消費傾向が二極化!不景気の中で成長する「贅沢品・嗜好品」と「中古品」
経済不況で世界的にインフレが進んでいる中、市場は不況による消費意欲の減少を懸念していますが、人々はコストを削減しているものの消費意欲が減少していません。
その中で特に意外な成長を見せているなのは「贅沢品・嗜好品」と「中古品」です。
今回の記事では、「贅沢品・嗜好品」と「中古品」が近年の不景気で逆に成長する理由についてご紹介します。
贅沢品、不景気中の心の癒やし
消費者心理専門の心理学者Cathrine Jansson-Boyd氏によると、他人にどう接してほしいかは、消費者が商品を購入と決める時に無意識ではありますが最も重要な要素の一つです。金銭的不自由は負の感情を招いてしまうため、消費者は自分を元気づけられる商品・サービスにお金を普段よりもかける傾向があります。
学者の意見では、不景気の時には消費者のステータスシンボルへの渇望が普段よりも強くなります。また、可処分所得の減少は消費者の情緒に影響し、非合理的な決断をしやすくなるとのことです。
アメリカのコンサルティング会社のBain & CompanyとAltagammaのデータによると、恒常為替レートで計算されたブティックでの2021~2022年の売上は15%も成長し、その中の60%はハンドバッグなどの主力商品の値上げによるものでした。来年度の売上についても、さらに3%~8%の増加を見込んでいます。
贅沢品の巨頭は最近の財務会議で楽観的な態度を示しており、LVMHの第3四半期の売上は去年比19%増加し、Gucciの親会社であるKering社は去年比14%増加しました。
「贅沢品の売上は富豪に集中している。」Bain & CompanyのパートナーであるClaudia D`Arpizio氏は指摘しています。「富豪の可処分所得は経済の不況にあまり影響されない。現在ピラミッドの頂点にいる2%の人は贅沢品売上の40%を占めており、2009年の35%よりも高くなっている。」
また、中国人は贅沢品の主要な購入者であるため、Bain社の予想では、ゼロコロナ政策撤廃につれ、中国の贅沢品売上成長率は2023年で6%~8%に達するとの見込みです。グローバルで見ると、2022~2030年で贅沢品の売上は60%と激増し、インド・韓国・メキシコの消費者はより富裕になり、贅沢品の新顧客を毎年合計1千万人生み出すと、同社が予測しています。
不景気で小売業者の大半が「トレードダウン」を取り入れ始めている中、Bain社はアメリカとヨーロッパの消費者がインフレーションを無視して贅沢品を購入している状況から、今年の贅沢品売上が5%以上成長すると予測しています。ロイターの報道によると、Bian社は6月21日の報告で、「控えめに予測しても、今年世界での贅沢品売上は3,050億ユーロに達するだろう。楽観的な状況では3,300億ユーロに達し、コロナ以来最も激しいリバウンドになる」と予測しているとのことです。
嗜好品、「リップスティック効果」により伸びる
「リップスティック効果」とは、不景気な時代には口紅など比較的に安い消費財や嗜好・趣味に関する消費・サービスがよく売れるという消費者行動傾向です。
不景気でも人々の消費への衝動は減退しませんが、経済の衰退で消費者の収入が減少しているため、不動産や自動車など高い消費は控え、比較的に安い商品・サービスをよりよく購入するようになります。
外出を控えることが推奨されるコロナ禍では、家で料理を研究することが娯楽の一種となり、調理関係の商品にへ意外な伸びをもたらしました。中国の美団社が発表した「2020春節宅経済ビッグデータ」によると、パン焼き・菓子焼き関係の商品の検索数は100倍増加し、酵母の売上は40倍、餃子の皮の売上は7倍以上成長したとのことです。
2022年に新しくネイルチップブランドを立ち上げたイギリスのブロガーChristy Llewellyn氏の観察によると、電気代や交通費などの生活コストが新しい年に上昇するニュースが出た後、ブランドの売上が大幅に増加しました。「この難しい時期には些細な幸せが特に欲しい、例えばコーヒーやマスカラ。それに対し、自動車や靴などの高い消費は控えるようになる」とLlewellyn氏が指摘しました。2022年7月にアメリカで行った市場研究でも、美容業・美容関係の商品が売上が成長すると見込まれていました。
一方、ホテルや飲食店にパンを提供し、カフェを2店舗所持しているイギリスパン職人のAlex Gooch氏によると、インフレーションでコストは持続的に上昇していますが、収入は不景気に影響されていないとのことです。「顧客は相変わらず10GBPをかけて2キロのパン・オ・ルヴァンを買ったりしている。不況でも人々は気に入ったカフェで消費するし、友人と会うこともやめないだろう。その生活習慣が幸せの一部だから、どうなっても諦めはしないと思う」とGooch氏が述べています。「カフェでの消費、例えばパンやコーヒーは6GBPくらいしかかからないので、他の消費と比べては安い方なんだけど、生活の中では大切なご褒美になる。」
中古品、サステナブルトレンドとオンラインプラットフォームの便利さが成長の発車に
売買取引プラットフォームのCarousell社が2022年11月21日に、香港の消費者の不景気での消費習慣についての調査結果を発表しました。80%以上の消費者が不景気の時により多くの中古品を購入しており、特に45歳以上の回答者では86%が平均3ヶ月あたり1回中古品を購入しているとのことです。全体的な調査結果は消費者の中古品への態度が好景気の時期よりも軟化していることがわかりました。
同調査では、62%の回答者が経済衰退の時により多くの中古品を購入すると回答しており、90%は中古品に対する態度が「中立」と「肯定的」になっています。消費者が中古品を購入時、一番よく思い付く商品種別は「家具・インテリア」と「趣味・ゲーム」です。45歳以上の回答者の中で、76%は中古の家具を考慮していると回答し、消費者は持ち運べる中古品のみでなく、サイズの大きい家具などにも興味があることがわかりました。
中古品の売上が経済の不況に影響されず、逆に成長している理由について、同調査では90%以上の回答者は「中古品の外観と性能は新品とあまり変わらない」と回答しています。また、中古品は持続可能な開発の理念に適切で、コストパフォーマンスも高いことはまさしく今の消費者が一番関心のある要素です。
その中でコストパフォーマンスの高さはやはり香港の消費者が中古品を購入する一番重要な理由で、53%の回答者は「中古品を買うことで毎年最低1,000HKDが節約できる」と回答、約10%は「毎年最低5,000HKDが節約できる」と回答しています。
中古品を購入する理由として、81%の回答者は「まだ傷がない」と回答し、使用されたことがあってもまだ使えるのなら無駄にしたくない、中古品を使うことをエコライフを実践する一環にしているようです。
中古品購入の便利さについて、60%以上の回答者はCarousellなどの売買取引プラットフォームが中古品売買の流れを改善していると述べています。45歳以上の回答者では、70%以上が中古品の購入が以前より便利だと感じており、高齢の消費者にとって効率のいい取引の流れが中古品への受け入れを促進していることがわかります。
経済の不況は全種類の商品の売上に影響すると一般的に認識されていますが、データから見ると一面的な結果ではないようです。
コロナ規制が解除しつつある今では、実店舗や対面のワークショップなどを通して、より直接的に商品の良さを実感させることが、消費者の定着に効果的でしょう。
一方、コロナ禍で人々がIT化した生活に慣れるようになっていることを活用し、オンラインプラットフォームの便利さで商品の認知度を上げることが重要です。また、近年世界的なトレンドである「サステナブル」の要素を取り入れることで、商品により魅力的な印象を与えることができます。
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