2023年以降、ポストコロナでのシンガポール労働市場はどう変化する?

進化し続けるシンガポールの労働市場で成功するためのヒントを発見しましょう!

今回の記事では、シンガポールMRSDが発表した調査結果とシンガポールの大学が新卒者を対象に実施した調査結果を基づいて、男女比や年齢比からデジタル専門知識の台頭まで、重要なトレンドを明らかにします。
人材獲得、人材維持、デジタル投資の戦略を探り、シンガポールのダイナミックな雇用市場でビジネスを成功させるためのヒントをご紹介します。

女性の就業・学位取得者の大幅増加に注目

シンガポールの労働調査統計局(Manpower Research and Statistics Department、MRSD)が発表した「シンガポールの労働力2022(Labour force in Singapore 2022)」はシンガポールの労働市場の全体像を提示し、長期的な傾向を引き出しています。
今年の調査結果は、コロナ発生から2年が経過し、居住者労働力の回復を評価したものです。
持続的な景気回復と、厳しい労働市場環境の中でビジネスや社会活動が徐々に正常化する中、居住者労働力は改善を続け、労働力に関するほとんどの指標がコロナ以前の水準に戻るか、それを上回りました。

ここでは男女比・年齢比の変化、管理職や専門職の存在感の高まり、教育水準の向上について見ていきましょう。

出典:https://stats.mom.gov.sg/Pages/Labour-Force-In-Singapore-2022.aspx

2022年、シンガポールの労働力の性別比は変化し、女性の参加が増加したことが示されました。
女性の割合は2012年の44.4%から2022年には46.7%に上昇し、男女平等の推進と女性の地位向上への継続的な取り組みが反映されています。
年齢から見ると、2022年の60歳以上の労働人口が2012年より顕著に増加したのが注目的です。一方、20代の労働人口がこの10年間減少しました。

出典:https://stats.mom.gov.sg/Pages/Labour-Force-In-Singapore-2022.aspx

重要な傾向として、地元の人材に対する管理職や専門職のポジションが大きく伸びていることが挙げられます。
専門職、管理職、役員、技術職(PMETs)の割合は、2012年の52.4%から2022年には63.6%に増加しました。この変化は、知識集約型経済への移行と、専門分野における熟練したプロフェッショナルへの需要の高まりを意味します。
逆に、事務職、販売職、サービス職の割合は、2012年の25.4%から2022年には19.3%に減少しており、技術の進歩や自動化による職務の変化が表れています。同様に、生産・輸送オペレーター、清掃員、労働者の割合は、2012年の22.2%から2022年には17.2%に減少しており、よりサービス志向で技術的に進んだ経済へのシフトを反映しています。

出典:https://stats.mom.gov.sg/Pages/Labour-Force-In-Singapore-2022.aspx

シンガポールの現地労働者は、2022年にはより高いレベルの教育達成度を示しています。
学位、卒業証書、専門資格を持つ労働人口の割合は、2012年の48.1%から2022年には61.9%に増加しました。特に、学位取得者の割合は大きく伸び、2012年の29.4%から2022年には41.6%に上昇しました。
この傾向は、高等教育の価値に対する認識の高まりと、進化する雇用市場における高度なスキルを持つ専門家への需要の高まりを浮き彫りにしています。

新卒者の総月給中央値増加する一方、デジタルスキル所持者に集中

シンガポールの大学(NTU・NUS・SMU・SUSS)が実施した調査から、コロナ時期の前後の新卒者就職状況の傾向と、シンガポールの労働市場への影響の関係性について見ていきましょう。

出典:https://www.channelnewsasia.com/singapore/university-graduates-unemployed-6-months-survey-nus-ntu-suss-smu-3290586

上記のデータから見ると、シンガポールの新卒者の就職状況には変化があったことがわかります。
新卒者の93.8%が最終試験終了後6カ月以内に就職先を確保したものの、前年の94.4%から若干減少した。この減少は、2017年以降初めての減少です。この傾向は、就職市場の競争激化や、新卒者のスキルと雇用者の要求とのミスマッチの可能性を示唆しています。
注目すべきは、2022年に就職した人のうち、正社員の職を確保した割合が前年(84%)に比べて高く(87.5%)なりました。
また、フリーランスに従事する卒業生の割合は、2021年の1.7%から2022年の1.8%へと微増しましたが、パートタイムや派遣社員として働く卒業生の割合は、2021年の8.7%から2022年には4.5%へと大きく減少し、シンガポールの経済がより安定した雇用機会与えられるように成長していることを反映しています。

出典:https://www.channelnewsasia.com/singapore/university-graduates-unemployed-6-months-survey-nus-ntu-suss-smu-3290586

今回の調査結果で特に注目すべきなのは、フルタイムの正規雇用新卒者の総月給中央値が上昇していることです。
全体の給与中央値は、2021年の3,800SGDから2022年の4,200SGDに上昇し、最も顕著な上昇が見られたのは情報・デジタル技術コースのグループで、フルタイム雇用の総月給中央値は2021年の5,000SGDから2022年の5,625SGDに上昇しました。このグループの回答者は、健康科学とエンジニアの回答者と並んで、フルタイムの常用雇用の割合が最も高いことを誇っています。
残りのグループも総月給の中央値が上昇したものの、芸術、デザイン、メディアのグループは安定した給与を維持しています。

技術関連職の給与中央値が特に上昇しているのは、シンガポール経済におけるこれらの分野の重要性が高まっていることを反映しています。
さまざまな産業でデジタル技術や専門知識に対する需要が高まっており、これらの分野が就職機会と報酬の面で突出していることが考えられます。

結論として、新卒者全体的な給与の中央値が上昇しているにもかかわらず、新卒者の学業終了後6ヶ月以内の就職率が低下していることは、より厳しい労働市場を示唆しています。今後の変化にも注目しておきましょう。
IT関連の新卒者のフルタイム常用雇用の割合成長と総月給中央値の上昇は、シンガポールの社会全体でデジタル技術に対する需要を反映しています。
しかし、特定の職業における卒業生の雇用率が持続的に低下していることは、教育方針と業界の要求との間での継続的な評価と調整が必要だと感じられます。
企業は人材の獲得と維持やデジタル人材への投資などを確保するための戦略を導入することで、進化し続けるシンガポールの労働市場で成功できるでしょう。

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