コロナで世帯収入減、スーパーは好調など
香港では、新型コロナウイルスの感染拡大が収束に向かっているものの、それでも長期に渡る感染対策の影響で経済的ダメージが今も続いている。現在の経済状況をまとめた。
71%が世帯収入減
米信用調査会社トランスユニオンは7~8月に香港市民1,006人を対象に家計調査を実施したところ、新型コロナ感染拡大の影響で世帯収入が減少している人が71%に上ることが判明した。6月末の前回調査から3ポイント拡大。18~25歳のいわゆる「Z世代」では前回調査から9ポイント高い70%に上り、最も影響が深刻だった。失業率も24%に達している。全体の79%がクレジットカードや借金などの支払いが心配だとし、45%が4週間以内に支払期限があるものについては支払いができないだろうと答えている。
外食苦戦もスーパーが好調
新型コロナ対策で大きな影響を受けた業界の一つが外食産業だ。現在は24時まで飲食店内での食事が認められているが、それまでは18時や22時までと厳しい制限が加えられ、閉鎖や経営危機に瀕する店が続出した。一方で、香港日清の2020年6月期の中間決算では自宅での滞在時間が増えたことで売り上げが前年同期比で15.9%増の17億3,539億香港ドルを計上。香港で日本産品を中心としたスーパー「一田(YATA)」は日本のコンビニの要素を混ぜたコンセプトの新業態「KONBINI便利ストアby YATA」をコロナ禍の最中にオープン。その一田の2020年の上半期の売り上げは2前年同期比で16%増、スーパーだけで見ると39%増だったことが明らかになるなど、「外食天国」の香港が家での食事にシフトしていることが鮮明になった。
小売業低迷で閉店が続く
化粧品小売大手の卓悦(ボンジュール)の2020年6月期の中間決算で売上高は前年同期比59.7%減の3億3,300万香港ドルと厳しい結果となった。香港政府統計処は9月30日、8月の小売りの売上高を発表し、前年同月比13.1%減の256億香港ドルと政府統計からも厳しい状況が鮮明になっている。香港金融管理局によると、2020年第1四半期の香港発行分のクレジットカードの決済総額は前年同期比11.8%減の1,704億香港ドルと低調だった。
米スポーツ用品大手「ナイキ」は、中環の旗艦店を賃貸契約を打ち切った。「VICTORIA’S SECRET」「TOPSHOP」は旗艦店を閉店し、香港撤退。「GAP」は銅鑼湾、九龍塘、尖沙咀2店舗を閉店し、残り3店舗のみで営業する。「ZARA」は世界中の実店舗1,200店を閉鎖する計画の中、香港は全店舗を閉め、ネット販売に移行。「ESPRIT」「FOLLI FOLLIE」も全店閉店した。
中環では多くの大型店舗が撤退しているため、賃貸料が月100万香港ドル以上の物件は次々と消滅している。大手不動産会社中原地産の関連会社、中原(工商舗)よると、中環、湾仔、銅鑼湾、尖沙咀、旺角の5大商業地区の2020年7月の空室率は20.39%で、新型コロナが本格的に拡大する前の同年1月と比べると8.05%上昇したことが明らかにった。
コロナ対策で財政赤字拡大
香港政府の財政も、現金給付、給与50%の助成金など大規模な財政出動を行ったため悪化している。香港政府が9月30日に発表した財政状況によると、2020年4月1日時点の財政備蓄は1兆1,603億780万香港ドルだったが、8月31日の時点で9,277億香港ドルで、2,326億香港ドルの赤字を記録した。今年度予算は3,000億香港ドルの赤字となる可能性があると予想している。
香港富裕層調査、15人に1人が億万長者
シティバンク香港(Citibank)が香港の富裕層を調査する「Hong Kong Affluent Study 2019/2020」を発表し、2020年5月時点で1,000万香港ドル(約1億3,600万円)以上の資産を持つ人(以下:億万長者)が50.4万人(香港人口の15人に1人)に達したと伝えました。この結果は2019年に比べて91,000人(△22%)増加していますが、2018年の51.1万人よりは減少している傾向です。
