後、クライアントの承認やコメントを得るためにドラフト版を送ります。この段階では、まだいくつかの調整を行うことができます。
財務諸表が確定された後、クライアントに署名押印してもらう実際の監査報告書(修正や調整はできない)が提供されます。
クライアントが監査報告書を承認次第、公認会計士は税務局(IRD、Inland Revenue Department)に提出し、ソフトコピーを参考用としてメールでクライアントに送付します。
年次報告書は、過去12ヶ月から変更がない場合でも、会社設立日以降、12ヶ月ごとに更新して会社登記所(Company Registry)へ提出する必要があります。会社登記所へ提出する年次報告書は、税務局へ提出する監査報告書(財務数値)とはまったく異なります。
有利な課税率を選択できる香港の給与所得税
香港の給与所得税(Salaries Tax)は、香港で勤務または就業したことから発生する収入に対して課税されます。コミッション、賞与、チップ、手当、その他臨時収入、香港で提供されたサービスに対する収入および年金も課税対象に含まれます。日本の源泉徴収制度と違って、香港では会社から受領した給与支給状況表の写しを基に、税務局(IRD)に確定申告を行う必要があります。
給与所得税の税率は標準税率15%と、段階的な2~17%の累進税率との選択制となり、結果として給与の規模に応じて納税額に差が出ます。最終税額は次のように計算した金額のいずれか低い方となります。
標準税率の場合
税額は所得控除後、人的所得控除前の課税対象所得に標準税率15%を乗じた金額となります。
累進税率の場合
税額は所得控除及び人的所得控除後の課税対象所得に以下の累進税率を乗じた金額となります。
課税所得 | 累進税率 |
---|---|
HK$50,000まで | 2% |
HK$50,001からHK$100,000まで | 6% |
HK$100,001からHK$150,000まで | 10% |
HK$150,001からHK$200,000まで | 14% |
HK$200,001以上 | 17% |
では、どちらが有利なのか、ここで比べてみましょう。
事例① 会社員 年収50万香港ドル
扶養家族:妻&子供1人
標準税率:
課税対象所得:HKD500,000
税額:HKD500,000 X 15%=HKD75,000
累進税率:
課税対象所得:HKD500,000 – HKD264,000(既婚者基礎控除額) – HKD120,000(扶養子女控除額)= HKD116,000
税額は累進税率で計算すると以下の通りとなります。
課税所得 | 累進税率 | 税額 |
---|---|---|
HK$50,000まで | 2% | HKD1,000 |
HK$50,001からHK$100,000まで | 6% | HKD3,000 |
HK$100,001からHK$150,000まで | 10% | HKD1,600 |
HK$150,001からHK$200,000まで | 14% | – |
HK$200,001以上 | 17% | – |
合計 | – | HKD5,600 |
明らかに累進税率の方が有利となります。では、年収が倍の場合はどうでしょうか?
事例② 会社員 年収100万香港ドル
扶養家族:妻&子供1人
標準税率:
課税対象所得:HKD1,000,000
税額:HKD1,000,000 X 15%=HKD150,000
累進税率:
課税対象所得:HKD1,000,000 – HKD264,000(既婚者基礎控除額) – HKD120,000(扶養子女控除額)=HKD616,000
税額は累進税率で計算すると以下の通りとなります。
課税所得 | 累進税率 | 税額 |
---|---|---|
HK$50,000まで | 2% | HKD1,000 |
HK$50,001からHK$100,000まで | 6% | HKD3,000 |
HK$100,001からHK$150,000まで | 10% | HKD5,000 |
HK$150,001からHK$200,000まで | 14% | HKD7,000 |
HK$200,001以上 | 17% | HKD70,720 |
合計 | – | HKD86,720 |
以上からすると、所得が倍になっても累進税率の方が有利なのがわかりました。
2020/21年度の給与所得税は下記の簡易計算機で収入金額およびその他の控除を入力するだけで自動で計算されます。ぜひお試しください。
https://www.ird.gov.hk/eng/ese/st_comp_2020_21_budget/stcfrm.htm
