高学歴IT人材の増加〜2021香港での人材実態〜
前回の記事では、香港政府統計処の「香港的女性及男性主要統計数字 2021年版」に基づき、香港の人口・労働市場変化についてお伝えしました。
人口においては不振に見える香港では、実は経済産業のシャッフルが起きています。この状況で商機を掴むために、香港での労働市場について知っておくことが役に立つでしょう。
今回は、同調査結果を基に、香港人材の実態についてお伝えします。香港就業者の収入と労働時間については次回の記事でご紹介する予定です。
香港は以前より、高学歴社会になってきており、その中でも、テクノロジー、ビジネス、科学に関する人材が大多数を占めています。
高学歴社会になっている香港
学歴では、昔のデータに比べると、大学の学位を持っている人が増える一方で、若年層の高専卒以上の比率が一番高くなっています。
2020年、外国人ヘルパーを除き、15歳以上で学位を持っている女性は24.9%で男性は27.9%。同データで2001年の数字は女性10.9%男性14.4%、顕著な増加が見られます。
年齢層で見ると、40代グループとそれ以上のグループは高卒(=昔の制度の中学7年卒)までの学歴が多数ですが、30代グループを境目に、若年層では高専卒以上の方が多数になっており、高専卒以上の学歴を持っている比率が一番高いのは20代グループ(56.0%)です。
テクノロジー関係の科目が一番人気に
香港の大学では様々な科目があり、多様な人材を育てています。その中でもエンジニアとテクノロジーの科目が伝統的人気の商科の履修人数を追い越し一番人気で、IT化のトレンドを反映しています。
2020/21年度の大学教育資助委員会が資助している課程の学生数から見ると、19.0%の学生が「工程科と科技科(Engineering and Technology)」を履修しており、各科目で一番多いです。その中の71.1%が男性で、各科目で男性の比率が一番高い科目になっています。2・3位は同じく17.8%の学生が履修している「商科と管理科(Bussiness and Management)」と「理学科(Sciences)」で、男女の比率は約4:6と6:4です。
ちなみに、注目なのは、中国語と英語という香港の公用語以外、日本語は主に外国人ヘルパーの母国語であるフィリピン語とインドネシア語に続き、香港人(外国人ヘルパーを含む)が「読み・書き」できる外国語で3位になっております。
2016年のデータによると、中国語の「読み」ができる人口は女性84.6%・男性95.1%、英語を読めるのは女性65.7%・男性71.2%に対し、日本語を読める香港人口は男女同様2.0%です。「書き」の方は、中国語(女性82.0%・男性93.1%)と英語(女性63.6%・男性68.7%)に対し、日本語を書ける香港人口は女性1.7%・男性1.6%です。
まとめると、香港では現在世界的なトレンドのIT化に対し、テクノロジー専攻の高学歴人材が増えています。他の分野でも高専卒以上の人材が今後増えていく見込みで、各業界に適切な人材がいます。その上、日本語のできる人口が他の外国語よりも比較的に多い、日本企業の香港への進出には有利な環境になっていると言えます。
香港政府統計処が発表した完全版の調査結果はこちらのURLまでご参考ください:
https://www.censtatd.gov.hk/en/EIndexbySubject.html?pcode=B1130303&scode=180
香港で人材雇用する際に参考に入れておきたい、香港就業者の収入と勤務時間のデータについては、次回の記事でご紹介したいと思います。
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