調査は昨年11月から12月にかけて及び今年3月から5月にかけて、21歳から79歳の香港市民3,500人以上を対象に、コンピューターを使った無作為抽出で電話調査を実施しました。同銀行が同様の調査を行ったのは今年で17年目であり、富裕層に関する報告書を発表したのは今年で6年目となります。
調査によると、億万長者の56%が男性で平均年齢は58歳、44%が女性で平均年齢は57歳であり、その中で仕事をしていない人は54%とのことです。その中の10.6万人は、1,000万香港ドル以上の流動資産(不動産を除く)を持ち、資産の中央値は1,700万香港ドルで、2018年の1,630万香港ドルより4.3%増加しています。
また、資産で最も多かったのは不動産で総資産の78%を占め、それ以外は現金・預金(10%)、株式(6%)、ファンド・債券(4%)などとなるようです。ほとんどの億万長者は株式と外貨(人民元を含む)を保有しており、ファンド、債券、貴金属、オプション、先物などが続きます。なかでも、株式、外貨、人民元が普及率の最も高い3つの投資手段です。
億万長者の80%近くが今後12ヶ月の不動産市場について悲観的な見通しを示し、前年比で8ポイント増加しており、不動産市場の様子見姿勢を反映していますが、現在は物件購入のタイミングだと考える人が増えています。
シティバンク香港のリテールバンキング部門の最高経営責任者のジョセフィン・リーは「投資家は、市場全体のセンチメントと短期的な社会的出来事に基づいて資産の価値を推測しました」と言い、「世界各国の政府が新型コロナウイルス対策の景気刺激策を講じているため、2019年と比べて投資家の感情はよりポジティブになります」と述べました。
香港、日本を含む国とトラベルバブル交渉
香港政府は、新型コロナウイルスの緩和を受けて多くの国と「トラベルバブル」の交渉を進めている。
トラベルバブルとは、社会的、経済的に結びつきの強い国・地域同士が、ひとつの大きなバブル(泡)の中に入り、その枠組みの中で新型コロナ感染を防止しつつ、一定の条件での相互間協定を結び自由な往来を認めることである。
政府はトラベルバブルに関して、これまでに日本、タイ、韓国、オーストラリア、ニュージーランド、マレーシア、ベトナム、フランス、スイス、ドイツ、シンガポールの11カ国と交渉に向けた作業を進めている。邱騰華(エドワード・ヤウ)商務・経済発展局長は、「これらの国々は状況を適切に管理していて、日本とタイについては政府間の2国間・地域間レベルで接触している」と協議を進めているとし、「国によっては行動範囲が限定される可能性がある」と述べた。
協議の中では、「渡航者は出発前に検査結果の証明を所持していること、到着後も空港などで再び検査が必要になるという話が出ている」とした。ビジネスマンのみを対象にするのか、観光客を含めるのか、陰性の結果は何日前から有効なのかなど、細かな話し合いを進めているという。相手国の検査態勢や感染状況などさまざまな兼ね合いがあり、すぐ決められるものでもないため、「話し合いを継続していく」と語った。
日本
現在、香港を含む159の国と地域からの入国者は、特段の事情がない限り、日本への入国を拒否されるが、9月からは、PCR検査で陰性であるという条件で、在留資格を持つ全ての外国人が日本への再入国や再出国が可能になった。
これに続いて、9月18日時点で8つのアジアの国と地域はトラベルバブルの対象となり、日本政府は香港を含む他の15の国と地域とも交渉中。トラベルバブルは長期居住者と短期ビジネス旅行者が対象で、PCR検査で陰性であるという条件で、入国後14日間の自主隔離は必要。
香港の日本領事館は、香港政府との交渉は進行中と述べたが、その詳細の開示を拒否した。
タイ
タイは現在、労働許可証の保有者らを除き、外国人の入国を厳しく制限している。タイへ入国する人は、タイ人か外国人かを問わず全員が指定の施設やホテルでの14日間の隔離を義務付けられ、施設からの外出は一切許されていない。
タイ政府は低迷する経済を立て直すために、10月からのプーケット島での外国人観光客受け入れを再開したいという考えだが、9月3日に103日ぶりに国内感染が発生したこと等から沙汰止み状態になる。
