香港とシンガポール、トラベルバブルに合意
香港政府とシンガポール政府は15日、新型コロナウイルスの感染拡大防止を目的とした両地間の渡航規制を一部緩和し、隔離期間なしで相互に往来できる「エアトラベルバブル」協定に原則合意したと発表した。互いに新型コロナウイルスの感染をほぼ抑え込めており、感染リスクが低いと判断した。今後数週間で法改正、航空会社との調整、検査手順などの詳細を決め、運用開始時期などを適宜発表する見通しだ。
両政府は14日開いたオンライン会議で、協定に調印した。香港とシンガポールはともにアジアの主要航空ハブであり、今後、航空機による海外往来再開に弾みが付くとみている。
合意内容によると、旅客の往来の目的は問わない。トラベルバブルの下では、両地域で相互承認された施設で新型コロナの検査を受け、結果が陰性である旅客が対象。旅客は相手国・地域に入境後、強制検疫や自宅隔離措置を免除され、行動制限を受けずに、バブル内の往来を認められる。ただし、航空機は特定の便への搭乗を義務付ける。このほか、エアトラベルバブルの実施規模は、両地域の新型コロナの感染状況に応じて、随時見直すとした。
2019年のシンガポールから香港への渡航者数は45万人を超えるなど、シンガポールは香港の観光産業において主要なソース市場の1つであるが、2020年1~8月は2万2,590人で前年度比93.7%減となった。また、2019年の香港からシンガポールへの渡航者数は48万9,000人。香港政府観光局の彭耀佳(パン・ユウカイ)会長は、このトラベルバブルの動きを歓迎した。一方、観光業界関係者は両地域のウイルス検査費用が高額であるため、シンガポールに関心のある市民がいても積極的には旅行しないだろうとの懸念を示している。
香港はシンガポールの他にも、日本、タイ、ドイツ、オーストラリアなどとのトラベルバブルを数ヶ月前から計画していたが、シンガポールが初の合意となった。
香港政府の邱騰華(エドワード・ヤウ)商務・経済発展局長は15日の記者会見で「双方にとって重要な一里塚になる」と強調した。オンライン会見したシンガポールのオン・イェクン運輸相は「トラベルバブルが数週間以内にスタートすることを望んでいる」と語り、「航空ハブであるシンガポールと香港が協力してトラベルバブルを構築できれば、将来的には他国・地域へのモデルともなる」と述べた。
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