注目!オンラインプラットフォームだからこそ活用したい戦略3選

前回の記事では、香港で半分のマーケットシェアを占めているDeliveroo社を例として、香港でのフードデリバリー業界の実態をご紹介しました。コロナ禍で実店舗の役割が弱っている今、フードサービス企業の持続的な成長を実現するために、Deliveroo社のようなオンラインプラットフォームを活用できる3つの戦略を、今回の記事でご紹介します。

バーチャルブランド

バーチャルブランドとは実店舗を持たないブランドです。既に実店舗を持っているフードサービス企業にとって、バーチャルのサブブランドの展開は企業のキッチンの能力をフルに活用できる手段です。すでに確立したメインブランドを危険に晒すことなく企業の潜在顧客に購入してもらえるようになり、メインブランドの制限から解放することができます。

価格や食事形態の問題で、メインブランドがリーチできなかった顧客層の開拓は従来サブブランド戦略で解決できています。例えば佐賀県で創業した「うふふカフェ」は2016年から香港で進出していますが、今では「L.D.K. by Ufufu Cafe」をメインブランドとして、オムライス屋「Omelette Rice by Ufufu Café」や和風バーガー屋「Japanese Burger & Steak by Ufufu Cafe」のサブブランドを展開しています。

しかし、実店舗を持つサブブランドはどうしても店舗の賃料や食材などの準備費用がかかってしまい、オンラインプラットフォームを利用したバーチャルブランドの方がよりローリスク・ローコストで多くのお客様に異なる選択肢を提供し、新コンセプトを試したり、新たな収入源を確保したりすることができます。顧客側としても、いつもと違う選択肢や新しいメニューに挑戦することを自然に楽しむようになります。

Deliveroo社のデータによると、メインブランドからの注文に加えてバーチャルブランドからの追加注文が発生する割合は平均75%です。これまでに世界で誕生したバーチャルブランドが750もあり、バーチャルブランドで注文する顧客のうち、今までにメインブランドで注文したことがない人が84%います。その上、42%のバーチャルブランドはメインブランドよりも高い顧客評価を受けており、バーチャルブランドが企業の顧客層と可能性を開拓できることがわかります。

シェアキッチン

シェアキッチンはクラウドキッチンとも呼ばれ、主にデリバリー用の料理を作るために設計された施設を指します。1つのレンタルスペースの厨房を複数の店舗オーナー・料理人が共同利用し、デリバリー販売のみを行い、顧客の一回の注文で複数の企業・ブランドの料理を提供できます。

顧客側としてより多様な料理の種類と品目が選択でき、注文を一つにまとめることでより良いデリバリーサービスを実現できます。レストラン側としても、ビジネスの開始や拡大をローコストで、より広い市場へアクセスできるよう、節約した資金を新たなシェアキッチンへ投資することができ、顧客とフードサービス企業の双方に新しい価値をもたらします。設備の手配と施工、食物環境衛生署(FEHD)などの必要なライセンスの取得、光熱費やWi-Fiなどの費用の支払い管理など、キッチンの立ち上げと管理はシェアキッチンの利用でより簡単にマネジメントできます。

例えばDeliveroo社にはDeliveroo Editionsというシェアキッチンが香港と九龍を中心に8ヶ所あり、テナントであるレストランパートナーにキッチン管理とサポートを提供しています。その他、マーケティングとプロモーションの共同実施、メニューのカスタマイズと最適化、データに基づくパフォーマンス分析とアドバイスなどのサービスも提供しているので、香港に進出する予定のブランドにも心強いサポートになるでしょう。

プラットフォームのデータ分析

フードサービス企業は通常、自社の売上データしか持っていないため、市場全体のトレンド分析など他社の営業状況を含めたマーケティング戦略を立てることが困難です。プラットフォームそれぞれ提供するサービスが異なるかもしれませんが、ここではDeliveroo社のデータ分析サービスを例としてご紹介します。

Deliveroo社は、自社のグローバルデータベースを分析することで、レストランパートナー自体の売上データのみでなく、近隣地域に関するデータ分析を提供します。例えば、最も人気のある料理の品目、急成長や供給不足の料理の種類、平均消費額、注文の傾向や頻度など。

その中にもMarketerというデータ分析サービスがあり、顧客を正確にターゲットしたり、顧客への特別なオファーは適切なタイミングに必要な分だけすることができたり、自社ブランドの位置づけや適切な顧客の獲得を可能にするメッセージを送ったりすることができます。これらの要素は詳細な情報レポートに裏打ちされ、毎回オファーを改善することができます。

例えば、新規顧客をターゲットにする場合、リピーターが増えるのが予想できます。従来では、プロモーションの実施をレストランの既存のSNSで宣伝したとしても、顧客のうち何人が以前注文したことがあるか、どの人が新規顧客なのか、知る術はありません。Marketerを使用することで、マーケティング予算をレストランのページに初めて訪れる潜在顧客へのリーチにのみ集中させることができ、マーケティング費用を効率的且つインパクトのあるものにすることができます。Deliveroo社のデータ分析によると、新規顧客がMarketerのオファーによって企業のレストランを発見した場合と、他の方法により自力でレストランを探し出した場合と比較すると、ほぼ同じ割合でリピーターになり、再度注文しに来ています。

「フードデリバリー」は「料理」だけではない

スーパーやウェットマーケットの多くが住宅の徒歩圏内にあるため、香港では食料品、特に生鮮食品のオンラインショッピングが普及していませんでしたが、コロナ禍で外出を控える人の増加に伴い、現在香港では料理のデリバリーのみでなく、オンラインのワンストップ・ショップを生かした消費者エコシステムも拡大しています。

例えば、PARKnSHOP、7-ElevenやDON DON DONKIなど香港で最も信頼されているブランドを取り扱っているDeliveroo社の前年同期比(2020 Q4 vs. 2021 Q4)の達成度から見ると、登録店舗数が210%成長し、同一店舗での売上高が46%増加しました。その他、リピーター顧客が1.4倍増加し、新規顧客の月間増加数が118%に達しています。

フードサービス企業のみでなく、調味料・ミールキット・紙パック・ペットボトル飲料などを取り扱っている食料品企業にもオンラインプラットフォームの利用で客層を拡大することができます。

MAYプランニングでは、香港への進出に関わるサポート・香港市場でのプロモーションに関わるサポートを提供しております。デリバリーサービスプラットフォーム導入のサポートも可能です。ご興味のある方はお気軽にご相談ください。

]]>