4月22日実施!香港の使い捨てプラスチック製品を規制する法案

香港政府は2021年2月に発表した「香港資源の持続可能な利用計画2035」で、2035年までに「廃棄物削減、資源再利用、埋め立てゴミをゼロにすること」の実現を目指しています。その中で重要な一環は、使い捨てプラスチック食器の規制です。2022年3月、世界中175ヶ国がプラスチック汚染に対処する条約を起草しはじめ、環境問題への懸念が高まっています。

今回の記事では、香港で実施する予定の使い捨てプラスチック製品への規制法案について詳しくご説明します。香港への進出・移住している方またはその予定のある方はぜひこの情報を抑えておきましょう。

「製品エコ責任(修訂)条例2023(Product Eco-responsibility (Amendment) Ordinance 2023)」

2023年10月18日に立法された「製品エコ責任(修訂)条例2023(Product Eco-responsibility (Amendment) Ordinance 2023)」は使い捨てプラスチック食器やその他のプラスチック製品を規制し、2つの既存の生産者責任制度(PRS)を強化するための法律です。

使い捨てプラスチック製品についての規制は2段階に分けて実施され、第1段階の実施日は2024年4月22日です。第2段階の実施日は2025年の予定で、実際の日にちはまだ公表されていません。

使い捨てプラスチック食器の規制

使い捨てプラスチック食器について、第1段階の規制では、発泡スチレン食器、及び小型でリサイクルが難しい、または普及した代替品がある使い捨てプラスチック食器4種類の販売が禁止されます。また、テイクアウトの顧客に対する提供も禁止されます。第2段階では、飲食店からの全9種類の使い捨てプラスチック食器の提供が全部禁止されます。

使い捨てプラスチック食器の種類第1段階(2024年4月22日~)第2段階(2025年実施予定)
発泡スチレン食器、
ストロー、スティラー、皿、
カトラリー(フォーク、ナイフ、スプーン)
最終消費者への販売を禁止
飲食店からの提供(店内及びテイクアウト)を禁止
最終消費者への販売を禁止
飲食店からの提供(店内及びテイクアウト)を禁止
カップ、食品容器、及びその蓋飲食店からの提供(店内飲食のみ)を禁止最終消費者への販売を禁止
飲食店からの提供(店内及びテイクアウト)を禁止

その他の使い捨てプラスチック製品の規制

食器以外の使い捨てプラスチック製品に関しては、第1段階では、普及した代替品が存在し、または生活に必要ない使い捨てプラスチック製品の販売と供給が禁止されます。また、ホテルや旅館が無料で使い捨てのアメニティを提供したり、客室内で使い捨てのプラスチックボトル入りの水を提供したりすることも禁止されます。その他、酸化分解性プラスチック製品の場合は製造、販売、供給が全部禁止されます。

規制内容第1段階(2024年4月22日~)に規制対象となる
使い捨てプラスチック製品
第2段階(2025年実施予定)に規制対象となる
使い捨てプラスチック製品
販売と無料提供を禁止綿棒、
風船の棒、
インフレータブル応援スティック、
サイリウムライト、
パーティー帽子、
オキソ分解性プラスチック製品(非使い捨ても対象)、
傘袋、
食品串、
爪楊枝
マルチパックリング、
テーブルクロス、
柄付きデンタルフロス
無料提供を禁止ホテルやゲストハウスのアメニティ、
 ・プラスチック柄の歯ブラシ
 ・プラスチック包装の歯磨き粉
 ・シャワーキャップ
 ・かみそり
 ・ネイルファイル
 ・コーム
 ・使い捨てプラスチック容器を使用した洗剤
  ⇨シャンプー
  ⇨ボディウォッシュ
  ⇨コンディショナー
  ⇨ボディローション
  ⇨ハンドソープ
客室で提供するプラスチック製のボトル入りの水、
宣伝用のプラスチック包装のティッシュペーパー、
非医療用透明手袋
耳栓
製造を禁止オキソ分解性プラスチック製品(非使い捨ても対象)追加対象なし

使い捨てプラスチック製品の代替品

使い捨てプラスチック製品の代替品を探す業界を支援するために、環境保護局(EPD)は香港品質保証局(HKQAA)に委託し、非プラスチック製食器ベンダー情報についての特設サイト(www.greentableware.hk/en-us/)を設立しました。このサイトでは、2022年11月から食器ベンダーからの申請を受け付けており、2024年3月現在は700種類以上の非プラスチック使い捨て食器製品が掲載されています。飲食店が再利用可能な食器を採用し、廃棄物をさらに減らすことを推奨するために、食器のレンタルやクリーニングサービスに関する情報も掲載されています。

さらに、EPDは使い捨てプラスチック製品情報に関するサイト(https://www.cuttheplastics.hk/index.php/en/)を設立し、各種類の代替品の特性や長所、短所を市民に紹介しています。EPDは引き続き使い捨てプラスチック食器の削減、生産製造の段階から廃棄物の削減を推進します。例えば、テイクアウトする際に持ち込み容器を持参する習慣を身につけるよう、「Bring Your Own Containers Eateries Scheme」計画を立ち上げました。2024年3月現在、この計画には477の飲食店が参加しています。

同法案では電気製品についても言及

今回の修正法案では、廃棄された電気製品・電子機器に関する「生産者責任計画」の適用範囲が拡大され、より大容量の冷蔵庫や洗濯機、衣類乾燥機や除湿機も含まれるようになりました。また、電気製品の流通におけるリサイクルラベルの提供との手順が撤廃されます。

電気製品に関する部分の法案は2024年7月1日に実施される予定です。

まとめ

「製品エコ責任(修訂)条例2023」に示された取り組みは、香港政府が2035年までにゼロ廃棄物を実現する目標に向けた重要な一歩となります。使い捨てプラスチック製品、特に食器に関する規制に焦点を当てて、プラスチック汚染対策のグローバル的な取り組みに応じています。

今回の法令実施は2段階に分け、各段階には明確な目標とタイムラインがあります。特定の使い捨てプラスチック製品の販売と提供を禁止し、代替品を促進することにより、政府は企業や消費者の間で持続可能な実践を奨励することを目指しています。また、廃棄された電気製品・電子機器に関する生産者責任制度の拡大は、様々なセクターでの環境責任を強化します。規制措置への支援と代替製品の促進イニシアチブにより、業界と消費者が積極的に廃棄物を削減し、より持続可能な未来へ推進できるでしょう。

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MAYプランニングでは、香港進出におけるプラスチック製品規制への対策に関するアドバイスを行っています。また、非プラスチック製代替品の調達などについてのサポートも提供しております。