タイが香港の最初のトラベルバブルになる可能性が高いかどうかについて、ヤウ局長は双方が状況を常時把握する必要があると答えた。
タイ王国総領事館の経済部門は、タイと香港の間で協議を進めていると述べた。
シンガポール
シンガポールは9月から、中国、台湾、マレーシアなどの低リスク国・地域からの外国人観光客の入国制限を緩和し、入国時の隔離期間を14日間から7日間に半減した。ニュージーランドとブルネイに対し、到着時に空港でPCR検査を義務付けるが、入国時の隔離を不要とした。それ以外の入国者は引き続き、指定宿泊施設で14日間隔離をして、隔離期間終了前に検査を受ける必要がある。
香港のシンガポール総領事館は、トラベルバブルに関する国との協議に関心があるという香港政府の発表を歓迎すると語り、シンガポールと香港の間の旅行を再開することは相互に利益をもたらすことができると付け加えた。
香港政府、240億規模の刺激策を発表
香港政府は15日、新型コロナウイルスの流行による経済への深刻な打撃に対応するため、総額240億香港ドルに上る刺激策、「防疫抗疫ファンド」第3弾を発表しました。
これまで「防疫抗疫ファンド」は第1弾が300億香港ドル、第2弾で1,375億香港ドルが盛り込まれてきたが、第3弾は240億香港ドルでこれまでより規模が縮小されました。
以下は第3弾の内容とその他の措置を整理したものです。
防疫能力の向上に130億香港ドルを投入
● 新型コロナウイルスワクチンの調達
● 冬季のインフルエンザ流行と新型コロナウイルスの再流行に備え、医院管理局を支援
● 香港ディズニーランドそばの竹篙湾に建設している新しい検疫施設と政府が指定している検疫用ホテルに対して必要な予算を計上
● 食品環境衛生署管轄の街市における非接触型決済の導入拡大
個人、業界支援に45億香港ドルを投入
総合社会保障援助計画(失業者支援スキーム)を2021年5月31日まで6ヶ月延長し、政府の防疫措置により影響を受けた23の業界に対して支援します。
飲食業界:
● 一般レストラン、軽食レストラン、水上レストラン、工場食堂:店舗の面積に応じ5万~25万香港ドル
● カラオケ、バー、ナイトクラブ、政府が運営する街市の中にあるレストラン:2万5,000香港ドル
閉鎖措置された業種:
● ゲームセンター、サウナ、アミューズメント施設(ビリヤード場、ボウリング場、アイススケートリンク)、麻雀・天九牌店:5万香港ドル
● クラブハウス:5万香港ドル、ハウス内でカラオケやバーなどを経営している場合は2万5,000香港ドル追加
● パーティールーム:2万香港ドル
● エステ、マッサージ:従業員数に応じ1万5,000香港ドル、3万香港ドル、5万香港ドル、チェーン店は最大150万香港ドル
運輸業:
● 非専業バス、学校バス、ハイヤー:1台当たり1万5,000香港ドル
● 越境フェリー:1艘当たり50万香港ドル
航空業界:
● 大型機:1機当たり50万香港ドル
● 小型機:1機当たり10万香港ドル
● 航空業界を支援するサービスを運営する業者:最大150万香港ドル
旅行業界:
● ライセンス保有の旅行代理店:従業員1人当たり5,000香港ドル、従業員のいない旅行代理店に対し一律5,000香港ドル
● 旅行代理店従業員、ツアーコンダクターやガイド:1人当たり1万5,000香港ドル
● 観光バスのドライバー:1人当たり6,700香港ドル
教育業界:
● 幼稚園、私立学校:規模、類型に応じ3万~8万香港ドル
● 私立学校(非正規課程):2万香港ドル
● チャイルドケアセンター:子供1人当たり月1,000香港ドル(半日保育)、もしくは2,000香港ドル(1日保育)を4ヶ月補助
● 学校向け飲食食堂事業者:4万香港ドル
● 小学・中学向け弁当事業者:サービスを提供する学校1校につき5,000香港ドル
● 学校専門クラスのコーチ、トレーナー:1人当たり5,000香港ドル
● スクールバスの運転手や保育士:1人当たり6,700香港ドル
スポーツ産業:
● スポーツジム:5万香港ドル