香港の税制はシンプルかつ低税率
香港の税金に係る執行機関はInland Revenue Department(IRD:税務局)になり、税制は日本に比べ、シンプルかつ低税率です。また源泉地主義を採用しているので、香港を源泉とする所得にしか課税されません。香港でよく耳にする「オフショア所得」は香港外を所得の源泉するため、香港で課税されないのです。これは日本・アメリカ・オーストラリアといった国々が採用する居住地主義(つまりその国の税務上の居住者は、全世界所得が課税対象)とは対極の方式です。
その他、香港では相続税、配当課税、消費税または付加価値税、日本の住民税・事業税のような地方税がないのも特徴です。
所得に対する税と税率
香港における所得に課税される主な税金は、①事業所得税(Profits Tax) ②給与所得税(Salaries Tax) ③不動産所得税(Property Tax)の3種類になります。
事業所得税(Profits Tax)
事業所得税は、法人、個人事業主、パートナーシップ等から稼得される所得の内、香港源泉の所得に課税される税金で、繰越欠損金は、原則として永久に繰り延べることができます。法人の事業所得税は、経営者の国籍を問わず、香港の中で行われた経済活動および香港での貿易取引の収益が課税の対象です。
2018年4月以降の課税年度において2段階の税率措置が導入されました。法人事業主については、利益のうち200万香港ドルまでは8.25%の税率(従来は16.5%)、200万香港ドルを超える利益については、従来通り16.5%の税率で課税されます。非法人事業主(個人事業主、パートナーシップ)については、200万香港ドルまでは7.5%の税率(従来は15%)、200万香港ドルを超える部分は従来どおり15%の税率にて課税されます。
200万香港ドル以下の利益に対する利得税率の半減措置により、法人事業主は最大で16万5,000香港ドル、非法人事業主は最大で15万香港ドルが減税されることとなります。
なお、グループ会社がある場合は、グループ内の会社のうち1社のみが軽減税率を享受できます。
給与所得税(Salaries Tax)
給与所得税は個人の給与に課税される税金です。こちらも事業所得税同様、香港外源泉の給与所得は非課税になります。コミッション、賞与、チップ、手当、その他臨時収入、香港で提供されたサービスに対する収入および年金も課税対象に含まれます。
2018/19年度の税率は課税所得の15%の標準課税方式もしくは累進課税方式(段階的な2~17%の累進税率)により算定された税額のいずれか低い方が適用されます。ちなみに独身の方で、15%の標準税率による税額の方が低くなるのは、課税所得がおよそ170万香港ドル以上の場合になります。そのため給与所得税対象者の内、わずか1.7%しか標準課税方式の対象になっていません。
その他、広範な控除と減税により香港の給与所得者のおよそ半数は給与所得税がゼロになっています。
不動産所得税(Property Tax)
不動産所得税は香港内不動産の賃貸収入(所得)の80%に対して15%の標準税率で課税される税金になります。一方、法人の不動産賃貸収入は不動産所得税の対象とならず、事業所得税として課税されます。
上記2所得と同様に、香港外の不動産からの賃貸収入はオフショア所得になり非課税になります。
税金申告の実務
賦課納税
日本のような申告納税制度ではなく、賦課納税制度を採用しています。納税者は課税所得及び税額を自ら計算し税務申告書に記載して提出します。その後IRDは課税所得を査定し、税額を賦課通知書にて通知します。
課税年度
香港では4月1日から翌年3月31日までが課税年度となります。法人の場合は課税年度内に終了する各法人の事業年度がそのまま採用されます。つまり2019年12月31日が期末日である場合、課税年度は2019年1月1日~2019年12月31日になります。課税年度終了後にIRDから発行される税務申告書に必要事項を記入し、所定の期間内にIRDへ提出しなければなりません。IRDはその税務申告書に基づき、査定を行い賦課決定通知書を発行し、異議がなければ、指定された期限内に税金を納付します。
予納とホールドオーバー制度
税金を納付する際は、確定年度分の納税に合わせて、翌年度分の予納も行います。これは翌年の税収を予め確保することを目的をしており、通常は確定年度分と同額が予納分として賦課されます。しかし予め翌年度の課税対象所得が確定年度の90%未満である事が見込まれる等を根拠に予納額の減額を申請することが可能です(ホールドオーバー制度)。