シンガポールにおける居住法人に対する優遇措置の概要
シンガポールにおいては、居住法人のみが免税措置、外国税額控除などを享受できます。逆に「非居住法人」は様々な優遇税制を享受することができません。この記事では、シンガポール居住法人に対する優越措置、居住法人の判断基準、申請手続きについてご紹介します。
シンガポール居住法人の三つのメリット:
1.二重課税防止協定(Double Taxation Agreement=DTA)の為、両国で物品やサービスに対する所得税を二重に支払う必要がなくなります。
2. Income Tax Act section 13(8) に基づく国外源泉所得の免税規定の適用を受けることができます、例えばシンガポール国外における受取配当金について一定の条件を満たしていれば、シンガポールでは課税されません。
3. スタートアップ免税制度により、設立から3年に渡り、部分的に免税となります。
居住証明(Certificate of Residence=COR)の概要と判断基準:
居住証明とは、IRAS が 居住法人(Tax Resident Company)である事を証明する為に発行する証明書です。シンガポールの居住性はシンガポールにおいて事業の支配と経営が行われているかどうかで判断されます。
居住証明(Certificate of Residence)の申請
居住証明(Certificate of Residence)は IRAS のTax Portal (https://mytax.iras.gov.sg/ESVWeb/default.aspx)で当該年度分または過去4年分までを申請可能です。例えば、2020年の場合、2016年から2020年までのCORを申請できます。
申請は会社のスタッフもしくはエージェントが行います。申請書の処理は提出から7営業日以内に行われます、
申請者が準備する資料:
- 会社のビジネスプロフィール
- 会社が休眠でない事の証明
- 会社が外資系投資持株会社ではない、外国からのみ収入を受け取っている会社ではない事の証明
- シンガポールで事業の管理と経営が行われている事の証明
- 二重課税防止協定の対象国を確認
- 収益の性質 (利息、ロイヤリティー、コミッション、管理費、コンサルティング費、サービス費、配当金など)
- 収益金額
申請資格の無い会社:
1)ノミニー企業(Nominee Company):ノミニー企業とは、取締役の名義貸しを利用している企業です。そのノミニー取締役は実際の取締役会での決議には参加せず、業務も行いません。受益者(Beneficial Owner)がパートナー(Treaty Partner)から直接収入を受け取っていない為、ノミニー企業はCORの申請資格がありません。 収入は基本的に受益者( Beneficial Owner)に代わって、ノミニー会社が受け取ります。
*ノミニー取締役の制度は日本には存在しません。
2)外資系投資持株会社:外資系企業とは、株式の50%以上を外国企業または個人が所有する会社のことです。 受動的に得られる収入であり、外国からのみ収入を受け取るため、その会社はCORを申請する資格がありません。シンガポールで事業の管理と経営が行われている事を IRASに証明でき、シンガポールに会社を設立する正当な理由がある場合は、例外的に申請できる事があります。
3)シンガポールで事業の管理と経営が行われていない企業
以上が居住法人に対する優越措置の概要となります。弊社では香港、シンガポールでビジネスをされる方に様々なサポートを提供しております。ご不明な点がございましたらお気軽にお問い合わせください。
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