● スポーツコーチ(有資格者):1人当たり5,000香港ドル
● スポーツ施設:3万香港ドル
● スポーツ・レクリエーション施設:政府用地上の関連施設運営者に対し5万香港ドル
クリエーティブ産業:
● 映画館:2020年7月時点でライセンスを持つ商業営業映画館に対し、1スクリーン当たり5万香港ドル(ただし映画館1館当たり最大150万香港ドル)
● 文化、娯楽、スポーツプログラムスタッフ:2020年7月15日から9月30日までの間、プログラムが取消となり影響を受けた者に対し、収入の3分の2を補助
● 芸術文化活動従事者:1人当たり5,000香港ドル
● コンサート主催企業:2017~2019年のうちの2年間、指定会場でポップミュージックコンサートを主催した企業に対し10万香港ドル
● アートスペース、ジョッキークラブアートセンターテナント:家賃の75%を6ヶ月減額
賃料の減額、手数料の免除、料金の減額に60億香港ドルを投入
● 政府管理物件などに入居するテナントの75%~100%賃料減額を半年間行う
● ライセンスなど27種類ある政府に支払う手数料を1年間無料にする
● 非住宅用テナントの上水道と下水道費用の75%減免措置を4ヶ月延長
● 2020-21年度の第3四半期と第4四半期の非住宅用テナントの不動産税の減免の上限を1,500香港ドルから5,000香港ドルに引き上げる
● 房屋委員会、房屋協会、空港管理局、香港サイエンスパーク、サイバーポートの入居企業に対する賃料減免
「中小企業融資担保スキーム」の改善
● 政府100%融資保証につき、借り入れ上限を400万香港ドルから500万香港ドルへ、返済期限を3年から5年へ拡張する
香港、中国都市ランキングトップ3から陥落
中国国務院系シンクタンクの中国発展研究基金会と4大会計事務所のPwC(プライスウォーターハウスクーパース)がこのほど共同で発表した中国の各都市について行った考察・評価の報告書「中国のチャンスある都市2020(Chinese Cities of Opportunity 2020)」で、香港は前年の3位から一気に6ランク下がり、9位に陥落しました。トップ10は1位から順に北京、上海、広州、深セン、成都、南京、杭州、武漢、香港、鄭州となっています。
この報告書が考察の対象としたのは中国の42都市となります。評価ツールには10の考察の視点(知的資本・イノベーション、技術の成熟度、主要地域都市、都市の強靭性、交通機関と都市計画、持続的な開発、文化と生活の質、経済的影響力、コスト、ビジネスのしやすさ)が含まれ、経済発展、社会民生、都市インフラなどさまざまな側面をカバーします。これと同時に、今年は特に医療衛生、都市における生産の安全、自然災害、公共の安全などの視点から都市の強靭性を考察しました。アナリストで分析した結果を、ランキング形式で公表しています。
香港は都市の強靭性(医療、防災、公共安全を含む)では1位、主要地域都市では4位、経済的影響力では4位、ビジネスのしやすさでは5位、コストの評価で最下位(42位)と評価されています。
PwCの中国管理コンサルティング部のパートナーの金軍氏は「香港の順位下落は、他の中国都市の急成長が主な理由である」と説明しています。「最新の研究によると、規模という点でも発展の質という点でも、北京、上海、広州、深センの4都市は今や名実ともに中国の『超一線都市』であり、世界的にもそれぞれ影響力をもっている」と指摘し、「この4都市は世界レベルの都市と肩を並べられる都市であり、都市の集約効果の典型的な現れでもある」と述べました。同時に、ここ数年急速に発してきた「新一線都市」の成都、南京、杭州、武漢、鄭州もベスト10に入り、発展の原動力と人材誘致力を十分に備えていることを示しました。
また、香港樹仁大学の経済学部のトーマス・ユン助教授は、「都市の強靭性で香港が1位となったのは、資本主義の採用および面積の小ささにより、他の中国都市よりも柔軟性が高いことが理由だろう」と分析しています。
詳細は「Chinese Cities of Opportunity 2020」の元データでご確認いただけます。
