新卒求人55%減、コロナとデモで雇用縮小

香港では昨年の抗議デモと新型コロナウイルスのパンデミックという二重の打撃を受けたことで、新卒採用の求人数が急減している。主要なオンライン求人サイトによると、今年上半期の新卒採用の求人数が大幅に減少するという。今年の新卒はフルタイムの仕事が決まるまで時間がかかる可能性があり、給与も低くなる。

主要な人材雇用プラットフォームのアナリストと最新のデータによると、新卒採用の求人数が半分以上減少し、平均給与が最大20%削減される可能性があるという。

2万人~3万人の新卒者が労働市場に参入する準備をしていて、多くの人が数十の応募書類を送ったが返事がほとんどないため、すでに厳しい見通しを立てている。インターンシップやインターンのポジションにありつくのも同様に難しい。

求人サイト「JobsDB」によると、1月~4月の新卒の求人数はわずか約2万人で、前年同期と比べ55%減少した。昨年4月から今年3月にかけての求人数が31%以上減少した一方で、採用活動を行う企業が15%減少した。今年下半期も回復の見込みはないという。

8つの公立大学が運営する企業と大学生のための求人情報プラットフォーム「大学聯校就業資料統計庫」(JIJIS)では、1月~3月の新卒の求人数は約1万2,200件で、前年同期と比べ40%減少した。

香港バプテスト大学の銭大康(ローランド・チン)学長は、若者の失業率が、重症急性呼吸器症候群(SARS)が流行した2003年に近い水準の2桁台まで上がると予測している。

香港の3月の失業率は4.2%に達し、16万人以上が失業した。アナリストは、新型コロナウイルスのパンデミックと昨年後半の反政府抗議デモの影響で厳しい状況を非難した。

人事コンサルティング会社「AMACヒューマン・リソーシズ・コンサルタンツ」の周綺萍(アレクサ・チョウ)マネージングディレクターは、今年の新卒の就職は2003年より見通しが暗いと予測。SARSが主な悪材料だった03年とは違い、今回は抗議デモによる社会不安も就職活動への影響が広がっていると指摘した。さらに、今年の新卒の平均初任給も下がる可能性が高い。JobsDBとJIJISによると、昨年の新卒の給与は約1万6千香港ドルだったが、今年の給与水準は10〜20%下がると見ている

「JobsDB」の香港最高経営責任者(CEO)仇崑石(アイザック・シャオ)氏は、フルタイムの仕事に就くのに、昨年が平均3ヶ月だったのに対し、今年の新卒がもっと時間がかかるとの見方を示した。雇用市場全体が影響を受け、観光・飲食業界が最も大きな打撃を受けるが、ライフスタイルの変化によってITへの依存が大きくなるため、IT業界は依然として繁栄する可能性が高いという。世界経済が新型コロナウイルスのパンデミックの影響から回復の見通しが不確実なため、仇氏は新卒者にはフルタイムの仕事のオファーを待つ間、複数のパートタイムの仕事をすることを検討するよう提案した。

出典:SCMP

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