香港政府、1375億規模の追加措置を発表
香港政府は8日、新型コロナウイルスの感染拡大で打撃を受けている企業、従業員、市民を援助するため、1,375億香港ドルの措置を発表した。
企業支援、雇用保護、経済振興、市民の負担軽減のため、すでに財政予算案の中で総額1,200億香港ドルの対策を策定しているほか、300億香港ドルの「防疫抗疫ファンド」を設立しており、今回は追加刺激策となる。
以下は香港政府の追加刺激策の主な措置内容を整理したものである。
労働者給料の50%を半年間補助
新型コロナの影響を受けた約150万人の労働者に対して、給料の50%(上限9,000香港ドル/月)を半年間補助する雇用維持プログラムに、800億香港ドルを充当するという。
条件は、雇用主は人員削減をしないことと強制積立年金(MPF)を支払っていること。補助金は二段階に分かれ、第一弾は6月頃に雇用主へ配布される予定という。
16の業界支援に210億香港ドルを投入
「防疫抗疫ファンド」の使用用途についても明らかになり16の業界支援に210億香港ドルを投入する。
飲食業界:
● 一般レストラン、水上レストラン、軽食レストラン・店舗、工場食堂:店舗の面積に応じ25万~220万香港ドル(最低80%は従業員の給与に充てるほか、3ヶ月間は1人も解雇しないことを条件とする)
● カラオケ、バー、ナイトクラブ、政府が運営する街市の中にあるレストラン:5万香港ドル
閉鎖措置された業種:
● ゲームセンター、サウナ、スポーツジム、アミューズメント施設(ビリヤード場、ボウリング場、アイススケートリンク)、公共の娯楽施設(ライブハウス、劇場)、麻雀、クラブハウス:10万香港ドル
● エステ、マッサージ:店舗の面積に応じ3万~10万香港ドル、チェーン店は最大300万香港ドル
運輸業:
● タクシー、赤のミニバスのドライバー:1人当たり6,000香港ドルを半年間支給、一定基準を満たしたドライバー:1人当たり7,500香港ドル
● タクシー、赤いミニバス、スクールバス、レンタカーなどのオーナー:3万香港ドル
● バス会社5社、フェリーの運営会社9社、トラムの運営会社:実際の定期メンテナンス費用と保険料を半年間全額返金
航空業界:
● 大型機:1機当たり100万香港ドル
● 小型機:1機当たり20万香港ドル
● 航空業界を支援するサービスや貨物を運営する業者:100万~300万香港ドル
旅行業界:
● ライセンス保有の旅行代理店:2万~20万香港ドル
● ツアーコンダクターやガイド:1人当たり毎月5,000香港ドルを半年間支給
● ライセンス保有のホテル、旅館:30万~40万香港ドル
● 観光バスのドライバー:1人当たり1万香港ドル
● 啓德にある郵輪碼頭の運営会社:家賃と管理費を半年間減免
● フェリー会社:運行停止期間中の停泊料金を払い戻す
● 貨物を運営する業者:100万~300万香港ドル
建設業界:
● 資格を持つ建設作業員:1人当たり7,500香港ドル
● 建設会社:2万香港ドル
● エレベーター、消防装置、電気、空調業者:1万香港ドル
金融業界:
● 香港交易所(HKEx)で取引する資格業者:5万香港ドル
● 證監会(SFC)のライセンス所有者:1人当たり2,000香港ドル
不動産業界:
● 地産代理監管局(EAA)のライセンス所有者:1人当たり24ヶ月間更新料に等しい手当(3,930香港ドル)
教育業界:
● 補習校:1校当たり4万香港ドル
● 学校内で食堂やパンなどを売る業者:1社当たり8万香港ドル
● 弁当を販売する業者:1万香港ドル
● スクールバスの運転手や保育士:1人当たり1万香港ドル
● スポーツのコーチやダンスの先生:1人当たり7,500香港ドル
クリエーティブ産業:
● 映画館:1スクリーン当たり10万香港ドル(ただし映画館1館当たり最大300万香港ドル)
● 元創方(PMQ):2,500万香港ドルとテナント料の減免
● 次回のブックフェアに参加する香港の出版及び印刷業界の企業:最大10万香港ドル
医療関係:
● 医者 400香港ドル、看護師 230香港ドルの更新料を3年間免除
ゴミを収集する業者:
● 1人当たり8,000香港ドル
漁業、農業関係者:
● 1人当たり1万香港ドル
地下鉄(MTR)が7月1日から半年間20%割引
7月1日から半年間、MTRの乗車運賃を20%割り引く。オクトパスカードを利用してMTRに乗車した場合、自動的に20%割引が適用される。また、マンスリーパスは100香港ドル割引となる。
行政長官と主要当局者の給料を1年間10%削減
林鄭月娥行政長官を含め政務長官と財政長官、13局などの主要当局者の給料を、1年間にわたり10%削減する。総額771万香港ドルの経費削減となるようになるとのこと。
機場管理局は20億香港ドルの航空券を市民に放出
機場管理局(Airport Authority)は20億香港ドルと投入して航空会社に対して50万枚のオープンチケット を購入し、終息後に旅行客と香港市民に放出する。
3万人分の臨時的な就業機会を作る
今後2年間に60億香港ドルを投じて政府、民間合わせて3万人分の12カ月という期間限定の臨時的な就業機会を作るとした。2020-21年度、公務員は1万人を採用し、5000人分の実習生の枠を創設する。
オフィス、工場などの水道代の補助を4ヶ月延長
住宅用途以外で使われているオフィス、工場などの水道代は2万香港ドルを上限に8ヶ月間75%を補助する予定だったが、4ヶ月延長して12ヶ月間とする。
所得税の支払猶予を3ヶ月間延長
所得税は毎年4~6月に支払うが、支払猶予を3ヶ月間延長する
出典:香港政府プレスリリース、香港経済新聞
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