https://www.pwccn.com/en/research-and-insights/chinese-cities-of-opportunities-2020-report.pdf
「中国のチャンスある都市2020」 順位
順位 | 都市 |
---|---|
1 | 北京 (0) |
2 | 上海 (0) |
3 | 広州 (↑1) |
4 | 深セン (↑1) |
5 | 成都 (↑2) |
6 | 南京 (↑4) |
7 | 杭州 (↓1) |
8 | 武漢 (0) |
9 | 香港 (↓6) |
10 | 鄭州 (↑4) |
香港政府、補助金制度「D-Biz」を強化
香港政府が、新型コロナウイルスの影響下で企業のテレワークやITソリューション導入をさらにサポートするために、補助金制度の一つである「D-Bizプログラム」(Distance Business Programme)の強化策を実施しました。
※「D-Bizプログラム」の詳細につきましては、前回のブログをご参考ください。
8月18日時点で14,056件の申請に対して12,818件への処理が終了しているとのことです。5億4000万香港ドルの補助金が支給されたと発表されています。補助金申請の締め切りは10月31日午後6時までとなります。
具体的な強化策は下記のとおりです。
1. 第2弾の申請が8/31から始まり、前回申請した企業の再申請も認められるが、前回と内容が重ならないようにすること。また前回との合計金額が30万香港ドルを超えないこと
2. 前回6ヶ月間の支給であった購読や毎月費用を支払うタイプのもの、例えばZoomビジネスのようなものについては、12ヶ月まで補助金が支給される
3. 前回申請不可であった、例えば同じ社長が持っている他の会社からの申請も認められる
「D-Bizプログラム」紹介ページ:https://www.hkpc.org/en/distance-business-programme
「D-Bizプログラム」特設サイト:https://www.d-biz.hk/
IT導入支援補助金制度「D-Biz」
香港政府は、企業がテレワークやITソリューションを導入することによって、新型コロナウイルス流行の影響下でも事業とサービスの提供を継続できるようサポートする総額15億香港ドルの補助金制度「D-Bizプログラム」(Distance Business Programme)を「防疫抗疫ファンド」の第2弾の下で立ち上げ、受給資格を満たす企業に資金援助を提供します。
援助金額
● ITソリューション導入、および関連する従業員に訓練するためにかかる費用は、1回につき最大10万香港ドルが支給される(訓練にかかる費用の上限はITソリューション導入費用の10%まで)
● 期間は最大6ヶ月で、1企業が受け取れる補助金の最高額は合計で30万香港ドルまで
● 申請が承認されると30%の補助金が支給される。プロジェクト終了後、証明書を提出することにより、残りの補助金が支給される
● 資金援助に申請するプロジェクトは、申請が承認されてから導入する必要がある
申請可能な企業
● 有効な商業登記証を有する民間企業(※ただし上場企業、法定組織、政府から資金提供を受けるNGOを除く)で、2020年1月1日以前に事業を開始しており、申請したプロジェクトに関連する実質的な事業活動を申請時点で行っている必要がある
申請期間
● 2020年5月18日午前9時~10月31日午後6時
支援範囲
当プログラムは以下12個のカテゴリーのいずれかに該当するものとなります。
1. オンラインビジネス
● ウェブポータル、モバイルアプリ、その他のオンラインチャンネルの開設、商品やサービスの宣伝、サブスクリプションベースまたはeコマースプラットフォームの利用、またその開発と管理
● インターネットによる注文受付、販売の設定
● ソーシャルメディアプロモーション、eクーポン、ロイヤリティプログラムの様なデジタル広告や検索エンジンプログラム等を通じてのオンラインポータルの促進
