少子化対策、日本留学経験のある外国人人材の活用方法

グローバル人材の可能性を引き出すことは、単なるビジネス戦略ではなく、特に日本では、少子化による労働人口の減少という課題に立ち向かうために必要不可欠となっています。そのような状況下、日本文化への深い理解だけでなく、独自のスキルや向上心を備えた日本留学経験者はこの課題解決に有効となる可能性があります。

今回の記事では、日本企業にとって日本留学経験者を採用するメリットから、採用する際の注意点や見極め方などを掘り下げていきたいと思います。

日本留学経験のある外国人人材を採用するメリット

日本留学経験者は日本で実際に生活したことがあり、日本文化への理解もある程度は持っています。それらの人材を活用することは、少子化で人材不足の企業にとって様々な課題への有力な解決策となります。

純粋に日本が好きで、日本での就職を望んでいる人の多くは、勤勉で努力家であるだけでなく、特に留学経験者は卓越した向上心と、新しい知識を吸収し、多様な環境に巧みに適応する鋭い能力を持っています。その中で、日本語を含む高度なマルチリンガルであり、異文化コミュニケーションに秀でている人が多いです。留学のために通常2年から6年という長期にわたって日本に滞在した彼らは、日本と母国の文化や習慣の違いに精通しており、日本とそれぞれの母国をつなぐ「架け橋」となるにふさわしい貴重な人材です。

その活用方法としては、優秀な留学生や日本留学経験のある人材を、個性や適性に応じて戦略的に採用することです。そのうえで、企業理念の浸透やノウハウの伝承を行い、企業にとって必要不可欠な人材へと育てていきます。そして、ブリッジ人材として、日本と海外現地をつなぐ重要な役割を担ってもらい、現地のネットワークを生かして現地のマネージャーなどとして派遣することができます。例えば将来独立後も企業の現地パートナーとして活躍し、ビジネス面で長期的な関係の構築に貢献することができます。

外国人人材の日本就職実態

残念なことに、日本の教育機関を卒業した留学生の希望と結果には大きな格差があるのが実態です。

約70~80%の留学生が日本での就職を希望していますが、実際の就職率は30~40%にとどまっており、留学生の半数近くが帰国を余儀なくされています。しかしながら、日本で受けた教育がもたらす影響は強く、帰国した留学生の多くは、その経験を就職先でうまく生かしています。彼らは母国で就職し、現地企業の成長に貢献する一方、貴重な実務経験を積み、業務上のネットワークを広げています。

特筆すべきは、帰国後も日本での就職を希望している外国人人材は、意欲と熱意が高まっている傾向があり、日本での教育経験が生涯にポジティブな影響を及ぼしていることが明らかになっています。

外国人人材採用する際の注意点

では、外国人人材を採用する際に、日本企業は何を注意すべきでしょうか?

まず、採用プロセスにはいくつかの重要な注意点があります:

・目的の明確化
外国人を採用する目的と外国人人材に期待される役割について、社内の共通理解のために明確に伝えておきましょう。
・人物像の明確化
自社に相応しい外国人人材に求められる特性について、外国人候補者の多様性を認識した上で、方向性をはっきりと決めましょう。取引先や業務上のニーズに応じて候補者の出身をアジアや欧米など地域範囲の応募条件を付けるなど、ある程度の明確化は採用のプロセスをより効率的にすることができます。
・採用方法
採用方法を選択する際には、緊急性やコストへの影響などの要件で、人材採用アプローチ方法を検討します。
・日本語能力と資質の比較
採用時の日本語能力が、必ずしも優れた資質や成長の可能性と相関するわけではありません。職種によって重要度が異なるかもしれませんが、日本語能力だけでなく、実質的な能力と伸びしろのある候補者を見極めましょう。
・異文化理解
効果的なコミュニケーションとコラボレーションの基礎を築くために、日本人と外国人の文化的背景の違いを認識して受け入れることなど、社内には相互理解を促進する環境を整えておきましょう。

特に中小企業にとって、外国人人材採用の方針や方法が、日本人人材採用のと同じにするかどうかを検討することは、極めて重要です。多くの中小企業は、統一したアプローチを使っていますが、これでは外国人人材の視点や期待に沿わない可能性があります。採用時期、求人方法、選考方法、採用基準などを外国人人材の考え方で見直すことは、マッチング率の向上が期待できます。

優秀な外国人人材を確保するためには、まずその特徴を見極めることが重要です。

日本留学経験者の場合、高い語学力と日本文化への深い理解と相まって、真面目で優秀な人が多いです。母国での社会人経験を基礎としているため、即戦力となる可能性が十分あります。そこで、「グループディスカッション」や「3回以上の面接」といった従来の選考方法が本当に外国人人材を確保するために効果的か、自社の状況に応じて見直しましょう。

また、求人を始める際には、自社を外国人人材にとって「選ばれる企業」と位置づけるように、海外で一般的な「通年採用」をお勧めします。さらに、採用の目的、職務の詳細、長期的なキャリアパスなど、外国人人材にとって重要な考慮事項に対応した求人内容を作成することで、会社の魅力を大幅に高めることができます。

優秀な外国人人材の見極め方

優秀な外国人人材を見極めることは、企業にとって簡単にできることではありません。そこで、従来の面接では候補者の見極めが難しい場合、インターンシップの実施や試用期間の導入は非常に効果的です。例えば、日本語能力の面で、候補者の学習方法や勉強期間などを知ることができ、現在の日本語能力よりも総合的な人物像を理解することができます。このお互いに適応する期間は、企業と候補者の双方にメリットがあり、正式雇用時のミスマッチの軽減を図れます。

外国人人材は、間違いなく日本人よりも多くのサポートが必要です。そのサポートは、企業が本当にグローバル化に取り組んでいるかどうかの証明となります。お互いの文化や習慣を理解する努力は、多様な背景を持つ人材を取り入れる際の基本です。また、外国人人材の30%以上が10年以上のキャリアを考えている傾向があり、退職後でも在職中に築いた人脈を通じて会社のグローバルネットワークの構築に貢献できるでしょう。

まとめ

結論として、日本留学経験者は日本企業のチームにとって大きなプラスになります。彼らは多言語だけでなく多文化での違いも理解しているため、多くの課題を解決することができます。また、日本企業にとっては、単なる日本語を話せる人材だけではなく、日本での生活経験によって形成された多様なスキルを持つ人材を採用することが重要です。彼らのメリットを最大限に活用するために、企業は日本候補者向けの従来の採用方法にもぜひ一度検討しましょう。それは必ず、よりグローバル的な職場や今後のビジネス発展への重大な一歩になります。

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MAYプランニングでは、留日経験のある人材募集と採用に関するサポートを行っています。また、外国人人材の受け入れに際する調整、香港とシンガポール学歴を持つ候補者の見極め方などについてのアドバイスも提供しております。