有利な課税率を選択できる香港の給与所得税

香港の給与所得税(Salaries Tax)は、香港で勤務または就業したことから発生する収入に対して課税されます。コミッション、賞与、チップ、手当、その他臨時収入、香港で提供されたサービスに対する収入および年金も課税対象に含まれます。日本の源泉徴収制度と違って、香港では会社から受領した給与支給状況表の写しを基に、税務局(IRD)に確定申告を行う必要があります。

給与所得税の税率は標準税率15%と、段階的な2~17%の累進税率との選択制となり、結果として給与の規模に応じて納税額に差が出ます。最終税額は次のように計算した金額のいずれか低い方となります。

標準税率の場合

税額は所得控除後、人的所得控除前の課税対象所得に標準税率15%を乗じた金額となります。

累進税率の場合

税額は所得控除及び人的所得控除後の課税対象所得に以下の累進税率を乗じた金額となります。

課税所得累進税率
HK$50,000まで2%
HK$50,001からHK$100,000まで6%
HK$100,001からHK$150,000まで10%
HK$150,001からHK$200,000まで14%
HK$200,001以上17%

では、どちらが有利なのか、ここで比べてみましょう。

事例① 会社員 年収50万香港ドル
扶養家族:妻&子供1人

標準税率:
課税対象所得:HKD500,000
税額:HKD500,000 X 15%=HKD75,000

累進税率:
課税対象所得:HKD500,000 – HKD264,000(既婚者基礎控除額) – HKD120,000(扶養子女控除額)= HKD116,000
税額は累進税率で計算すると以下の通りとなります。

課税所得累進税率税額
HK$50,000まで2%HKD1,000
HK$50,001からHK$100,000まで6%HKD3,000
HK$100,001からHK$150,000まで10%HKD1,600
HK$150,001からHK$200,000まで14%
HK$200,001以上17%
合計HKD5,600

明らかに累進税率の方が有利となります。では、年収が倍の場合はどうでしょうか?

事例② 会社員 年収100万香港ドル
扶養家族:妻&子供1人

標準税率:
課税対象所得:HKD1,000,000
税額:HKD1,000,000 X 15%=HKD150,000

累進税率:
課税対象所得:HKD1,000,000 – HKD264,000(既婚者基礎控除額) – HKD120,000(扶養子女控除額)=HKD616,000
税額は累進税率で計算すると以下の通りとなります。

課税所得累進税率税額
HK$50,000まで2%HKD1,000
HK$50,001からHK$100,000まで6%HKD3,000
HK$100,001からHK$150,000まで10%HKD5,000
HK$150,001からHK$200,000まで14%HKD7,000
HK$200,001以上17%HKD70,720
合計HKD86,720

以上からすると、所得が倍になっても累進税率の方が有利なのがわかりました。

2020/21年度の給与所得税は下記の簡易計算機で収入金額およびその他の控除を入力するだけで自動で計算されます。ぜひお試しください。
https://www.ird.gov.hk/eng/ese/st_comp_2020_21_budget/stcfrm.htm

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