香港雇用条例の修正案に注意!法定休日が17日に増加

香港政府は2021年7月16日、《2021年雇用(修正)条例》という修正案を公布し、年間12日ある法定休日を17日に増やす事としました。この記事では、この修正案の内容と、企業が気にしなければならない法的責任について解説します。

香港の祝日制度

修正案の内容をご紹介する前に、まずは現在の香港の祝日について整理します。香港には「法定休日(又は「労工休日」、Statutory Holidays)」と「公衆休日(General Holidays・Public Holidays)」という二種類の祝日があります。

※「法定休日」の香港での表記は「法定假日」、「公衆休日」は「公衆假期」となりますが、記事ではわかりやすさの為上記で統一しています。

法定休日とは

法定休日に該当する日には雇用主は労働者に休日を与える義務があります。法定休日は香港の労働法(Employment Ordinance)に規定されるもので、1年に12日あります。

1. 農暦一月一日(日曜日に被った場合、農暦一月四日に延期)
2. 農暦一月二日(日曜日に被った場合、農暦一月四日に延期)
3. 農暦一月三日(日曜日に被った場合、農暦一月四日に延期)
4. 清明
5. メーデー
6. 端午
7. 中秋節の翌日(日曜日に被った場合、中秋節の2日後に延期)
8. 重陽
9. 冬至又はクリスマス(使用者側が定める)
10. 元日
11. 香港特別行政区成立記念日(7月1日)
12. 中華人民共和国国慶節(10月1日)

公衆休日とは

一方、「公衆休日」は実は労働法の一部ではなく、《公衆休日条例》という別の法律で定められています。銀行、教育機関、公共機関及び政府機関が順守するものなので、「銀行休日(Bank Holidays)」とも呼ばれます。

公衆休日は1年に17日あり、そのうち12日が「法定休日」と被っています。残りの5日は下記の通りです:

1. 聖金曜日
2. 聖土曜日
3. イースター・マンデー
4. 灌仏会
5. ボクシング・デー

2021年雇用(修正)条例との公布

香港の企業はそれぞれの営業形態によって、「法定休日」もしくは「公衆休日」を適用していますが、法定休日しかもらえない人、法定休日と被っていない公衆休日には労働法の保証が無いなど、「法定休日」への問題点が指摘されていました。

この状況に対し2021年7月16日に公布されたのが、《2021年雇用(修正)条例》です。この条例では、「法定休日」でない「公衆休日」の5日を、2022年より10年かけて「法定休日」に追加する予定になっています。

追加する順番と実施年は下記の通りです:

1. 灌仏会 2022年より追加
2. ボクシング・デー 2024年より追加
3. イースター・マンデー 2026年より追加
4. 聖金曜日 2028年より追加
5. 聖土曜日 2030年より追加

労働法に含まれてない「公衆休日」から「法定休日」への変更は、企業側の法的義務が伴います。今まで「法定休日」のみ適用している企業も、元から「公衆休日」を適用している企業も、今回の修正案に注意しなければなりません。

※2021年雇用(修正)条例の詳細な内容につきましては香港政府のWEBサイトよりご確認ください。

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