【世界が日本ブランドに抱く印象とビジネスチャンス④】ベトナム市場で輝く日本の文化と信頼性
日本とベトナムは、経済、文化、政治など多岐にわたる分野で深い関係を築いてきました。この両国の親善関係は、ベトナム人の日本に対する高い評価にも表れています。日本外務省が実施した「令和元年度海外対日世論調査」では、日本が「最も信頼できる国」として第1位にランクインしています。このような背景を踏まえ、ベトナム人の日本と日本製品に対する印象を基に、ビジネスチャンスを模索します。
日本への印象―経済力と文化がキーワード
ベトナム人の多くは、日本を「経済力・技術力の高い国」、「豊かな伝統と文化を持つ国」として認識しています。この印象は、対日信頼感の高さを物語るものであり、ベトナム市場における日本製品のプロモーションにおいて大きな強みとなります。さらに、日本の生活水準の高さも評価されており、これは日本が提供する製品やサービスの品質保証として受け取られる可能性が高いです。
文化的側面では、ベトナム人が最も知りたい分野として「文化(伝統文化、ポップカルチャー、和食などを含む)」が挙げられています。これに続く、「科学・技術」もベトナム市場において日本が大きな関心を集める分野となっています。
日本食文化の人気と課題
ベトナムでは、日本料理の人気が年々高まっています。寿司や刺身は長年親しまれていますが、最近ではたこ焼きやどら焼き、抹茶、うどん、ラーメンといった多様な日本食も浸透しています。また、高級品としての「和牛」や、日本品質のビールであるサッポロビールも人気です。
一方で、日本料理には「味が濃い」「塩辛い」といったイメージもあり、食文化の違いに適応する努力が求められます。ベトナムでは、野菜を豊富に使った料理が好まれるため、日本料理においても菜食を重視したメニューが求められています。また、懐石料理のように提供時間が長い形式はあまり人気がないため、飲食店で進出する場合はスピーディーな提供を重視することが重要です。
さらに、ビュッフェや食べ放題形式の焼肉やしゃぶしゃぶなどは非常に好評であり、特に鍋料理は年間を通じて人気があります。これらの特徴を活かしつつ、現地のニーズに合わせたサービス展開を検討することが効果的です。例えば、日本の鍋料理をベトナムの調味料や具材と融合させることで、新たな市場の開拓が期待できます。
製品ニーズを見出す―日本製品の人気分野
ベトナム市場において、日本製品は多くの分野で高い人気を誇っています。特に、ユニクロなどの衣料品、時計、化粧品、家電製品、サプリメント、アルコール飲料、中古スマートフォン、温水洗浄便座などが注目されています。これらの製品は、高品質と機能性が求められるベトナム市場で、日本ブランドの信頼性を象徴する存在となっています。
また、日本の果物(いちご、ぶどう、りんご、梨など)や「和牛」も人気商品として位置付けられています。日本の果物はその高品質と甘さが特長であり、贈答品としての需要も高いです。一方で、現地の価格帯や流通網を考慮した商品展開が求められます。
さらに、日本の外食チェーンの進出により、ベトナム人の間で日本料理への理解と需要が広がっています。大都市を中心に1,000店以上の日本料理店が存在しており、これらは日本の食文化を伝える重要な拠点となっています。このような状況を踏まえ、日本ブランドを活かした商品開発やマーケティング戦略を策定することが必要です。
ビジネスチャンスをつかむために
ベトナムにおける日本の高い信頼性と日本製品への関心は、ビジネスチャンスの宝庫です。特に、日本の文化や技術力を活かした製品やサービスは、ベトナム市場での競争力を高める重要な要素となります。例えば、現地のニーズに合わせた製品改良や、ベトナム人が関心を持つ「文化」や「科学・技術」を活用したプロモーション活動が効果的です。
また、ベトナム人消費者の嗜好をより深く理解するためには、定期的な市場調査と現地パートナーとの連携が欠かせません。さらに、日本製品の高品質を訴求するだけでなく、価格帯や使用環境に適したバリエーションを提供することも重要です。例えば、地元の食材を取り入れた日本料理や、ベトナム市場特有のニーズに対応したカスタマイズ製品が成功の鍵となるでしょう。
また、両国間の政治的・経済的な良好な関係を背景に、日本企業が進出しやすい環境が整っています。この機会を最大限に活用し、ベトナム市場に特化した戦略を策定することが求められます。たとえば、地方都市への進出やオンライン販売チャネルの拡充など、新たな市場開拓を視野に入れることが重要です。
まとめ
ベトナム人の日本に対する高い評価は、経済力、技術力、文化への信頼が基盤となっています。この評価は、日本製品やサービスのプロモーションにおいて極めて有利な条件を提供します。ただし、現地の消費者ニーズや文化的嗜好を深く理解し、それに応じたローカライズやカスタマイズを行う必要があります。例えば、飲食業界ではベトナムの味覚に合ったメニュー開発が求められ、小売業界では価格帯や機能性に配慮した商品提供が重要です。さらに、日本ブランドが持つ高品質のイメージを活かしつつ、ベトナム独自の市場特性を取り入れることで、新たな需要を掘り起こすことが可能です。こうした取り組みを通じて、ベトナム市場での成功は他の東南アジア市場への展開をも後押しし、日本企業にさらなる成長の機会をもたらすでしょう。
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MAYプランニングでは、マーケティング戦略や販売チャネル開拓に関するアドバイスを行っています。また、製品・サービスのローカライズや現地パートナーシップ構築などについてのサポートも提供しております。
参考:
1)JNTO 訪日旅行誘致ハンドブック 2021(東南・南アジア7市場編)第1章 ベトナム 外国旅行の動向. JNTO. https://www.jnto.go.jp/statistics/market-info/vietnam/vietnam02.pdf