採用担当必見!香港VS日本での教育システムと学歴資格体制

前回の記事ではシンガポールと日本の教育システムを比較しご紹介しました。

シンガポールと比べて、香港の方が日本の教育システムに似ているかもしれませんが、違う点や習慣もあります。

今回の記事では筆者自身の経験から香港の教育システムについてご紹介します。香港教育の特徴と採用事情については次回ご紹介する予定です。

香港の教育システム

2008年度までの教育制度はイギリス植民地時代からの方式を取り入れたもので、小学校6年(Primary 1-6)と中学前期課程3年(Secondary 1-3またはForm 1-3)を含む義務教育が合計9年、その後の中学後期課程(Secondary 4-5またはForm 4-5、高校に相当)2年、大学予科2年(Secondary 6-7またはForm 6-7)、大学3~4年(学科によります)となっていました。

学制改革により、2009年度のForm 4入学者から「六三三四制」と呼ばれる新教育制度が適用となり、2011年度からForm 6-7の予科課程が廃止され、中学後期課程3年・大学課程4年がと定着しました。

香港での学歴資格体制「Qualifications Framework」

「資歴架構(Qualifications Framework・HKQF)」とは香港の教育局より制定された学歴の資格に関する体制で、香港で取得可能なの学歴を下記の7級に分けています:

第1級:証書(香港でのForm3相当)
第2級:証書(香港旧教育制度Form5で受験する香港中學會考(HKCEE)相当)
第3級:香港中学文憑(HKDSE)、基礎課程文憑(Diploma of Foundation Studies)、毅進文憑(Diploma Yi Jin)(香港新教育制度でのForm6、または旧制度でのForm7相当)
第4級:高級文憑(Higher Diploma)、副学士(Associate Degree)、専業文憑(Professional Diploma)
第5級:学士(Bachelor’s Degree)
第6級:碩士(Master’s degree・修士)、深造文憑(Postgraduate Diploma、PgDip)
第7級:博士(Doctor’s degree、PhD)

香港での中学校以降の教育機関

・ローカル大学と法定学院

主に学士以上の課程を提供している教育機関ですが、その付属学院では副学士など「資歴架構」第4級以下の課程を提供している場合もあります。

現時点で、香港で学士以上の課程を提供しているのは以下の合計11校の大学と1校の法定学院となります:

「8大」と呼ばれている公的資金の補助を受けている大学8校
・香港大学 The University of Hong Kong(HKU)
・香港理工大学 The Hong Kong Polytechnic University(PolyU)
・香港中文大学 The Chinese University of Hong Kong (CUHK)
・香港浸会大学 Hong Kong Baptist University(HKBU)
・香港城市大学 City University of Hong Kong(CityU)
・香港科技大学 The Hong Kong University of Science and Technology(HKUST)
・嶺南大学 Lingnan University
・香港教育大学 The Education University of Hong Kong(EdUHK)

私立大学3校
・香港都会大学Hong Kong Metropolitan University(HKMU、元香港公開大学The Open University of Hong Kong(OUHK))
・香港樹仁大学Hong Kong Shue Yan University(HKSYU)
・香港恒生大学Hang Seng University of Hong Kong(HSUHK)

舞台芸術の人材育成専門の法定学院1校
・香港演芸学院The Hong Kong Academy for Performing Arts(HKAPA)

その中でもにも香港大学、香港理工大学、香港中文大学、香港城市大学、香港科技大学の5校が世界大学ランキングで常に総合トップ100位以内に入っています。

・海外大学と国際連携教育課程

海外大学の学位を取得するには、海外へ留学するのは勿論、実は香港にいても国際連携教育課程を修了することで取得できます。

例えば、筆者自身は香港城市大学付属の専業進修学院(CityU SCOPE)とイギリスのセントラル・ランカシャー大学(University of Central Lancashire・UCLan)が連携した国際ビジネスコミュニケーション課程を香港で修了し、UCLanの学士学位を取得しました。

国際連携教育課程が普及してきた今、海外大学の学位を持っている人でも必ずしも海外留学を経験したわけではありません。

・その他「資歴架構」第4級以上の課程を提供している教育機関

香港学術及職業資歴評審局(HKCAAVQ)の審査を通ればった以上、学歴の授与が可能です。香港では副学士など「資歴架構」第4級以上の課程を提供している教育機関が多数あるためここではリストアップしませんが、多くは「学院」が学校名に付いています。

審査を通った課程はこちらのシステムにて検索・確認できるようになっています:
http://www.hkqr.gov.hk/HKQRPRD/web/hkqr-en/search/op-search/index.html

では香港の教育における特徴が香港人従業員の特徴にどう関わっているのか、及び香港での採用事情について、筆者自身の経験を例として次回の記事でご紹介したいと思います。

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