● プロモーションアイテム、コンテンツ、アセット(マーケティングに使用される画像、テキスト、ビデオなど)は含まれない
2. オンライン受注や配送、スマートセルフサービスシステム
● 消費者がサブスクリプションベースまたはeコマースプラットフォームを通じて商品またはサービスの注文が出来るようにする事を目的としたウェブポータル、モバイルアプリ、その他のオンラインチャンネルの開設、またその開発と管理
● この様な技術により、企業はスマートセルフサービスシステム、スマートキオスク、スマート自動販売機、スマートロッカーなどを利用し、直接受注を可能にし、指定場所に発送出来るようになる。また電子物流プロバイダープラットフォームとの統合が可能となる
● これらの適用はケータリング業界のテイクアウトサービスなど、セルフサービスの導入や促進を行う業界に限定されない
● ソーシャルメディアプロモーション、eクーポン、ロイヤリティプログラムの様なデジタル広告や検索エンジンプログラム等を通じてのオンラインポータルの促進
● プロモーションアイテム、コンテンツ、アセット(マーケティングに使用される画像、テキスト、ビデオなど)は含まれない
3. オンラインカスタマーサービスとプロモーション
● インターネットを利用した、予約や受付等の受注サービスの開始(開発と管理を含む)
● 技術ソリューションには遠隔学習施設も含まれる
● ソーシャルメディアプロモーション、eクーポン、ロイヤリティプログラムの様なデジタル広告や検索エンジンプログラム等を通じてのオンラインポータルの促進
● プロモーションアイテム、コンテンツ、アセット(マーケティングに使用される画像、テキスト、ビデオなど)は含まれない
4. デジタルカスタマーエクスペリエンスの強化
カスタマーサービスの経験値向上と様々なテクノロジー関連使用の向上の為、
● チャットAIロボットによる24時間サポートサービス
● AR(拡張現実)、VR(仮想現実)、MR(複合現実)、デジタルツイン技術による製品やサービスの向上
● データ購入等、カスタマーサービス向上の為の分析システム
5. デジタル決済/モバイル通販システム(POS)
● オンライン/店舗での様々なデジタル決済の実現(インターネット決済、POS等)
● セットアップと関連ハードウェア/機器を含む(1回のみ)
● 各取引の支払い手数料等は含まない
6. オンライン/クラウドベースの財務管理システム
財務関連プロセスを管理するコンピューターシステムの採用(以下を含む作業)
● 請求書とレシート収集、会計と予算の計画、資産および負債管理、コンプライアンスの規制、報告
● クラウドベースのシステムまたは、適切なサイバーセキュリティー保護の下、従業員がリモートでアクセス可能
7. オンライン/クラウドベースの人事管理システム
人事関連プロセスを管理するコンピュータシステムの採用(以下を含む作業)
● 給与及び経費の払い戻し、出欠記録、トレーニング、レポート等
● クラウドベースのシステムまたは、適切なサイバーセキュリティー保護の下、従業員がリモートでアクセス可能
8. リモートによる書類管理、クラウドストレージとリモートアクセスサービス
● 紙資料をデジタル化しクラウドストレージへ保存
● リモートデスクトップコントロール、VPN、VDIを通じ、従業員が企業情報、データ、システムにアクセスできるようにする
9. オンライン会議ツール
グループメンバーが共同作業を行ったり、インターネットを通じて会議をするツールの採用(以下は例)
● オーディオとビデオによるコミュニケーション、コンテンツの共有、予定や作業の管理、会議記録、オンライン調査、Q&A等のサポート
10. バーチャルチームの管理とコミュニケーション
グループメンバーが共同作業を行ったり、インターネットを通じてコミュニケーションを図る為のツールの採用(以下は例)
● メッセージ送信、ビデオ/音声通話、資料の共有と共同編集・同時編集、タスクの割り当て、進行状況のモニタリングとコラボレーション製品の開発
11. サイバーセキュリティソリューション
