香港法人設立に関する費用まとめ
香港での会社設立の過程は、他のアジア諸国と比べて比較的シンプルで手続きが早いと言われています。今回は香港で現地法人を設立する際に、多くの業種業態において関係がある必要な費用について詳しく解説します。
最低資本金
香港法人の最低資本金については、1香港ドルから可能となっています。香港では会社を設立する際に、事業主は営業資金や設備投資資金、人件費などのさまざまなコストを考慮しながら、1香港ドル以上であれば自由に資本金を決定することができますが、一般的には1万香港ドルで設定されるケースが多いようです。
また、ここでいう資本金とは、株主の責任範囲を示す授権資本金のことを指します。授権資本金とは、株主の承認なしで株式の発行が可能な限度額で、株主がこの金額まで責任を負わなければならないという金額です。
会社設立費用
香港では、会社登記の申請提出は、同時に商業登記の申請提出とみなされます。
会社登記費用
会社登記の手数料として1,425香港ドル、設立証明書(Certificate of Incorporation)の発行手数料とし295香港ドル、合計1,720香港ドルが必要になります。設立証明書は、オフィスの賃貸契約を結ぶ際などに必要ですが、仮に会社が設立できなかった場合は1,425香港ドルは払い戻されます。
商業登記費用
1年間有効な商業登記証(Business Registration)は2,000香港ドル、3年間有効な商業登記証は5,200香港ドルとなっています。商業登記証は更新し続ける必要があります。
オフィス賃貸料
一般的に、香港の幅は大きく、借主の税負担なし・管理費別で1㎡当たり232~1,615香港ドルとなっています。
香港の不動産物件の表示方法は、sq.ft.(平方フィート)。日本で使われている面積単位の平米(㎡)で換算する場合は1 sq.ft. = 0.093㎡で計算します。
世界でもっともオフィス賃貸コストが高いのは香港の中環(セントラル)地区とされており、2018年4月には史上最高値となる134.3香港ドルを記録しています(※香港ポスト「中環の高級オフィス賃料、史上最高値を更新」より)。
賃料の他に、オフィスの保証金は家賃の2~3ヶ月、契約期間は通常2~3年となります。
オフィス契約時に必要となる費用は下記となります。
・家賃(前払い):1ヶ月分
・保証金:2~3ヶ月分
・仲介手数料:0.5ヶ月分
・印紙税:賃貸契約締結に対しての納税、オーナーと折半。2年間の契約の場合、年間家賃の0.5%程度
保証金は、退去時の部屋の状態に問題がなければ退去から通常1ヶ月以内に全額が返金されます。また、一般的なオフィス賃貸契約の場合、香港では中途解約ができません。何らかの事情により中途解約が必要となる場合は不動産オーナーへの相談を最優先し、オーナーと協議することが大切です。ほとんどの場合、保証金の没収に加え、契約内容に基づくペナルティが課せられてしまいますので、注意が必要です。
また、オフィスやテナント募集の際には、ロビー、エレベーターホール、階段などの公共部分の負担割合が賃貸面積に含まれているパターンが多くあるので、以下を参照してください。
Gross 表示:共有部分を含む面積。室内面積は70~80%前後
Lettable 表示:占有面積。室内有効面積は90%前後
Net Area 表示:室内、壁中心からの内側面積、日本における実質有効面積
さらに家賃以外にかかる諸費用として、下記の3つが挙げられます。
・管理費(マネージメントフィー):毎月の支払い
・不動産税(カバメントレーツ):3ヶ月に1回の支払い
・土地賃貸料(ガバメントレント):香港返還後にできた新しい徴収。3ヶ月に1回、不動産税と一緒に請求がくる
近年は、上記諸費用を含めた家賃設定が一般的となっているようです。
法人税
香港での法人税は16.5%です。法人の事業所得税は、経営者の国籍を問わず、香港の中で行われた経済活動および香港での貿易取引の収益が課税の対象です。ただ、中小企業やスタートアップの振興・育成を狙い、2016年9月、香港政府はCTC(Corporate Treasury Centre)制度による税制優遇措置の概要を公表ました。2018年から課税所得200万香港ドルまでの税率を8.25%と、基本税率に比べて半減することを公表しています。このほか、減価償却控除、借入金利控除、貸倒控除などの控除があります。
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