働き方はどこへ向かうのか、2025~2026年の世界雇用トレンドから考える日本企業の選択
現代の働き方はパンデミック前とは大きく変わり、2025〜2026年も多様なトレンドが交錯しています。日本企業・従業員にとって、世界はどのように働き方を再構築しているのか――主な5つの潮流を整理し、強化すべき視点と課題を明らかにします。
今回の記事では、世界的に変化する働き方や雇用慣行を背景に、企業と従業員の双方に求められる意識や制度の在り方について、最新事例を交えながら解説します。
ハイブリッドワークと在宅勤務の新たな均衡
近年、ヨーロッパやアメリカを中心にハイブリッドワークが主流となっています。イギリス内のデータでは、求人広告の約40%がハイブリッド勤務を掲げ、完全リモートは少数派です。専門職の応募者にもハイブリッドの魅力が強く、月〜週のオフィス出社義務は企業ごとに異なるものの、**「3〜4日の出社を組み合わせる形が標準化しつつある」**と報じられています。
LinkedInによる調査でも、アメリカでハイブリッドワークはリモートよりも広く採用されており、企業の67%が何らかのハイブリッド柔軟性を維持しています。一方、完全なオフィス勤務モデルに戻る企業は27%に限定されています。
☑️「何日の出社が生産性・協働に最適か」をデータで検証し、パフォーマンスベースで柔軟に設定することが求められています。
出社義務化(RTO)の波と現場のリアル
パンデミック後、アメリカ・ヨーロッパ・オーストラリア等の大企業では出社義務化(Return to Office:RTO)策の見直しが進んでいます。ParamountやNBCUniversalでは2026年から制度強化を発表するなど、伝統的オフィス回帰傾向が見られます。
日本国内でも、調査によれば約51%のビジネスパーソンが「出社回帰」を実感しており、週5日の出社が最も多いとするデータが出ています。アクセンチュアやアマゾンジャパンでも週5日出社の方向性が報じられています。
ただし、欧米では「ハイブリッド・クリープ(hybrid creep)」と呼ばれる、日数を徐々に増やす戦略も注目されています。これは強制的な戻しではなく、昇進・評価との連動など、間接的に出社比率を高める手法です。
☑️出社義務化による従業員の採用・定着への影響を評価し、柔軟性を維持した戦略構築が重要です。
インターンシップの戦略的な活用:採用直結型の拡大
日本経済新聞の記事からは、インターンシップが「採用直結型」として活用される動きが加速していることが分かります。政府によるルール整備により、条件を満たせばインターンでの評価を本選考に生かすことが可能になり、3年生夏以降の参加が中心となっています。企業側は早期に学生と接点を持ち、採用後のミスマッチを減らす効果を狙っています。
調査では、採用直結型インターンを実施した企業の内々定辞退率が低くなる傾向が示されています。
☑️学生と早期接点をつくり、採用前の体験プログラムとして位置づけることで、長期雇用の成功確率を高める戦略が有効です。
ジョブ型人事と能力を見える化する報酬・評価制度
グローバル人材戦略として注目されるのが、ジョブ型人事制度の導入です。パナソニックコネクトやメルカリなどは、職務とスキル要件を明確化することで、役割に見合う人材を配置し、能力・成果に応じた処遇を実施しています。
これにより、昇格だけではなく降格の運用やキャリアの主体的な考え方が促進され、結果的に生産性向上につながる可能性が指摘されています。
東京海上ホールディングスは、幹部育成制度の透明性と国際的研修プログラムを公開し、社員が自らキャリアを描けるような仕組みづくりを進めています。
☑️役割定義と報酬体系を可視化し、従業員が自身のキャリアパスを描ける仕組みを整備することが、グローバル競争力の源泉になります。
AI・労働時間改革と「新しい働き方」の可能性
最新の世界的トレンドとして、AI活用による生産性向上と労働時間改革が浮上しています。AIツール(例:自動化やドキュメント管理など)を取り入れることで、従来より短い労働時間で高い成果を出す企業が出始めており、4日労働週も一部で実現しつつあります。
また、AIを「仕事の共同作業者」と位置づけ、クリエイティブな業務に集中するワークスタイルが注目されています。
☑️AI導入は単なる省力化だけではなく、従業員の「価値創造能力」を高める働き方改革につながります。戦略的なAI教育・研修が成功の鍵です。
世界トレンドからの示唆
これらの動きを総合すると、以下のような示唆が得られます。
柔軟性と秩序の両立が鍵
ハイブリッドやRTOは二極化しているものの、多くの企業が柔軟性を維持しつつ組織文化やコラボレーションを強化するモデルを探っています。
個人と組織の価値観を統合する必要
インターンやジョブ型など、 人材の早期発掘・育成・評価を体系化する制度設計が重要です。
AIと人間の強みを融合する働き方改革
単なる効率化を超え、創造性・生産性・生活品質の向上につながる働き方モデルを検討すべきです。
まとめ
世界の働き方や雇用環境は、ハイブリッドワークの定着と出社回帰の動きが並行する中で、「柔軟性」と「成果・競争力」をいかに両立させるかが問われる段階に入っています。重要なのは、制度の流行を追うことではなく、自社の事業特性や組織文化に即した働き方を主体的に設計する姿勢です。
また、採用直結型インターンシップやジョブ型人事制度、AI活用の進展は、人と仕事の関係やキャリアの在り方を大きく変えつつあります。企業は人材戦略の透明性と柔軟性を高めることが求められ、働く個人もまた、自身の専門性や価値を主体的に磨いていくことが、これまで以上に重要になっていると言えるでしょう。
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MAYプランニングでは、グローバル働き方トレンドを踏まえた人事・組織戦略の現状診断およびロードマップに関するアドバイスを行っています。また、AI活用を前提とした業務プロセス見直しおよび人材スキル再設計や、グローバル拠点を含む人材ポリシーの統一・ローカライズなどについてのサポートも提供しております。
参考:
1)James faris. (2025, December 27). The State of Media RTO: Here’s What Companies from Paramount to Netflix Are Telling Workers Heading into 2026. Business Insider. https://www.businessinsider.com/remote-work-media-companies-rto-wfh-paramount-nbcu-disney-netflix-2025-12
2)「出社回帰」の企業が増加中も、 求職者はリモートワークに関心。 企業はどう対応すべきか. (2025, June 12). Docomo Business. https://www.ntt.com/bizon/return-to-office.html
3)https://www.wsj.com/lifestyle/workplace/hybrid-work-return-to-office-creep-af5a62b5
4)Tracy chan. (2025, December 10). The Workplace Trends Set to Redefine Businesses in 2026. HumanResourcesOnline. https://www.humanresourcesonline.net/the-workplace-trends-set-to-redefine-businesses-in-2026
5)インターンシップとは 採用直結型広がる、理解深めて辞退率減. (2025, October 19). 日本経済新聞. https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC181AD0Y5A011C2000000/
6)パナソニック系やメルカリ、中堅・幹部の「給与格差」隠さず. (2025, October 30). 日本経済新聞. https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC212V10R21C25A0000000/
7)世界で広がる「出社回帰」がわかる記事10選. (2025, November 10). 日本経済新聞. https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC073ER0X01C25A1000000/