● サイバー攻撃に対応するソフトウェア、ハードウェアを導入し、企業のサイバーセキュリティを強化
● 対策例として、データ暗号化、ファイヤーウォール、ウィルス対策/マルウェアーソリューションが含まれる
12. その他オンライン/オーダーメイド/クラウドベースのビジネスサポートシステム
● 上記カテゴリーに当てはまらないが企業がテレワークを継続する為に使用する他の対策方法(既製品またはオーダーメイド品を含む)の採用サポート
● 対策例として、エンタープライズ・リソースプランニング(ERP)、電子申請フォームと承認ワークフロー、機械プロセス自動化(RPA)が含まれる
申請方法
● 「D-Bizプログラム」事務局専用サイトにて必要書類の提出と共に申請する
申請ページ:https://www.hkpc.org/en/dbp-fund-app
申請方法のデモビデオ:https://www.youtube.com/watch?v=Uet0gAkIjdg
申請に必要な書類
● 申請者の商業登記証コピー
● 申請者が申請時、香港で実質的に業務運営していることを証明できる資料のコピー
※業務は申請するプロジェクトに関係する必要
例:直近3ヶ月以内に発行されたインボイスやレシート、契約書等
● 従業員の情報を示す資料のコピー 例:支払給与明細の記録
● 銀行取引明細書 ※銀行口座所有者の名前と口座番号が掲載されていること
● 入札者により署名された“Probity and Non-Collusive Quotation/Tendering Certificate(s)”のコピー
※ガイダンス内Annex Bのサンプルを参照
● 入札者の連絡先詳細が掲載された見積書のコピー
● 申請する企業/機構に、その30%以上の株式を保有する個人がいる場合:その個人の有効な香港IDカード又はパスポートのコピー
● 申請する企業/機構の株主が法人の場合:直近の会社登記所の年次報告書(フォームNAR1)のコピー又は、申請する企業/機構の自然人の最終株主が表示される関連資料
● もし申請する助成金額が3万香港ドルを超える場合:独立監査人によるプロジェクトの監査が必要。もし申請者が監査費用をプロジェクト費用でカバーすることを希望する場合、監査費用の見積書のコピーと、署名された“Probity and Non-Collusive Quotation/Tendering Certificate(s)”のコピー
※申請時に含まれていない外部監査費用は払い戻されない
ITサービスプロバイダについて
ITサービスプロバイダーの技術能力も考慮されます。各サービスプロバイダーは、D-Bizプログラムの「ITサービスプロバイダーガイド」に基づき、関連するITプランの範囲での技術力及び経験が考慮されます。
申請企業がレファレンスリスト掲載のサービスプロバイダーを選択しない場合でも、補助金申請の承認結果には影響しません。
申請者は商品やサービス(プロジェクトの監査を含む)の調達がオープンで公正かつ競争力のある方法で行われ、合理的に認められたサービスプロバイダ―を任命する必要があります。プロジェクトに関する設備やその他商品、サービス全ての調達について、申請者は最低2つのサービスプロバイダからの書面による見積りを取る必要があり、契約書には必ず費用の内訳、プロジェクトの期間や業務範囲と成果が掲載される必要があります。
調達契約は、申請者が正当な理由を提供し、政府と事務局が同意しない限り、見積りの要件を満たした上、一番低い見積価格を提出したサービスプロバイダーであるべきです。
香港に登記された企業であるITサービスプロバイダー・レファレンスリスト:https://www.hkpc.org/en/dbpproviders-list
お問い合わせ
電話: (852) 2788 5070
メール:dbiz@hkpc.org
「D-Bizプログラム」紹介ページ:https://www.hkpc.org/en/distance-business-programme
「D-Bizプログラム」特設サイト:https://www.d-biz.hk/
新型コロナ対策制限措置の一部緩和
香港政府は、新型コロナウイルスの感染状況が改善していることを受け、現行の防疫措置の内容を一部緩和した上で、9月10日まで期限を延長すると発表しました。
飲食店の営業時間延長
● 店内飲食が午後10時まで許可(午後10時~午前5時は禁止)。ただし、収容できる客数は総座席数の50%、1卓当たり2人まで、テーブル間は1.5メートル以上を確保、検温、消毒、マスク着用などの規制は継続する
特定施設が条件付きで営業再開
● ジム:機材とクラスでの人の距離はそれぞれ1.5メートル離し、1クラス当たり最大4人とする
● アミューズメント施設(スケート場を除く):1グループ当たり最大で4人まで
● 映画館:座席数を通常の半分とし、並んで着席することができるのは2席まで、館内飲食禁止
● エステやマッサージ:フェースマスクまたは眼鏡、マスクを着用し、接客終了ごとに交換するなど徹底する。事前予約必須、1仕切りに2人まで
屋内外スポーツ施設の一部再開
● バドミントン、卓球などの屋内スポーツ施設:1グループ当たり最大で4人まで
● 陸上、テニス、ゴルフ場などの屋外スポーツ施設:1グループ当たり最大で2人まで
マスク着用の例外措置
● 政府管理の郊野公園(カントリーパーク)および屋外での運動時はマスク着用義務の対象外とする
雇用支援スキーム第2期が申請開始
香港政府が雇用主に従業員給与の50%(上限9,000香港ドル/月)を6ヶ月間助成する雇用支援スキーム(Employment Support Scheme、ESS)の第2期(9~11月分)の申請受付を開始しました。第2期の申請期間は8月31日の午前7時から9月13日の午後11時59分までとなり、助成金の支給は申請から3~4週間後の予定となります。
第1期(6~8月分)は16万8,000社から申請があり、約15万件に助成金を支給されました。支給総額は440億香港ドルに上り、190万人がその対象となりました。
前回と異なるのは65歳以上でもMPFに加入している場合は対象となる点と、前回は対象から外れていた大手不動産会社と恵康(Wellcome)と百佳(PARKnSHOP)の2つの大型スーパーマーケットチェーンも対象になりました。その代わり香港政府は、助成金の対象に組み込むかわりにこの2大スーパーに対して、顧客と非政府組織(NGO)を対象に割引券の配布などの多くの優待を実施することを求めています。
第2期の申請条件や方法は第1期とほぼ同じですが、第1期に「助成金を従業員給与に使用しなかった、従業員数を減らした」などが見られれば、助成金返還や罰金の対象となり第2期の申請処理に追加の時間がかかるとのことです。また、自営業者は第1期に助成金を受け取った場合は第2期には申請できません。
申請の対象者となる方
● 2020年3月31日以前からMPF(強制積立金制度)またはOSRO(退職積立金制度)に加入していること
● 60日以上連続して雇用されている18~64歳であること
● 65歳以上でもMPFに加入している場合は対象となる
● 2020年3月31日以前からMPF口座を保有している自営業者(個人事業主やパートナシップ事業の方)で、第1期(6~8月分)に7,500香港ドルの助成金を受け取っていない人
申請の対象外となる方
● 政府機関や政府所有会社
● 「Catering Business (Social Distancing) Subsidy Scheme」の助成金を申請済のレストラン、カラオケ、バー、ナイトクラブなど
● スクールバス運転手やツアー運転手で、すでに別の助成金を申請している自営業者
申請方法と手順
ESSのウェブサイトからオンライン申請します。
http://www.ess.gov.hk/
申請ページの左側は「第1期の助成金を受取済」、右側は「第1期の助成金を未受取」の申請として分かれています。
第1期の助成金を受取済の場合
第1期と同じ申請番号、パスワード、携帯番号を入れてログインし、必要書類をアップロードします。(第1期と変更ない場合は不要)
第1期の助成金を未受取の場合
前回のブログをご参照ください。